日本電気(NEC)は7月6日、Generative AI(生成AI)における日本語大規模言語モデル(Large Language Model:LLM)を開発したと発表した。
同LLMは、独自に収集・加工した多言語データを利用した、いわゆるファウンデーションモデル(基盤モデル)になるという。
性能面では、早稲田大学河原研究室とヤフーが共同研究により構築・公開した日本語言語理解ベンチマーク「JGLUE」を使用して日本語の知識量や文書読解力を計測。
現時点で知識量に相当する質問応答で81.1%、推論能力に相当する文書読解においては84.3%と世界トップレベルの性能を確認。さまざまな業種における業務において、十分な機能を発揮できるという。
また、各LLMの特徴のひとつとして、パラメータサイズの大小が用いられるが、パラメータのサイズを増やすことは、推論速度の低下やモデル運用に必要なGPU枚数、消費電力の増加などに繋がってしまう。そのため、同一の性能であればパラメータ数は少ないことが望まれている。
同社では、LLMの性能がパラメータサイズの他にも、学習に使われた高品質なデータの量や学習時間に左右されることに着目。独自技術によりパラメータ数を130億に抑えることで、GPU1枚搭載の標準的なサーバーで動作が可能としつつ、多量のデータと膨大な計算時間をかけることで、高い性能を実現した。
これにより、同LLMを組み込んだ業務アプリケーションでは、レスポンス良く動作し、業務運用時の電力消費やサーバーコストを抑えられるという。
さらに、顧客の業務に特化させたLLMが短期間で容易に構築でき、オンプレミス環境でも動作可能なため、秘匿性の高い業務においても安心して利用できるとしている。
同社では、国内企業で最大のAI研究用スーパーコンピュータを独自構築し、2023年3月に全面稼働を開始。これを活用することで、約1カ月の短期間で高性能なLLMの構築を実現した。
なお、同社では、すでに同LLMを社内業務で活用しており、文書作成や社内システム開発におけるソースコード作成業務など、さまざまな作業の効率化にも応用している。
今後は、ファウンデーションモデルをもとに、顧客のクローズドデータを用いた個社向けLLMの開発を推進。また、ファウンデーションモデル自体の性能改良も進め、これらの技術を「NEC Generative AI Hub」を通じて、早期実用化して行く予定だという。
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