国内スタートアップの米国進出を全方位で支援--LaunchStarz共同創業者に勘所を聞いた

 「LAにいる日本の起業家仲間に話を聞くと、皆同じところでつまずいている」「現地では日本人を騙そうとする日本人もいる」──。そう語るのは、国内スタートアップや起業家の米国進出をサポートするLaunch StarzのCo-Founderである宮川聡氏だ。

 岸田政権の「スタートアップ5カ年計画」では、起業人材の海外進出の重要性についても触れられているが、日本のスタートアップや起業家が米国に進出するにあたって、直面する課題は何か。また、落とし穴をどうすれば回避できるのか。LaunchStarzの共同創業者である宮川氏とKenny Lum氏に聞いた。

LaunchStarz Co-Founderの宮川聡氏
LaunchStarz Co-Founderの宮川聡氏
LaunchStarzのCo-FounderであるKenny Lum氏
LaunchStarzのCo-FounderであるKenny Lum氏

米国進出をめざす日本のスタートアップを360度で支援

 国内スタートアップの米国進出において大きな障壁となるのが、文化や商習慣の違いだ。アポイントの取り方や会議の進め方だけでなく、社会的な行動規範も異なると言い、こうした「困難」を事前にかわすことで、最短距離で米国進出を成功に導くのがLaunchStarzの支援サービスの内容だ。

 具体的にどのようなサービスを提供しているのか。宮川氏は「360度のオペレーションサポート」と語り、実務や人材採用、評価システムの構築、組織作りの支援などのサポートを提供するという。

 宮川氏は一例としてセールスの採用を挙げた。「米国と日本ではセールスの考え方が全く異なり、実際に米国に来てみないとわからない部分が多くある」と前置きし、次のように述べた。

 「日本と違う部分は丁寧に説明して『こういうスキルやマインドを持った人を雇ったほうがいいですよ』とアドバイスをする。また、米国はITや金融が発達しており、バックオフィスコストをかなり下げられる。『人を雇うお金があったら5000ドルだけ使ってこのシステムを導入したほうが良いですよ』みたいにアドバイスをしたり、会計士や弁護士の紹介も含め、米国展開する際にショートカットしやすいように障壁をなくしていきたいと思っている」(宮川氏)

 支援サービスのターゲットについては、すでにプロダクトがあり、日本での事業がある程度軌道に乗っている企業に加えて、ゼロから米国展開を望むスタートアップや起業家も対象にするという。

 「別に最初から米国でも良い。それは思考の問題で、日本を攻めてから米国に行ってもいいが、それすると二度手間で、ぜんぜん違うしローカライズも大変なので、だったら最初からやったほうがいいという考えもある」と宮川氏は語る。またLum氏は「セグメントごとに必要なサポートが違う。一番インパクトのあるサポートを届ける」と意気込む。

「わかっている落とし穴」はシェアしたほうが効率的

 日本企業に米国進出における失敗事例には、どのような共通要因があるのだろうか。宮川氏は「いくつもある」と前置きしたうえで、次のように説明した。

 「1つは意思決定のステークホルダーが多くなる例。よくあるのは、大企業が新規事業を立ち上げた際に、権限がほとんど本社に残っていて、本社が最初からマイクロマネジメントしてしまい駄目になる」

 また、やってみないとわからないことが多い点や、日本での当たり前が通じない点も要因に含まれるという。「例えば日本のVCからすべての資金を調達して米国に進出するとしても、VCも現地の事情をわかっていないから支援できない。だったら最初からこっちで資金調達したほうが良いとか、構造上の問題が多い」と宮川氏は話す。

 さらに「エコシステムが存在しないという問題」も挙げられるという。

 「毎回、皆が単独で戦いに行っている。LAに僕ら世代くらい若い起業家仲間がいるが、話を聞くとみんな同じ失敗をしている。『この失敗、僕ら10年前に知り合っていたら、お互いシェアして簡単に切り抜けられていたよね』となる。プロダクトの良し悪しや努力できるかはその人次第だが、落ちて初めて落とし穴に気がつく。わかっている落とし穴はシェアしたほうが効率的というのが、LaunchStarzの考え方」(宮川氏)

 また、海外には「日本人を騙そうとする日本人もいる」(宮川氏)といい、信頼できる仲間とつながる事が重要だという。「僕らだったらその選別をしてあるので、そういう人だけを紹介する。ここにくれば安心という場を提供したい」とも意気込む。

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