宮川氏は幼少期をニューヨークを含めた海外で過ごした。日本に帰国したのは7歳。工学部を卒業後は東京海上日動に入社し、日本の営業スタイルを学んだ。ある時、会社の費用で留学できるようになり、スタンフォード大学を受験して合格。そこで、人生の転機となる体験をしたという。
「職歴が最低9年ないと入れないプログラムだったが、平均年齢は35歳くらいで、世界30カ国くらいからさまざまな人が家族持ちで来ていた。その当時、僕は31歳で『もっと早くからこの経験をしていればよかった』と感じた」(宮川氏)
留学をきっかけに教育の重要性を痛感。帰国後は教育事業を手掛けるライフイズテックに転職し、米国法人の立ち上げをゼロから担当。「自分以外のスタッフは全員米国人で、登記なども全て自分でこなし、米国でゼロからプロダクトやサービスを立ち上げる難しさを実感した」という。
一方のLum氏はクアラルンプールで生まれ。5歳からカナダに移住してバンクーバーのブリティッシュコロンビア大学に進学した。そして、カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校のMBAに合格したが、日本に興味を惹かれ、両親と「1年だけ」という約束で来日。1年の約束のはずが日本での滞在期間は14年に及んだという。
同氏が最初に立ち上げたビジネスは英会話スクールだった。その後、輸出入の仕事に携わり、グルーポンの日本法人の立ち上げにも参加した。その後、「日本が大好き」という当初の思いに立ち返り、ジャパンクレートのCEOに就任。日本のお菓子などを集めボックスとして世界中にサブスクとして販売するビジネスを手掛けるとともに、そのビジネスを米国のリテールにも浸透させ、日本のお菓子、食品をきっかけとして日本文化の浸透に力を入れた。
その後、ブッキングドットコムグループのアゴダに入社し、マネージングセールスを手掛けた。自身の強みはセールスとマーケティングだという。
そんな2人が出会ったのはロサンゼルスの公園だった。当初は単なる友達だったが、起業の構想が生まれたのは3年前。そして、2023年2月にLaunchStarzを設立した。しばらくは本業とのダブルワークだったが、6月末で勤めていた会社をそれぞれ辞め、LaunchStarzにフルコミットする形で活動を開始した。
7月に本格始動したLaunchStarzだが、さっそく日本貿易振興機構(JETRO)とタッグ。起業人材の米国渡航を促進する長期滞在型プログラム「Beyond Japan Zero to X」(Beyond Japan)の運営もサポートする。
「アメリカへ飛び出そう」と銘打つ同プログラムでは、米国への渡航費や宿泊費、プログラム費を国が全額負担する。対象はスタートアップや、米国展開を考える日本企業の社長や創業者、および新規事業や海外展開の責任者などを想定する。
Beyond Japanを手掛けるJETRO Los Angelesの津脇慈子氏は「国内で一定程度循環するスタートアップも重要だが、今の日本を支えている大企業の次の企業を作っていくことも大事。その意味で、国内のスタートアップが海外で活躍することもそうだし、国内で活躍する意味でも、海外市場をしっかり経験することが重要」とコメント。
続けて「海外が初めての方はピッチの仕方を学んでもほぼ通用しない。自分でVCや顧客へ連絡しようと思ってもうまくいかない。また、JETROへは、米国で活躍し始めているというスタートアップでも、『現地の給与水準をどう決めたら良いのか』『どういった規制になっているか』『誰にどうアプローチすればよいのか』など、フェーズごとに異なる相談が寄せられている」と説明する。
また、LancuStarzとタッグを組んだ理由については「JETROで海外進出を希望する企業から相談を受けていると、前述のあたりがペインポイントになっていると感じていた。米国のようなオーソドックスで立派なアクセラプログラムと、日本人ならではの『ぎゅっと詰まったサポート』をミックスしたプログラムを提供したいと思っていたところで2人と出会った。ここで組めればラッキーだと感じた」とも述べた。
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