ニコン、ヘリテージデザインの新製品「Zf」発表--約30万円のフルサイズミラーレス

 ニコンは9月20日、ミラーレスカメラの新製品「Z f」を発表した。発売は10月を予定。9月22日10時から予約を受け付ける。

ニコンの新型ミラーレスカメラ「Z f」
ニコンの新型ミラーレスカメラ「Z f」

フィルムカメラをモチーフとしたヘリテージデザインのボディ

 Z fは、かつてのフィルムカメラをモチーフとした、ヘリテージデザインの製品だ。2021年に発売した、APS-Cサイズのセンサーを搭載した「Z fc」に続くモデル。今回は、フルサイズセンサーを搭載したミラーレスカメラとなる。

2021年に発売した「Z fc」。こちらはAPS-Cサイズのセンサーを搭載した製品だ
2021年に発売した「Z fc」。こちらはAPS-Cサイズのセンサーを搭載した製品だ

 デザインモチーフは、Z fcと同じ「FM2」。1982年に発売されたフィルムカメラで、写真学校の教材に採用されたように入門機として扱われた一方、プロカメラマンのサブ機としても用いられた。Z fとZ fcは、いずれもFM2の思想を継承した製品。Z fcは入門機としての精神を、Z fは幅広いニーズに応えた歴史を受け継いでいるという。

 ボディの上面には、シャッタースピードやISO感度を設定するダイヤルを設置。アルミ製だったZ fcに対し、Z fでは真ちゅう製となった。ダイヤルの操作感覚は、フラッグシップ機「F3」や「F4」のものも参考にしているという。ボディはマグネシウム合金製で、「Z 8」と同等の防塵防滴性能を確保した。外観は光沢黒塗装を採用。ダイヤルやボディ上面の表示は、彫刻や色入れ文字を採用している。

かつてのフィルムカメラのような、独立したシャッタースピード設定ダイヤルを搭載した
かつてのフィルムカメラのような、独立したシャッタースピード設定ダイヤルを搭載した

 シャッターボタンは、上位機種同様のリーフスイッチを採用し、押し心地を追求。また、ソフトシャッターレリーズの装着に対応し、シャッターボタンにねじ穴を設置している。ただし、ケーブルレリーズには対応していない。メインターゲットである30代のユーザーにおけるニーズが少ないこと、対応した場合に内部機構が複雑になることが理由だという。

 ボディ前面には、Z fcにはなかったグリップを搭載。大口径レンズ使用時のホールド性を向上させている。また、さらなるグリップ感向上のため、エクステンショングリップ「Z f-GR1」も同時に発売する。

 ボディを覆う擬革は、Z fcより配置箇所を拡大。画像モニタ裏の見栄え向上を図った。また、新規パターンを開発し、従来より触り心地も向上しているという。

 ボディ背面のボタン配置は、これまでのフルサイズZシリーズとは異なり、AFポイント選択時などに使用するサブセレクターは廃された。Z fcと同じ配置を目指した結果だという。

 背面の画像モニターは、バリアングル式を採用。Z fcなどのAPS-Cサイズセンサー搭載機(DXフォーマット機)での採用はあったが、Zシリーズのフルサイズセンサー搭載機では初採用となる。機能としては、情報表示やメニュー画面の縦表示に対応。サブセレクターを省略した代わりとして、「タッチFn(ファンクション)」機能も搭載。画面へのタッチで、フォーカスポイントの移動、被写体認識時の瞳の切り替えなどが可能となる。

ボディ背面。ボタン配置はZ fcとの共通化を意識したという。モニターはバリアングル式を採用した
ボディ背面。ボタン配置はZ fcとの共通化を意識したという。モニターはバリアングル式を採用した

クラシックな見た目に上級機なみの機能も搭載

 Z fは見た目だけの製品ではない。中身はフルサイズミラーレスカメラ「Z 6II」をベースとしているが、一部では上級者向けのZ 8、フラッグシップモデルである「Z 9」と同等以上の機能も搭載する。

 センサーは有効画素数約2450万画素。Z 9同等のダブルコートを採用し、ダスト付着軽減や拭き取り性の向上を図る。画像処理エンジンは、Z 9などと同じ「EXPEED 7」を採用。ISO感度は、100から6万4000まで設定できる。連写性能は、メカシャッターで秒間最大14コマ、電子シャッターで秒間30コマを実現している。

約2450万画素のフルサイズセンサーを搭載
約2450万画素のフルサイズセンサーを搭載

 オートフォーカスでは、シングルポイントAFで273点、オートエリアAFで299点のAFポイントを設定。オートエリアAFでは、縦方向で約89%、横方向で約96%の範囲をカバーしている。また、人物、動物、乗り物など、9つの被写体を検出する機能を搭載する。マニュアルフォーカス時にも被写体検出機能が利用でき、ピント合わせ時に画面表示を拡大する際の手間を削減できるという。また、AF低輝度限界は-10EVまで拡張した。

 手ぶれ補正機構は、Z 9を超える8段の補正を実現。画像の中心点だけでなく、フォーカスポイント付近のブレを止める「フォーカスポイントVR」を、世界初搭載する。フォーカスポイントVRは、静止画撮影時のみ利用可能。Zマウントで、かつ手ぶれ補正機能非搭載レンズのみが対象となる。また、フォーカスエリアが複数出ている場面では仕様できない。

 撮影機能では、画像の雰囲気を変更できる「ピクチャーコントロール」に、2つの新たなモノクローム表現プリセットを追加する。「フラットモノクローム」は、白から黒までの階調を強調感なく緩やかに再現。「ディープトーンモノクローム」は、ハイライト側を高コントラスト、シャドー側を低コントラストに表現する。いずれも、モノクロ表現の奥深さを楽しめるように追加したという。Z fでは、気軽にモノクロ撮影に切り替えられるよう、動画・静止画切り替えレバーの選択軸に、モノクロ撮影専用のモード設定を追加している。

 また、高画素な画像を生成可能な「ピクセルシフト撮影」機能を搭載する。ボディ内手ブレ補正機構を活用したもので、センサーの位置をずらしながら連続撮影することで、複数枚のRAWファイルを生成し、高画素な画像を撮影できる。撮影数は4、8、16、32ショットから選択でき、画像は撮影後にPC用ソフト「NX Studio」で後合成。解像感や色再現度などはZ 9並を実現するという。

 動画撮影機能は、H265 10bit内部記録、N-LOG HLG記録に対応。DXフォーマットへのクロップとなるが、4K 60p動画も撮影できる。

 メディアスロットは、SDカード用とmicroSDカード用のダブルスロットを搭載。SDカードはUHS-II対応、microSDカードはUHS-I対応となる。バッテリーには、Z 6IIなどと同じ「EN EL-15」シリーズを採用する。

バッテリーの収納部付近にメモリーカードスロットを搭載。UHS-II対応のSDカード用、UHS-I対応のmicroSDカード用のダブルスロットだ
バッテリーの収納部付近にメモリーカードスロットを搭載。UHS-II対応のSDカード用、UHS-I対応のmicroSDカード用のダブルスロットだ

 Z fの価格はオープンプライス。市場想定価格は、ボディ単体が30万円前後、単焦点レンズ「NIKKOR Z 40mm f/2(SE)」のレンズキットが33万1000円前後となる。専用エクステンショングリップは、1万9000円前後の価格を想定する。

 Z fの発売にあわせ、ニコンでは「プレミアムエクステリア張替キャンペーン」を実施する。擬革を「セピアブラウン」「インディゴブルー」「ストーングレー」「モスグリーン」「サンセットオレンジ」の5色に張り替えるサービス。通常は6600円で受け付けるが、発売日から2024年1月15日までのキャンペーン期間中は無料で申し込める(別途ピックアップサービスの送料が必要)。

 また、ニコン公式の通販サイト「ニコンダイレクト」では、カメラ購入時に対象の擬革カラーを選択可能。張り替え済みの状態で製品を配送する。加えて、ニコンダイレクト限定カラーとして、「ボルドーレッド」も用意する。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]