メタバースブームは到来したが、まだその魅力を体験していない方が多い現状がある。VRヘッドセットを使用してログインする場合、専用のデバイスが必要である。しかしながら、このデバイスが広く普及しているわけではなく、初心者にとって何から始めれば良いのか、どうやって始めるのかが分からないという難しさも存在する。
いまやさまざまなメタバースが存在するが、特に人気なのが「VRChat」である。VRChatは、世界中のユーザーとコミュニケーションを楽しむことができるメタバースのサービスだ。この世界では、日々様々なユーザーによってイベントが開催されている。
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筆者自身も、VRChat内で学校を運営したり、美術館を創設して展示会を主催したりするなど、数々のイベントを企画・運営する中で、新たな体験や感動、そして人々との出会いを体感してきた。
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もっと多くの方々にメタバースの魅力を伝えたいという想いは筆者にもあるが、現在の段階では初心者にとってメタバースを体験するための障壁は高いと言える。こうした状況に対し、手軽にメタバースを体験できる機会を提供したいという願いから、姫宮VIGサービスが手がける店舗型VRChat体験サービス「スグバース」がまもなく展開される(※東京都内で今秋開業予定)。
今回、筆者はメタバースファンの一人として、スグバースを実際に体験してみた。本記事では、スグバースを体験した感想と、そこから見えた新しい顧客体験の可能性について触れていく。
VRChatをはじめとするメタバースを始める際には、デスクトップPCやMeta QuestなどのVRヘッドマウントディスプレイを手に入れ、アカウントを作成する必要がある。ただ、慣れていない人々にとっては苦労が伴い、しかもこれらの機材は決して安価なものではないため、ハードルが高く感じられることだろう。さらに、必要な機材を用意できたとしても、操作方法や楽しみ方など、初心者には理解しづらいことが多く、結果的には失望してしまうことも考えられる。
スグバースは、こうした課題に立ち向かうサービスだ。カフェやイベントスペース、オフィスなどの街角にあるスペースを利用し、VRヘッドマウントディスプレイやアカウントを持っていない方々でも、VRChatを体験できる環境を提供する。加えて、リアル空間とメタバースの両側にアテンダントが存在し、丁寧に操作方法や楽しみ方を教えてくれるため、完全な初心者であっても安心して楽しむことができる。
リアルでのアテンダントのサポートを受けた後、VRヘッドマウントディスプレイを装着すれば、次はVRChatの仮想空間内でバーチャルアテンダントから案内を受ける。この経験だけでも、初めてメタバースを体験する方には新しい感覚となるだろう。
そして、ある程度操作方法を教えてもらい、メタバースにも少し慣れてきたところで、バーチャルアテンダントのガイドを受けながら、メタバースに広がるさまざまなワールドを訪れていく。筆者自身も、今回はバーチャルアテンダントのこんぶちゃんにVRChatの案内をしていただいた。こんぶちゃんはVRChat内で7000時間以上滞在した経験を持ち、戸惑っている人々に対しても迅速かつ的確なサポートを行っている。その高い対応能力とコミュニケーションの円滑さには感嘆せざるを得なかった。
リアル側でトラブルが生じた際にも、アテンダントが即座に対処してくれるため、ストレスなくメタバースを満喫することができる。さらには、リアルからでもディスプレイを通じてメタバースの様子を観察できるため、参加者はメタバースに入る前にバーチャルアテンダントと交流したり、参加者以外の人々も、参加者がメタバース内で何を見ているのか、何をしているのかを観察することができるようになっている。
今回、筆者はバーチャルアテンダントと呼ばれる方によって、VRChatを案内いただいた。そしてこの経験を通じて、メタバースにおける未来の働き方の可能性も強く感じた。
筆者自身が行ったメタバース内で運営する学校「私立VRC学園」やVR美術館においては、講師や案内役が存在している。メタバース内で教育や案内を行うことは、現実世界で行われている教育やガイド業務と大きな違いはないと感じている。
スグバースを提供している姫宮VIGサービスの中橋篤さんは、長い間VR関連のサービスに関わってこられた方だ。中橋さんはスグバースを通じて、メタバースとその接客サービスの普及に尽力したいと述べている。
実際、スグバースのバーチャルアテンダントは、メタバース内での接客サービスの形を象徴していると筆者は感じた。現在、メタバース内での職業はまだまだ一般的ではないが、メタバース内でのイベントは増加の一途をたどっており、イベント運営や顧客対応を行う人材の需要も高まっている。こうした時代に求められるのは、メタバース内での接客スキルや円滑なコミュニケーション能力を持つ人材である。
メタバースに参加するには、アバターを通じて行う。そしてメタバース内では、国籍や性別、年齢などに関係なく、多様な人々がアバターを介して交流している。
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アバターは簡単に切り替えることが可能であり、自分とは異なる性別のアバターや動物、ロボットなど、自分の好みに合わせて使用できる。また、アバターを用いる人々の中には、現実世界の自分とは異なる性格や人格を表現する人も多く見受けられる。これは、「1人1つ以上のアイデンティティを持つ」という感覚に近いと筆者は考えている。自分の中に複数存在するアイデンティティの一つを、メタバースでは存分に活かすことができる。
アバターを通じて自分の代理を形作り、環境を自己のコントロール下においてコミュニケーションをとることは、メタバースならではの特徴だ。こうした手法により、不安や知覚の異常をある程度コントロールすることができる。そして、アバターを通じて自己を交流の場に投影することで、他者と安全にコミュニケーションをとりつつ、リアルな臨場感を維持できるのである。
こうしたメタバースの特徴は、国籍や性別、年齢などをある程度無視できるため、メタバースならではの新しい働き方の可能性が広がることにつながるだろう。また、家にいながらでも、メタバース内での接客や案内などが可能なことも魅力的だ。たとえば障がいを抱えていて、接客を試みたいと思っていても、現実世界では実現が難しい場合がある。そのような方でも、メタバースではその夢が実現できる可能性はある。
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メタバースやVRは、見たり聞いたりするのではなく、一度体験してみなければその魅力は伝わらないと筆者は考えている。スグバースはリアルの店舗と連携したメタバース体験サービスとして、街中で手軽に楽しめるメタバース特有の魅力を提供する。参加費も映画を見るのと同じくらいの価格帯で、気軽に「ちょっと体験してみよう」という意識を持つことができるので、初めてのVR体験にはスグバースがぴったりのサービスだと感じている。
「まだメタバースを体験したことがない!」、「メタバースをやったことがあるけど、ちょっとよくわからなかなった!」という方々は、スグバースを体験して、メタバースの世界に一歩足を踏み入れてみることをおすすめする。実施日やイベント、場所などの情報、公式サイトやSNSなどで確認することができる。
一度体験すれば、今までリアルでは味わったことのない経験や、これからの時代における新しい働き方や生活の可能性が垣間見えるかもしれない。
「スグバース」公式サイト
「スグバース」公式X(旧Twitter)
齊藤大将
Steins Inc. 代表取締役 【http://steins.works/】
エストニアの国立大学タリン工科大学物理学修士修了。大学院では文学の数値解析の研究。バーチャル教育の研究開発やVR美術館をはじめとするアートを用いた広報に関する事業を行う。
Twitter @T_I_SHOW
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