Amazonは、人工知能(AI)分野でいくつかの大きな動きを見せている。同社は米国時間9月25日、AI新興企業のAnthropicと提携して最大40億ドル(5900億円)を出資し、新しいAIモデルの開発を支援すると発表した。この戦略的提携は、消費者が家庭で使用するデバイスに搭載されたり、ショッピングする方法に影響を与えたりする可能性のあるAIに対して、Amazonが継続的に投資していることを示す、最新の動きだ。
この提携は、Anthropicによる生成AIモデルの開発を強化することを主な目的としている。Amazonのクラウドサービスと、同社が言語モデルをトレーニングするために開発したマイクロチップを使用するという。Amazon Web Services(AWS)の顧客には、「Amazon Bedrock」を介してAnthropicのモデルを先行試用する機会が提供される予定だ。Amazon Bedrockは、Amazonや他の企業が提供する基盤モデルをAPIを通じて利用できるようにするサービスで、顧客はAnthropicのモデルを利用した生成AIアプリの構築・強化が可能になる。
Anthropicのチャットボット「Claude 2」は、7月にベータ版として一般公開されて以来、Googleの「Bard」やOpenAIの「ChatGPT」の競合として注目されている。Claude 2は生成AIチャットボットで、大規模言語モデルを使用して、質問に回答し、文書を記述し、計算やコード作成などの作業を支援する。
Amazonは、この多額の出資に伴い、Anthropicの少数株主権も取得する。この提携は、AIを中心に据えたAmazonの新しい優先事項に沿っているようだ。同社が20日に開催したイベントにおいて、AIは、同社の多くの新製品やアップデートした既存製品の中心要素だった。Amazonは、AIで強化された「Alexa」搭載ホームデバイスを披露した。音声アシスタントのAlexaは、より自然に会話して素早く反応できるように改良されており、家庭での動作がよりユーザーフレンドリーなものになる。
Amazonはこの1年間で、「Amazon Prime」やAlexa搭載デバイスなどの顧客向けサービスにおけるAIの構築と利用も拡大している。
今回のAnthropicに対する出資に似た契約は、他のIT大手とそれよりも小規模なAI企業の間でも交わされている。 Microsoftは、ChatGPTが広く利用される前の1月に、OpenAIに数十億ドルを投資した。
Anthropicは、OpenAIの元幹部で兄妹であるDario Amodei氏とDaniela Amodei氏によって創設。Googleから数億ドル規模の出資を受けるなど、この2年間で複数の資金調達ラウンドを成功させている。
Anthropicは7月26日、OpenAI、Google、Microsoftとともに「Frontier Model Forum」という業界団体の設立を発表した。共同声明によると、「フロンティアAIモデルの安全で責任ある開発を確かなものにする」ために業界リーダーの専門技術を結集することを目指すという。この1年の間に生成AIツールが急速に台頭したことで、その潜在的なリスクや社会への影響に対する監視の目は厳しくなっている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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