Googleは米国時間10月4日、2種類の新型「Pixel」スマートフォンを発表した。「Pixel 8」と「Pixel 8 Pro」だ。しかし、筆者の隣人のようにテクノロジーにそれほど関心のない人間でさえ、Googleがどのようなハードウェアを発表するのかを知っていた。発表の何週間も前から、あらゆる情報が一般の人々に事実上リークされていたからだ(しかもその発信元の1つは、Googleだった)。
だからといって、同社が正式に発表したときに、歓喜すべきことが何も残っていなかったわけではない。なぜなら、筆者が米ZDNETのウェアラブル専門家であるMatthew Miller記者と一緒にニューヨーク市で参加した発表イベントでは、1時間にわたる基調講演で何度も歓声が沸き起こったからだ。
特にGoogleのPixel 8シリーズで筆者の印象に残ったのは、同社によって発表された多数の機能とカメラ機能だ。中には、筆者がレビューをする際に最初のテスト期間が終わったら忘れてしまうであろうギミック的なものもあれば、スマートフォンでできることの真の進化のように感じられるものもあった。
本記事では、筆者が最もワクワクした機能を5つ紹介する。その中には、Pixelデバイスに対して筆者が長年感じてきた問題を解決してくれる比較的地味な機能も含まれる。
天気の確認やアラームの設定、最寄りのレストランの検索以外の目的で、あなたがGoogleアシスタントを最後に使用したのはいつだろうか。Pixel 8シリーズは、世界で最も利用者の多い音声アシスタントの1つであるGoogleアシスタントの新たな始まりを告げるものだ。人工知能(AI)関連の機能強化や新機能がいくつか追加されているので、さらに多くのユーザーがGoogleアシスタントにより大きな価値を感じるはずである。
具体的には、これまで以上に人間らしく聞こえるコンテキスト認識型の通話アシスタント、広告コピーやロゴなどの不要なコンテンツは無視しながらウェブページを要約して読み上げる機能、画像の視覚処理やSNS用のキャプション生成などの機能だ。このようなAI機能の中には実用的なものもあるので、筆者としても、電源ボタンの機能を「デフォルト」に戻す十分な理由になるかもしれない(筆者は音声アシスタントをあまり気に入っておらず、サイドボタンの設定を変更して、音声アシスタントを起動する代わりに電源をオフできるようにしている)。
特に気になっているのが、「今後数カ月以内に」リリースを予定している「Assistant with Bard」(Googleアシスタントに「Bard」を組み込んだもの)の実力だ。GoogleがAIチャットボットのBardをGoogleアシスタントと統合するのは時間の問題だった。いわば、Microsoftが「Copilot」と「Windows」PCでやっていることの「Android」/モバイル版だ。
Google Pixelから「iPhone」やサムスンの機種に乗り換えたときに、絶対に恋しくならないことが1つあるとしたら、それはディスプレイの輝度だ。筆者はPixelのディスプレイの輝度にずっと不満を抱いてきた。同社のカメラ性能に対する取り組みと矛盾していたからだ。
屋外で写真や動画を撮影する場合、ディスプレイ(とビューファインダー)の輝度によって、完璧な構図の画像になるか、それとも、釣り合いの取れていない、できの悪い写真になるかが決まる。
新しいPixel 8とPixel 8 Proでは、ピーク輝度がそれぞれ2000ニトと2400ニトに引き上げられた。「Made by Google」イベントのデモエリアは比較的明るかったので、実機に初めて触れたとき、筆者は当然スマートフォンの輝度を上げたわけだが、驚いたことに画面ははるかに見やすくなっていた。試しに撮影した何枚かの写真では、明るすぎて、背景が白飛びしてしまったほどだ。
このディスプレイのアップグレードは、写真撮影だけでなく、新しいPixelスマートフォンの日常的な使用体験にも影響を及ぼすはずなので、今後行うレビューでも良い結果を得られると感じている。
輝度といえば、Pixel 8 Proには、動画ブーストと呼ばれる新しい動画強化機能が搭載されている。HDR+の画像パイプラインを活用することで、明るい環境でも暗い環境でも、より広いダイナミックレンジで細部を捉えられる。
基調講演で披露されたデモ動画では、日本の薄暗い街路を、通常は適切な照明機材がなければ撮影できないような微妙な特徴や建物を明るく捉えられることが紹介された。
動画ブーストに関して興味深いのは、後処理のほとんどがクラウドで実行されることだ。つまり、動画を撮影すると、元のファイルは通常通り保存される。それと同時に修正版が表示され、しばらくしてからエクスポートされる。Googleの広報担当者によると、ある動画は完全に処理されるのに数時間を要したという。
動画ブーストは12月の「Pixel Feature Drop」でリリースされる。筆者はニューヨーク市の街中でこの機能をテストするつもりだ。
米ZDNETチームは、筆者も含めて、Pixelスマートフォンのセルラー接続の問題にそれなりに遭遇してきたので、新しいクリア音声通話機能については、慎重ながらも楽観視している。改善された訓練モデルとAIのおかげで、Pixel 8は背景のノイズをより効果的に検出して、フィルターで除去し、音声をクリアにしている。
旧モデルの「Pixel 7」と「Pixel Fold」にも同じ機能が搭載されているが、どちらのデバイスでも通話中に「もう一度言ってくれないか」「声がこもっているよ」と言われることが頻繁にあった。マイクの品質が悪いために、Pixelスマートフォンをテストしていることが友人や家族にばれるほどだった。
基調講演中のデモで披露されたオーディオサンプルと、時間制限のあるハンズオンセッション中に何とか実行できた一連の「Google Meet」通話から判断すると、Pixel 8シリーズはこれまでよりも素晴らしい結果をもたらすはずだ。次に通話をしたときに「Pixelをテストしているのか」と言われなければ、筆者も音質が向上したことを確信できるだろう。
今後のアップデートとサポート期間については、懐疑的な人々が間違っていたことが証明された。Pixel 8とPixel 8 Proでは、Appleとサムスンの両方を上回り、7年間にわたってOSと機能・セキュリティのアップデートを受け取れる。つまり、サポート期間が2030年まで続くということだ。
今回のモデルで提供予定のAI機能の豊富さを考えると、Googleは今後もさらに多くの便利機能をリリースしてくれそうだ。
これは大きな約束である。Googleがリリースからわずか数年でプログラムやサービスを終了することで悪名高い企業であることを考えると、なおさらだ。最近そうした犠牲となったのが、サブスクリプションサービスの「Pixel Pass」だ。Pixelスマートフォンのユーザーが2年間、月額料金を支払うと、スマホを自分のものにできるという本サービスは、わずか2年弱で終了した。
Googleが今後Pixel 8とPixel 8 Proで予定しているソフトウェア更新期間の長さを考えると、1つ大きな疑問が浮かんでくる。それは、ハードウェアのサポートはどうするのか、ということだ。米国全土に何百もの販売店があるAppleと異なり、Pixelスマートフォンを修理してもらうのは、それほど容易ではない。しかもPixelは世界中で販売されているわけではないので、地域によっては予備の部品を見つけるのに苦労するかもしれない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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