ミサワホームと富士通、暮らしのパーソナライズ化の実証実験--常時認証技術を活用

 ミサワホームと富士通は9月27日、共同実験中間報告説明会と、常時認証技術のメディア向け体験会を実施した。

 両社は2023年6月から2024年1月まで、「ミサワパーク東京」内のコンセプト住宅「グリーン・インフラストラクチャー・モデル」にて、富士通が開発した常時認証技術と、同技術を活用した検証を実施中だ。

 グリーン・インフラストラクチャー・モデルは、シェアオフィスとして貸し出すパブリックな空間と居住空間の併用住宅で、今回は1階のシェアオフィスを検証場所としている。同住宅は暮らし、健康、環境の3つのサスティナビリティの実現を目指し、ソリューション開発や実証実験の場として、社会課題を解決する取り組みを行っているという。

コンセプト住宅「グリーン・インフラストラクチャー・モデル」
コンセプト住宅「グリーン・インフラストラクチャー・モデル」

 富士通が開発した常時認証技術は、対象人物の位置をリアルタイムで推定できる。生体認証技術と「行動分析技術Actlyzer」を組み合わせ、生体認証による本人確認結果を、エリア内に設置したカメラで捉えた人物と紐づけることで、認証状態を維持する。これまではカメラの設置位置によって人物の見え方が異なり、複数のカメラをまたいで人物をトラッキングすることは困難だったが、富士通は複数のカメラ映像からトラッキング中に人物の服装や背格好などを随時抽出し、更新する技術を開発したという。


 グリーン・インフラストラクチャー・モデルでの検証内容は3点。意匠性を考慮したカメラの台数と配置での常時認証技術の実証、機器連携による最適な音環境などパーソナライズされた空間の検証、転倒した来場者などを異常検知するセキュアな空間の検証だ。

1階のシェアオフィス
1階のシェアオフィス

 ミサワホームと富士通の従業員や取引先など、一部関係者はシェアオフィスを使用する際に、入口の専用機器で生体認証登録と、好きな音楽や食べ物など自身の好みに関する情報を登録する。この情報と紐づけて、シェアオフィス内に設置された生体認証センサーとカメラで常時認証を行い、照明機器やスピーカー、モニターなどの住宅機器と連動して、来場者の好む音楽を流すなどパーソナライズ化された住環境を作り出すという。

常時認証技術を活用した共同実験のイメージ
常時認証技術を活用した共同実験のイメージ
俯瞰マップによる常時認証
俯瞰マップによる常時認証
ソファに座ると登録した好みの音楽が流れる
ソファに座ると登録した好みの音楽が流れる

 両社は今後、暮らしの設備との連携で、転倒事故のリアルタイムな通知などセキュアな空間の構築や、パーソナライズ化された新しい住まいを目指すとしている。ミサワホームで商品・技術開発本部企画デザイン課の課長を務める仁木政揮氏は、「将来的には医療施設や介護施設にも導入し、孤立しない、孤独にならない暮らしを実現していきたい」と展望を語った。

行動分析技術Actlyzer
左から、富士通研究所でデータ&セキュリティ研究所Privacy-IDコアプロジェクトシニアプロジェクトリーダーを務める山田茂史氏、富士通ソーシャルソリューション事業本部TS)P&Safety事業部シニアディレクターの出海主規氏、ミサワホーム商品・技術開発本部企画デザイン課課長の仁木政揮氏
左から、富士通研究所でデータ&セキュリティ研究所Privacy-IDコアプロジェクトシニアプロジェクトリーダーを務める山田茂史氏、富士通ソーシャルソリューション事業本部TS)P&Safety事業部シニアディレクターの出海主規氏、ミサワホーム商品・技術開発本部企画デザイン課課長の仁木政揮氏

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