職場での生成人工知能(AI)の台頭により、多くの専門職が自分の仕事の先行きを懸念している。だが対照的に、企業幹部は変化を楽観視しており、今後も人間の果たす役割が労働力の中心であり続けると確信していることが、新たな調査で明らかになった。
Economist ImpactがGoogle Workspaceの委託を受けて実施したこの調査では、2023年4~5月に4つの地域と7つの業界で合計900人以上の企業幹部を対象に、生成AIのような新興テクノロジーがもたらす新たなフレキシブルワークの時代に対する考えを探った。
調査に参加した企業幹部のうち86%が、AIはありきたりな作業をなくし、イノベーションや創造性の向上をもたらすことができるとの考えに同意した。
また84%の幹部が、AIは、現場の第一線で働く肉体労働従事者に、より高い柔軟性をもたらすことができるとの考えを示した。
例えば、工場の生産ラインの操業など、今は現場に従業員を置く必要がある仕事をリモート化できるようになるかもしれない。作業の遂行に必要なAIベースのロボットやセンサー機器を、従業員が遠隔で操作し、監視することが可能になるからだ。
このようなユースケースにおいて、生成AIは、従業員の役割を奪うのではなく、その役割を、より身体的負担が少なく、柔軟性の高い作業に移行させることになる。
そのため、調査に参加した幹部の86%は、人間が今後も職場の中心であり続け、AIは補助的な役割を担うと考えている。また84%の幹部は、その副産物として仕事の質が向上すると考えている。
「人間はこれからも中心的な役割を担い、AIツールは品質検査や生産性を向上させるものになると思う」と、マサチューセッツ工科大学(MIT)産業パフォーマンスセンターのエグゼクティブディレクターBen Armstrong氏は述べている。
ただし、先のユースケースが描くような未来を実現するには、テクノロジーに投資する以上の取り組みが必要になるだろう。
役割をうまく移行させるには、従業員のリスキリングとトレーニングを行い、AIなどの新興テクノロジーの力を活用できるようにすることが必要だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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