2007年以来、電子書籍リーダーは筆者の生活の一部となっている。大画面で読書がしたくて、「Kindle DX」の購入を真剣に検討したことさえある。同僚が電子ペーパータブレット「reMarkable 2」を購入し、どのように本を読んだり、メモを取ったりするのかを見せてくれたときは当然、興味をそそられた。
しかし、購入に踏み切ろうとしたそのとき、Amazonから「Kindle Scribe」が出た。10.2インチの大型ディスプレイを採用した、Kindleシリーズ初の手書き入力が可能なモデルだ。
それから7カ月。Kindle Scribeは今も出かけるときは必ず連れていく、筆者のメモ用タブレットとして活躍している。最初にKindle Scribeをレビューした時、筆者は改善してほしい点を7つ挙げた。今回の記事では、この7つを改めて振り返りたい。2023年に入ってから、Amazonはファームウェアのアップデートを3回実施した。つまり、今回の記事のテーマは「Kindle Scribeはどれだけ良くなったか」だ。筆者の考えを伝えよう。
Kindle ScribeはAmazonの電子書籍リーダーとしては最もサイズが大きく、過去15年間の最適化と機能の集大成というべき読書体験が楽しめる。Kindleのほとんどのモデルと同様に、購入時は電子書籍の読み放題サービス「Kindle Unlimited」の無料トライアルが付いてくる。このサービスについては、トライアル期間の終了後も契約を継続するだけの実用性があると感じた。
Kindle Scribeはオーディオブックサービス「Audible」にも対応しており、Bluetoothヘッドセットをつなげばオーディオブックも聴ける。当然、一般的な電子書籍を読むよりもバッテリーの消耗は早くなるが、大画面モデルのScribeでもAudibleを楽しめるのはうれしい。
光の反射を抑えた高輝度のE Inkディスプレイ、色調調節機能、10.2インチの大画面は素晴らしい読書体験をもたらしてくれる。残念だったのは、「Kindle Oasis」のページ送りボタンのような、ページがめくりやすい物理的なボタンがないことだ。特にKindle Scribeのような大型端末の場合、物理ボタンは必須の機能だと思う。
左側のベゼルが広すぎる気はするが、このおかげで左手で端末を持ち、右手で書き込むという作業がしやすい。面白いのは、端末を180度回転させても使えることだ。この場合、右側のベゼルが広くなり、ペンは左手に持つことになる。つまり、Kindle Scribeは右利きと左利き、両方の人に対応している。
注意点は、防水仕様ではないことだ。この数年間、筆者はKindle Oasisを海岸やプールサイド、時には浴室でも使ってきた。Kindle OasisはIPX8の防水性能を備えているからだ。そう考えると、最新型のハイエンドモデルであるKindle Scribeに防水機能がついていないのは残念でしかない。
恥を忍んで言えば、筆者のデスクの引き出しは、メモやスケッチを描き込んだノートであふれている。ノートがいっぱいになったら保管用の引き出しに突っ込み、最終的にはリサイクルに出すという行動を延々と繰り返してきた。紙を無駄使いせずに、メモの保存や共有ができる方法はないか考えてきた筆者にとって、Kindle Scribeはどんぴしゃの一台だった。
59ドル(日本では9980円)のプレミアムペンを使えば、ペンの消しゴム部分でこするだけで、描き込んだメモを楽にすばやく消せる。これは個人的には重要なポイントだ。プレミアムペンはオプションのアクセサリーだが、手書きメモ機能を最大限に活用したいなら、ぜひ手に入れてほしい。カバーをつけていない状態でKindle Scribeを使っている場合、ペンは本体の側面(ベゼルが狭い方)にマグネットで取り付けることができる。しかも、かなりしっかりとつく。
筆者のように、Kindle Scribeを毎日使うヘビーユーザーなら、最高の書き心地を維持するために、ペン先が摩耗していないかはこまめにチェックしたい。Kindle Scribeには交換用ペン先が5個、さらに交換用ツールが同梱されている。ペン先の交換は簡単だ。筆者はメモ機能をかなり使うので、最初に摩耗に気付いて以来、すでに2、3回は交換している。交換用ペン先は単体でも販売されており、10個セットで14.99ドル(同1980円)だ。
筆者は他にも多くのタブレットを所有しているが、ハードウェア的にもソフトウェア的にも、書くことが自然に感じられるような相性のいいスタイラスがなく、結局は使わないことが多かった。Kindle ScribeのようなE Inkのタブレットは、この問題を解決する。
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