「iPhone 15」が、旧型の「iPhone」と比べて大きく飛躍したモデルであることは確かだ。だが、アップグレードに値するかどうかというと、やはり即答は難しい。この2週間ほど、メインのスマートフォンとしてiPhone 15を使ってみた経験からすると、古くなってきた筆者の「iPhone 12」からは大幅な進化を実感できると言える。だが、比較的新しいiPhone、例えば「iPhone 13」や「iPhone 14」のユーザーなら、2024年まで待った方がいいかもしれない。
USB Type-C(USB-C)を採用し、「Dynamic Island」を搭載したことで、iPhone 15は多くの点で利便性が増しているように感じられる。iPhoneとApple以外のデバイスの充電用に別々のケーブルを持ち歩かなくて済むし、Dynamic Islandがあると時間が関わる情報、例えば「Uber」の到着予定時刻なども、いちいちアプリを切り替えずに確認できる。新しい48メガピクセルのカメラで撮影した写真のディテールは素晴らしく、マット仕上げの新しいデザインは指紋汚れが付着しにくい。
こうした変化をすべて合わせると、iPhone 15は全く新しいモデルと感じられるが、iPhone 14やiPhone 13のユーザーにお勧めするのはためらわれる。どちらもまだまだ新しく、十二分に機能するので、全般的な性能とカメラ画質の向上の度合いが、もっと古いiPhoneと比較した場合ほど大きく感じられないからだ。
そこで今回の記事では、iPhone 15と過去5世代のiPhoneとを比較した結果をお伝えする。ただし、取り上げるのは各世代の標準モデルだけで、「Pro」モデルは扱わない。Proモデルは、ズーム性能などの特別な機能のためなら高くなってもいいと考えるカメラ性能重視のユーザー層向けで、一般的な消費者にとってはニッチすぎると思われるからだ。
iPhone 15は、iPhone 14から多くの点でアップグレードされており、その差はiPhone 13から14のときよりも大きい。
充電ポートには、Apple独自の「Lightning」コネクターに代わって新たにUSB-Cが採用され、メインカメラのセンサーは解像度が大幅に向上。また、ノッチがあった部分にはDynamic Islandが常駐する。しかも、プロセッサーは「iPhone 14 Pro」に搭載されていたのと同じ「A16 Bionic」にアップグレードされ、本体はマット仕上げの目を引く新デザインになる。画面も、2022年モデルのiPhone 14と比べると明るくなっている。
とはいえ、iPhone 14も発売から1年しか経っていないので、アップグレードはいったん待った方がいいかもしれない。ユニバーサルなUSB-CポートとDynamic Islandがあれば確かにiPhoneの利便性は上がるが、大方のユーザーがアップグレードを納得するほど決定的な要因ではない。
カメラは新たに48メガピクセルとなるので、iPhone 14の12メガピクセルからは確実な進化だが、その違いが顕著に分かるのは、2021年以前のモデルと比較したときだろう。写真を見るのも共有するのもほとんどがiPhone上で、プリントアウトしたり大画面で見たりすることがあまりないのであれば、1世代前の12メガピクセルカメラでも性能は十分だ。
Dynamic IslandやUSB-Cの採用、カメラ性能のアップグレードは、確かにiPhone 15の大きな変化だ。それでも、ほとんどの人にとって、こうした機能向上だけでは799ドル(12万4800円)からという購入価格に見合わないと感じるだろう。キャリアの販売キャンペーンで大幅に安く購入できる可能性もあるが、そうした割引が適用されるには、新たな通信回線の契約など、一定の条件が求められることも多い。
結論:当面は、今のiPhone 14を使い続けていいだろう。iPhone 13から14のときと比べて大幅なアップグレードは魅力的だが、iPhone 14の機能も性能もまだまだ新しい。14 Proを使っているとしたら、特にそう感じるだろう。iPhone 15は14 Proとの共通点も多いが、iPhone 14 Proで採用されていた望遠専用レンズ、常時表示ディスプレイ、ステンレススチールの筐体、高リフレッシュレートなどは見送られている。
iPhone 13は、iPhone 14と共通する点が多い。「A15 Bionic」プロセッサーも同じだし、どちらも12メガピクセルのカメラシステムを搭載する。iPhone 14で大きく変わったのは、衝突事故検出、衛星経由の緊急SOS(一部の国と地域のみ対応)、Apple独自の画像処理工程などのわずかに向上したカメラ機能、動画撮影が安定する「アクションモード」などだ。
したがって、iPhone 13ユーザーに対するアドバイスも概ね同じになる。Dynamic Island、48メガピクセルカメラ、USB-CポートなどでiPhone 15に新しさは感じられるが、現行機種に満足しているなら、799ドルをかけたアップグレードが妥当とは言えないかもしれない。AppleがiPhone 13の販売を続けているというのも良い兆候だ。当面は新しいソフトウェアアップデートに対応することを示している。
結論:iPhone 13を使っているなら、アップグレードはおそらくもう1年待っていいだろう。iPhone 15のメリットは多いが、13もまだ状態はいいはずだ。キャリアによる下取りキャンペーンを利用して実質無料でアップグレードできるのでない限り、iPhone 13を使い続けて問題ないだろう。
iPhone 12を持っている場合、アップグレードすべきかどうかの判断は微妙になってくる。12より古いモデルならアップグレードを迷う余地はなく、13以降ならもう少し使い続ける価値がある(下取りキャンペーンをうまく活用できる場合は別)。ところが、iPhone 12はその中間くらいなのだ。まだ使い続けることもできるし、アップグレードが妥当と言えるくらいには古くなっている。
iPhone 12と比較すると、iPhone 15にはDynamic Islandが搭載され、プロセッサーは2世代新しくなる。メインセンサーの解像度が上がってカメラ機能は大幅に向上し、バッテリーの持続時間も長くなっている。衝突事故検出、衛星経由の緊急SOS、明るい画面、追加のカメラモード、基本モデルでも2倍となるストレージ容量など、違いは少なくない。
iPhone 12を使っていて、どうしても限界が来るまで使い続けたいなら、まだ買い替えの時期ではないと考えよう。iPhone 12も5G通信のほか、「iOS 17」のような新しいソフトウェアアップデートにも対応しているので、今しばらくは使い続けられるだろう。
ただし、iPhone 12を発売時に購入していた場合は、動作が遅くなり始めている、あるいはバッテリーの減りが早くなってきたと感じているかもしれない。筆者自身、12を使っているので、そのような症状は実感している。レビュー記事で書いたように、全体的なパフォーマンスとカメラ画質に関するアップグレードも、12から切り替えた場合は顕著だ。iPhone 15で撮影したポートレート写真は、iPhone 12の写真と比べてディテールの豊かさか明らかに違った。
結論:iPhone 12を使っているなら、iPhone 15にアップグレードする価値はある。新しくなるのは、Dynamic IslandやUSB-Cポートだけではない。全体的なパフォーマンスからバッテリーの持続時間、カメラ性能などあらゆる点が目に見えて向上する。ただし、まだアップグレードしたくないとしても、iPhone 12は引き続きソフトウェアアップデートの対象になっているので、その点は安心だ。
「iPhone 11」からすると、iPhone 15について、アップグレードする価値があると言うだけでは過小評価になる。iPhone 15のさまざまな新機能だけでなく、プロセッサーやストレージ、バッテリーなどの基本的なコンポーネントも、iPhone 11が登場した2019年から大きな進歩を遂げている。また、iPhone 11は5Gに対応していないので、より高速なデータ通信も利用できない。
Dynamic Islandや48メガピクセルのカメラといったiPhone 15の目玉機能を別にしても、iPhoneの体験のほぼすべての部分が新鮮で改善されていると感じられるはずだ。iPhone 11に搭載されている「A13 Bionic」チップは3世代前のものなので、動作が遅く感じられるようになっているかもしれない。また、ニューラルコアの数もiPhone 15の半分しかなく、言語翻訳や音声入力、写真撮影、「Face ID」などの人工知能(AI)と機械学習を利用する機能は、iPhone 15で使用した方が高速で、改善されたという印象を受けるはずだ。
さらに、iPhone 11の画面がより暗いLCDであるのに対し、iPhone 15はより明るく、コントラストも優れたOLEDディスプレイを搭載している。11の最も低価格のモデルを購入している場合は、ストレージ容量も足りなくなっているかもしれない。基本モデルのストレージ容量を比較すると、iPhone 11が64GBからであるのに対し、iPhone 15はその2倍の128GBからだ。磁気でアクセサリーを接続するAppleの「MagSafe」はiPhone 12で初めて採用されたので、15ユーザーは、より簡単に本体に取り付けられるアクセサリーを購入することもできる。また、iPhone 11の前面カメラには、「ナイトモード」が搭載されていない。レストランや劇場など、薄暗い環境でグループの自撮り写真を撮影する人にとっては、重要な考慮事項になるかもしれない。
こうした機能の差は、それぞれ単体でみるとささいな問題かもしれないが、全体として、スマホの使い方に大きな影響を及ぼす。また、これらは、iPhone 15と比べてiPhone 11に欠けている基本機能に過ぎない、ということに注意してほしい。それらの機能に加えて、より高解像度の写真を撮影する機能、USB-C充電ケーブルへの対応、ノッチに取って代わった便利なDynamic Islandなど、iPhone 15のさまざまな新機能を考慮に入れれば、アップグレードも納得せざるを得ないだろう。
結論:答えは、間違いなくイエスだ。アップグレードする価値がある。iPhone 11ユーザーが15にアップグレードする場合、さまざまな改善点のおかげで、スマホがより頼もしく、より楽しく使えるようになるだろう。登場から4年が経ったiPhone 11からiPhone 15に乗り換えれば、ほぼすべてのものが新しく感じられるはずだ。
「iPhone XS」は発売から5年が経っており、古さが見えるようになってきた。iPhone 15にアップグレードする場合、さまざまな新機能を利用できるようになるだけでなく、バッテリー持続時間の大幅な向上、大型化した画面、5Gネットワークの速度も実感できるだろう。
iPhone XSでは、5GとMagSafeへの非対応、古く、より低い解像度の12メガピクセルカメラなど、劣る要素はiPhone 11とほぼ同じだ。しかし、それらに加えて、4世代前のチップ、iPhone 15の6.1インチディスプレイよりも小さい5.8インチディスプレイ、より低解像度の自撮りカメラ(iPhone 15の12メガピクセルに対して7メガピクセル)、暗所での撮影性能を高めるナイトモードの非搭載、といった差もある。
ただし、iPhone XSには専用の望遠カメラが搭載されている。一方、iPhone 15は代わりにサブカメラとして超広角レンズを備えている。だが、専用の望遠カメラを利用できなくなるとしても、Appleが近年iPhoneに追加してきたその他のカメラのアップグレードをすべて利用できるので、15に乗り換える価値はある。それらのアップグレードは間違いなく違いをもたらす。筆者でもiPhone 12から15で大きな進歩を感じたのだから、iPhone XSとiPhone 15の違いはさらに大きなものになるはずだ。
ナイトモードの有無の差はまだ序の口だ。Appleの新しいチップによって改善された画像処理のおかげで、全体的な画質も大幅に向上する。さらに、より広い範囲を撮影できる超広角カメラ、動画撮影では、手ぶれを補正する「アクションモード」、浅い被写界深度で撮影する「シネマティックモード」なども利用できる。
カメラ関連の機能だけでも、それだけの差がある。全体的なパフォーマンスの体感速度もおそらく向上するはずだし、バッテリー持続時間も長くなる。それに加えて、Dynamic IslandとUSB-Cも利用できる。
iPhone XS世代はiOS 17をサポートする最も古いiPhoneでもあるため、2024年のOSアップグレードの対象外になる可能性もある。2018年にXSと一緒に発表され、旧式の「A12 Bionic」プロセッサーなど共通点の多い「iPhone XR」についても、同じことが言える。XSよりも低価格で、XSの望遠カメラ、OLEDスクリーン、ステンレススチール製の筐体などが採用されていないことを考えると、iPhone XRは基本的にXSの廉価版だった。
結論:iPhone XSまたはXRを所有しているのであれば、アップグレードする価値は確実にある。Appleはこの5年で、iPhoneのほぼあらゆる面を大幅にアップグレードしている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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