栄耀(Honor)が発表した「HONOR Magic V2」は、「最薄・最軽量の折りたたみスマホ」が売り文句だ。重さはわずか231gで、折りたたみ式ではない通常のスマートフォン、例えばAppleの「iPhone 14 Pro Max」よりも軽い。前機種「HONOR Magic Vs」のグローバル発売が始まって間もないため、HONOR Magic V2は当面、中国のみで販売される。発売価格は8999元(約17万4000円)だ。
サムスンが次世代折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold5」を発表するとうわさされている7月26日よりも2週間ほど早く、HONORは折りたたみスマホの新たなフラッグシップ機Magic V2を発表した。筆者は発売に先立って、これをテストする機会を得た。なお、ソフトウェアはまだ開発中のため、今回は取り上げていない。
Magic V2は、Magic Vsの後継機となるもので、デザインがスマートになっただけでなく、他の面でも調整やアップグレードが行われている。シリコンカーボンと呼ばれる新しいデュアルバッテリー技術を採用し、折りたたみ式のスリムなデザインにもかかわらず、5000mAhの大容量バッテリーを搭載する。内部ディスプレイの折り目は前機種よりも目立たなくなった。
HONOR Magic V2は、前機種よりも高速なプロセッサー「Snapdragon 8 Gen 2」を搭載するほか、(少なくともスペック上は)カメラ機能の強化、内部ディスプレイのリフレッシュレートの向上といった改良も加えられている。
防水・防塵性能に関しては、引き続きIP等級の記載はない。防水・防塵性能を備えた折りたたみスマホ自体がまだ少数派ではあるが、サムスンのGalaxy Z Fold4と華為技術(ファーウェイ)の「Mate X3」はどちらも防塵ではないものの、IPX8等級の防水性能を備えている。
Honorはかつてファーウェイの一部門だったが、Googleのアプリが使えなくなったファーウェイ製品と異なり、「Google Play」ストアや「Googleマップ」、「Android」の主要機能など、Googleのモバイルサービスをフルに使える。
Magic V2を箱から取り出した瞬間、その軽さと薄さに衝撃を受けた。前機種のMagic Vsよりも明らかに薄くなり、長辺も短くなった。折りたたんだ状態でも厚みは9.9mmしかなく、iPhone 14の標準モデルより1.1mm厚いだけだ。Galaxy Z Fold4よりも軽く、薄い。
ハードウェアの美しさにも感心させられた。Magic V2は半分に折り曲げると、隙間なくぴったりと閉じることができる。Galaxy Z Fold4は、折りたたんだ状態でもヒンジ部分にくさび形の隙間ができてしまう。しかし、Googleが身をもって学んだように、このデザインは必ずしもサムスンより優れているとは言えないかもしれない。
Googleの折りたたみスマホ「Pixel Fold」も、折りたたんだ時に隙間ができない。しかし、同モデルはディスプレイ破損の報告が相次いでおり、その一因はここにある可能性がある。テック情報サイトArs TechnicaのRon Amadeo記者によると、Pixel Foldの内側ディスプレイを保護しているスクリーンプロテクターは、その下にあるOLEDディスプレイ全体を覆っているわけではないため、小さなゴミなどが挟まった状態で本体を折りたたむと、圧力がかかってディスプレイが破損する恐れがあるという。しかし、Magic Vsではこうした問題は発生していないので、後継機種であるMagic V2でもこの問題が起きる可能性は低いと考えていいだろう。
適正な価格で発売され、使いやすいことが条件ではあるが、手帳のように開閉できる折りたたみスマホに食指が動いたのは、Magic V2が初めてだ(筆者はサムスンの折りたたみスマホやGoogleのPixel Foldを長期にわたって使用したことはない)。
Magic V2の外部ディスプレイは、折りたたみ式ではない通常のスマートフォンと同等の6.43インチなので、折りたたんだ状態でも使いやすい。広い内部ディスプレイを使わず、外部ディスプレイだけを使っても不便は感じない。最大輝度は2500ニトで、直射日光下ではないものの、明るい環境でも問題なく動画を観ることができた。
端末を開くと現れる内側ディスプレイは7.92インチだ。折り目はほとんど認識できない。端末を特定の角度に傾けて目をこらせばようやく見える程度だ。ディスプレイを指で触ると、さすがに折り目があることは分かるが、そのせいで体験が損なわれることはなく、快適に動画を視聴し、ニュースを読むことができた。前機種のMagic Vsは折り目が目立っていたことを考えると、大きな進歩だ。
Honorによると、ヒンジにはチタン合金が使われており、それが軽量化に加えて、おそらくは耐久性の向上にもつながっている。ヒンジは最大40万回の折りたたみに耐えられるという。つまり(1日に100回折りたたむと仮定して)理論的には10年間の使用に耐えられることになる。もっとも、折り曲げられるディスプレイが10年持つかは現時点では分からない。同社が主張する通りの耐久性があるかどうかについて、米CNET独自の検証はできていない。
なお、今回筆者が使用したサンプル機は機能を限定した初期モデルだったため、カメラやバッテリー、性能のテストやソフトウェアの評価はできなかった。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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