「ウマ娘」5th EVENT 第1公演で見た“お祭り娘と苫小牧の星が輝く姿”

　CNET Japanの編集記者が気になる話題のトピックなどを紹介していく連載「編集記者のアンテナ」。主にゲームなどのエンターテインメント関連も取材している佐藤が担当。今回は、7月15日と16日に神奈川県のぴあアリーナMMにて行われた、「ウマ娘 プリティーダービー」（ウマ娘）をテーマにしたライブイベント「ウマ娘 プリティーダービー 5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND -WISH-」（5th EVENT 第1公演）の模様をお届けする。

　「ウマ娘」は、CygamesがゲームやTVアニメなどで展開しているクロスメディアコンテンツ。トウカイテイオーやオグリキャップをはじめとして、実際に活躍した競走馬をモチーフに、その名前と魂を受け継いだ“ウマ娘”たちが活躍する姿を描いている。互いに切磋琢磨しレースを繰り広げるだけではなく、レース後にはファンと喜びを分かち合うライブステージ「ウイニングライブ」を行うという世界観を持っている。

　ウマ娘たちの声を担当しているキャスト陣がステージに立ち、ウイニングライブをほうふつとさせるようなさまざまな楽曲を披露するライブイベントも、2017年から開催。この5th EVENTでは、ウマ娘として初のアリーナツアーを展開。第1公演のぴあアリーナMMを皮切りに、9月には愛知県のポートメッセなごや、2024年2月には東京都の有明アリーナ、3月には大阪府の大阪城ホールにて開催予定となっている。

　第1公演では両日ともに20名以上のキャストが出走（出演）したほか、シークレットゲストも登場。そして会場には多くの“トレーナー”（※ゲームにおけるプレーヤー、ウマ娘のファンのこと）が来場した。2021年にゲームがリリースされ本格的に盛り上がっていった一方で、新型コロナウイルスの流行により、同年8月開催の3rd EVENTからは声援を控える公演が続いていた。しかしながら今回はマスク着用の上で声出しが解禁となり、ナンバリングイベントとしては久々に声援が聞こえる公演となっていた。

　また、公演の模様はオンラインでの有料配信も実施。「ABEMA PPV ONLINE LIVE」ではマルチアングルでの配信も提供していた。会場のモニターや配信映像には、ドローンカメラを使った迫力ある映像を映し出していたほか、配信向けには一部楽曲でARを活用した映像演出も行っていた。

　ステージは、メインステージとアリーナのセンターステージを花道でつなぐ形に。大型のモニターに加えて、センターステージの頭上には円柱タイプのモニターも用意。また、ウマ娘のナンバリングイベントではおなじみの実況席と解説席も設けられ、時折実況や応援コメントを送るような光景も見られていた。

　DAY1の開演時間となり、解説席にライトが当たると、そこにはナビゲーターとして参加する進藤さん、佐藤聡美さん、斎賀さんの姿が。ゲームにおける育成シナリオ「グランドマスターズ -継ぐ者達へ-」に登場する三女神のキャストであり、事前告知のないサプライズとなっていたため、大きなどよめきが聞こえていた。そして注意事項などを説明するとともに、声出しありの公演ということで、歓声を求める一幕も。

　オープニングムービーとともにOvertureが流れ、カウントダウンとともにライブがスタート。そのオープニングナンバーとなったのは、ゲームリリース2周年記念楽曲である「DRAMATIC JOURNEY」。明坂さんの実況とともに、第1公演のメインビジュアルで描かれていた、白を基調にゴールドがあしらわれ、ウマ娘のきらめきを感じるような新衣装「Road of Radiance」をまとったウマ娘キャスト陣が登場。大空や大海を駆けるような映像を背景に高らかに歌い、1曲目からテープを射出する演出も相まって、華々しくスタートダッシュを決めるステージとなった。

　キャストもトレーナーも興奮さめやらぬ状態というなかで、それぞれに自己紹介やライブに向けた意気込み、新衣装の紹介を交えつつ、ライブパートが再開。まずはアニメ「うまゆる」第5弾主題歌の「Bright Melody」（Machicoさん、大橋さん、鈴木さん、橋本さん、春川さん）を、ライブ初披露。第1公演のタイトル「WISH」が意味する“願い”がいくつもフレーズとして登場するこの楽曲を、さわやかに披露。

　続いてはアニメ「うまゆる」第3弾主題歌「Dance 2 Endless Beat」（木村さん、津田さん、天海さん、今泉さん、吉咲さん）。往年のユーロビートを感じさせる曲調に羽根扇子という、バブリーな雰囲気を醸しだすなか、“ズッ友コンビ”のウマ娘であるダイタクヘリオス役の山根さんと、メジロパーマー役ののぐちさんがサングラス姿で解説席から盛り上げる。ノリノリなステージというなかでも、それぞれがウマ娘の性格や個性を表現するようなパフォーマンスを見せていた。

　ここでソロ曲が2曲続く。菊池さんが歌った「けっぱれ！輝きストレート」は、ホッコータルマエが持つ苫小牧に対しての郷土愛があふれるような、魅力を伝えるステージに。須藤さんによる「悠々閑々」では、穏やかな人柄で面倒見がいいというワンダーアキュートの性格を表すような、和風の曲調で落ち着いた雰囲気のなかで、伸びやかに歌声を響かせていた。

　ビワハヤヒデのソロ曲「手綱と絆」では、近藤さんが歌い進めるなかで、中盤からは衣川さんが登場し、一緒に歌うことに。ビワハヤヒデとナリタブライアンは姉妹関係にあり、後のトークでは、ナンバリングライブなどで共演することはあっても、2人で歌うことがなかったということで、ついに姉妹でのステージが実現した。

　そしてTVアニメ「ウマ娘 プリティーダービー」オープニングテーマのリミックスとなる「Make debut! （Remix Ver.）」（高柳さん、鈴木さん、橋本さん、優木さん、のぐちさん、矢野さん、藤原さん、吉咲さん）では、落ち着いた雰囲気からだんだんとダンサブルな曲調となるなかで、キャストからの呼びかけもあって会場のトレーナーと一緒に歌う形で一体感を生み出していた。

　ステージでは三女神のキャスト3人がMCを務める形のトークパートに。ここでは声出し解禁ということもあり、トレーナーとコール＆レスポンスを行うコーナーが行われ、それぞれの個性が見えるお題にそったコール＆レスポンスで、さらに一体感を高めていった。

　ここからは、舞台「ウマ娘 プリティーダービー」～Sprinters' Story～のパートに。2023年1月に初の舞台化作品として公演が行われたが、ここでは単に楽曲披露というだけではなく、公演内容をダイジェストとして披露する形に。メインキャストであったダイタクヘリオス役の山根さん、ヤマニンゼファー役の今泉さん、ダイイチルビー役の礒部さん、ケイエスミラクル役の佐藤日向さんは、舞台でも着ていた勝負服をまとい、さらに舞台での実況役である門田さん、解説役である稲村さん、そしてアンサンブルのメンバーたちも登場し、約30分にわたって舞台公演さながらのステージを展開した。

　タップダンスの要素を取り入れたレースシーンで歓声が飛び交う光景は、舞台公演時も歓声を控える状態であったがゆえ、より迫力を感じられるものに。そのあとにはウイニングライブとして「本能スピード」を披露。そして、それぞれのウマ娘たちの心情をセリフと歌で紡いでいき、その姿と世界観に引き込んでいく。そのなかで「A Fade to black」（礒部さん、佐藤日向さん）、「SUNRISE」（山根さん、今泉さん、礒部さん）、「奇跡」（佐藤日向さん）、「Happiness」（山根さん、今泉さん、礒部さん、佐藤日向さん）と歌声を響かせていく。舞台パートの最後には、山根さんの呼びかけに、のぐちさんがスタンド席から姿を見せるというサプライズな演出も交えつつ、舞台のテーマソングとなった「Overrunner!」を歌う。後のトークでは、そして舞台の振り返りや、この場で披露できたことの感謝の言葉も送られ、大きな拍手と歓声に包まれていた。

　ライブパート再開後は、「GIRLS' LEGEND U」（Machicoさん、大橋さん、木村さん、優木さん、のぐちさん、矢野さん、藤原さん、吉咲さん）で、フレーズに呼応するかのような大きな声援も聞かれ、ライブとしての熱気を高めていく。曲開始前の映像に“砂に刻め”の文字が現れるなかで歌われたのは「UNLIMITED IMPACT」（高柳さん、菊池さん、須藤さん）で、ダートの舞台で活躍するウマ娘のキャスト3人が、秘めた熱さを示すように歌う。

　ここからは、再度ソロ曲が2曲披露。津田さんによる「Air Race」では、どこか切なさも感じさせるような曲調のなかで、“アナーキーなデータ至上主義者”というエアシャカールをほうふつとさせるような、険しさすら感じるクールな表情と歌声で魅せるステージを展開。春川さんによる「THE SUPER STRONG S」では、重低音のロックメロディが響くなかで、ウマ娘ダンサーを従えつつ“仕事人”というシンボリクリスエスの風格を感じさせるような、力強いパフォーマンスを見せていた。

　"三冠ウマ娘"の文字とともに、ミスターシービーとナリタブライアンの映像が映し出されたあと、歌われたのは「winning the soul（GO BEYOND Mix Ver.）」。これまでも熱いステージを見せてきた「winning the soul」で、まずは天海さんと衣川さんが先陣を切るように歌えば、二冠ウマ娘であるトウカイテイオーとエアシャカールのキャストである、Machicoさんと津田さんも参加。ライバルとしてぶつかり合うぐらいの気合いが入った歌声で魅了していた。

　「NEXT FRONTIER」（高柳さん、木村さん、衣川さん、のぐちさん、春川さん）では、太陽の表面と追われるような赤い炎、会場中で触れられる赤色のブレード、ステージで吹き上がる火花と、さらなる熱いステージとなったことに加え、「Ms. VICTORIA」（大橋さん、鈴木さん、優木さん、天海さん、矢野さん、菊池さん、須藤さん、藤原さん、吉咲さん）で、フレーズにあるような凱歌を響かせていた。

　MCパートでは“夏と言えば花火”ということで、バズーカ型クラッカーで花火に見立てたテープが射出され楽しむ一幕も。そしてここではウマ娘キャストがセンターステージに集結。円柱型モニターも降りてきて、夢を、そして憧れを超えていくというウマ娘たちのメッセージを言葉として伝えていく。

　いよいよ終盤というところで歌われたのは「Special Record!」（Machicoさん、衣川さん、近藤さん、矢野さん、礒部さん、佐藤日向さん）。ウマ娘として関係性の深さを感じさせるキャスト2人ずつが横並びとなって歌っていく。さらにゲーム1周年記念曲でもあった「We are DREAMERS!!」（Machicoさん、鈴木さん、橋本さん、津田さん、今泉さん、春川さん）でウマ娘たちの憧れを歌い、TVアニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 2」オープニングテーマでもある「ユメヲカケル！」（天海さん、のぐちさん、山根さん、菊池さん、須藤さん、藤原さん）では、フレーズにある“仲間でライバル”を感じさせるステージを展開。アニメ「うまゆる」第6弾主題歌である「永遠の色彩」（高柳さん、大橋さん、木村さん、橋本さん、津田さん、優木さん）では、かけがえない出会いとその奇跡を表現する楽曲を落ち着いた雰囲気のなかで歌っていた。

　センターステージには三女神のキャストが姿を見せ、グランドマスターズの冒頭をほうふつとさせるようなメッセージが送られる。そしてウマ娘キャストがそろって歌ったのは「Everlasting BEATS」。グランドマスターズの最後に歌われる楽曲で、PVでも象徴的なステンドグラスがモニターに映し出されるなか、荘厳な空気感で満ちた会場で歌声を響かせ、本編はゴールインとなった。

　大きな拍手に包まれつつ、トレーナーたちのアンコールの声が巻き起こるなか、三女神のキャストが解説席に登場。各種最新情報を告知するムービーが上映されたのち、ここからはウイニングライブという名のアンコールがスタート。明坂さんの案内により、ウマ娘のキャストが2人ずつ掛け合いも交えながら登場。その最後には舞台のメインキャスト4人が登場し、ひときわ大きな歓声が沸き上がっていた。全員がそろったところで夏をイメージするダンスナンバー「Gaze on Me!」を歌い、キャストもトレーナーも楽しい気持ちで満たす空間を作っていた。

　出走メンバーから代表したキャストが終わりの挨拶として感謝の言葉を送りつつ、ラストナンバーはウマ娘を代表する楽曲「うまびょい伝説」を歌う。明坂さんや三女神のキャスト、門田さん、稲村さんもステージを歩きながらトレーナーさんに挨拶。さらに声出しが解禁ということで、サビに入るときにトレーナーみんなでコールする「俺の愛バが！」も響き渡ったほか、終盤には舞台のアンサンブルメンバーも加わって楽曲同様にぎやかに彩ってDAY1を締めくくり、DAY2へとつなげていった。