サムスンの新しい縦折りスマートフォン「Galaxy Z Flip5」は、2022年に登場した「Galaxy Z Flip4」の主要な問題点を解消した後継モデルだ。カバーディスプレイがぐんと大きくなり、ヒンジが改良されたほか、新しいプロセッサーが搭載されたことで、パフォーマンスの向上とカメラ機能の改善も期待される。発売日は8月11日、価格は最安モデルで999.99ドル(約14万円)だ。折りたためるスマートフォンの価格は相変わらず高い。
前世代からの最大の改善点は、新しいカバーディスプレイだ。短時間ではあるがレビュー用に実際に使って見て、この点は非常にいいと感じた。サイズが大きくなったことで、外側ディスプレイは単なる飾りではなく、実際にさまざまな用途に使えるようになり、Motorolaや中国の大手ハイテク企業Oppoが発売している縦折りスマートフォンと肩を並べられるようになった。
サムスンは7月26日にソウルで開催した新製品発表イベント「Galaxy Unpacked」で、Galaxy Z Fold5をはじめ、「Galaxy Watch6」シリーズ、「Galaxy Tab S9」ファミリーなど、多くの新製品を発表した。Galaxy Z Fold5の発表は、サムスンが折りたたみ式こそハイエンドスマートフォンの未来であり、まもなく発売される新型「iPhone」との差別化要因になると考えていることを浮き彫りにした。
Galaxy Z Flip5の「フレックスウィンドウ」、つまりカバーディスプレイのサイズは3.4インチだ。前世代の1.9インチよりもはるかに大きいだけでなく、大型のカバーディスプレイが話題となったMotorolaの縦折りスマートフォン「razr+」の3.6インチと比べても見劣りしない。
それでもGalaxy Z Flip5を使う人のほとんどは、ニュースを読んだり、ゲームをしたり、ソーシャルメディアを閲覧したりする際は6.7インチの内側ディスプレイを使うだろう。しかし、大きくなったカバーディスプレイは折りたたみスマートフォンの用途を広げる可能性がある。筆者はrazr+をレビューした際、その広々としたカバーディスプレイに魅了された。途中まで折りたたみ、テントのように立てた状態で音楽を聴くのは快適だったし、テキストメッセージに返信する時も素早くタイピングできた。
サムスンは、Galaxy Z Flip5で同じような体験を提供しようとしている。今回のレビューでは、端末を閉じたまま、カバーディスプレイだけで「Googleマップ」をスクロールしたり、メッセージアプリを立ち上げてタイピングしたり、YouTubeで映画「バービー」の予告編を観たりしてみた。どれも前世代のカバーディスプレイではできないことだ(ただし、razr+ではできる)。
Galaxy Z Flip5のカバーディスプレイではアプリも使えるが、すべてのアプリではない。基本的には、サムスンがカバーディスプレイで動かす意味があると考えるアプリだけだ。例えばGoogleマップ、YouTube、WhatsAppなどである。サムスンは、道順を素早く確認する、テキストメッセージに返信するといった、カバーディスプレイを使う意味がある用途に的を絞っているため、発売日時点でフレックスウィンドウで利用できるアプリは約10種類のみだ。この点もTikTokを含め、ほぼすべてのアプリをカバーディスプレイで実行できるrazr+とは違う。
カバーディスプレイで他のアプリも動かしたい場合は「Good Lock」アプリを利用できる(日本では未提供)。これはスマートフォンのインターフェースをカスタマイズできるサムスン端末専用アプリだ。
Galaxy Z Flip5では、カバーディスプレイでアプリを実行中に端末を開くと、内側の6.7インチのディスプレイにアプリがそのまま移動して表示される。しかしMotorolaのrazrと違って、逆方向、つまり内側ディスプレイで使っていたアプリをカバーディスプレイに移動させることはできない。
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