フィードバックなくして成長なし――本書の冒頭の言葉である。「自分と相手の成長のためにはフィードバックが欠かせない」と頭ではわかっていても、実践するのはなかなか難しいものだ。耳の痛い指摘をされる側はもちろん、指摘せざるを得ない側にとっても心理的な抵抗があって当然だろう。
そんな心理的抵抗に理解を示しつつ、それを乗り越える方法を丁寧に指南してくれるのが本書である。著者は、「働きがいのある会社」ランキングで6年連続1位を獲得したコンカーの代表取締役社長、三村真宗氏だ。コンカーにはフィードバック文化が根付いており、それが働きがいにつながっているのではないかと三村氏は分析している。
本書によると、フィードバックというとネガティブなものを思い浮かべがちだが、相手のいいところをほめるのもフィードバックのひとつなのだそうだ。ポジティブなフィードバックをすることで、受け手の「好ましい行動の強化」「好ましい行動への転換」「承認欲求の充足」が期待できるという。本書ではそうしたフィードバックの基礎知識に始まり、フィードバックをする、される際の手順やコツを一つひとつ教えてくれる。
フィードバックを受けることによって、私たちは自分をアップグレードし、変化の激しい時代を生き抜いていける。上司から部下へ、部下から上司へ、あるいは同僚同士で、気軽にフィードバックができる文化が根付いた、働きがいのある会社・チームをつくりたいすべてのビジネスパーソン、特に管理職や経営層人に強くおすすめしたい1冊だ。
今回ご紹介した「みんなのフィードバック大全」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。
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