セコムとディー・エヌ・エー(DeAN)は7月6日、セキュリティシステムのカメラ映像を活用し、店舗や施設の運営を支援するウェブサービス「dot-i」(ドットアイ)を共同で開発したと発表。7月7日から販売を開始、7月27日からサービスを開始する。
dot-iは、セキュリティシステムのカメラ映像を店舗や施設運営に活用するウェブアプリケーションサービス。PCやタブレット、スマートフォンからカメラ映像を確認でき、店舗や施設の効率的な運営やサービス品質の向上に役立つという。セコムが提供しているオンラインセキュリティシステム「AZ」シリーズで使用しているカメラを、dot-iと連携して利用することができる。
「サマリービュー」機能では、カメラが15分ごとに店舗の映像を10秒間撮影してdot-iのクラウドにアーカイブとして蓄積。管理者は店舗の陳列、清掃状況など店舗を運営する上での重要なポイントを遠隔で確認できるため、業務の効率化につながるという。15分ごとの映像はクラウド側で14日間保存。24時間のタイムスケールから時間を指定することにより、ひとつの店舗の棚や床、レジといった複数箇所(最大16台)のカメラ映像を最大6分割画面(6台以上の場合は複数ページ)で確認できるほか、複数の店舗で同じ場所(弁当棚など)を撮影するカメラ映像をまとめて表示し、比較することが可能となっている。
「昼ピーク前」「昼ピーク後」などチェックしたい業務上のイベント時間を「イベントラベル」として設定し、ワンボタンで確認することも可能。ピークタイム前に適切に商品補充ができているか、ピーク後の残商品を適切に陳列できているかなど、売上データだけでは見えない要因を遠隔で捉えられるため、より有効な運営品質管理に役立つという。店舗によってはピークタイムが異なるなど、イベントの想定時間が異なる場合でも、同じイベントラベルとして設定すれば複数店舗でまとめて比較が可能。陳列や清掃状況の確認など店舗運営の品質向上につなげられるという。
店舗スタッフと管理者とのコミュニケーションツールとして「業務指示・申し送り」機能を搭載。店舗内に設置したタブレットなどから簡単に管理者への申し送りや指示事項の確認が可能。管理者から店舗スタッフへ業務指示を送ることができるほか、店舗スタッフから店舗で発生した返品やクレームなどの申し送り事項を管理者に送ることもできる。申し送りメッセージは、テキストで送信する以外に写真や動画を付けて送ることも可能となっている。
dot-iについては1店舗から使用できるが、小売店や飲食店などをフランチャイズチェーンなど多店舗展開する企業において、複数店舗を巡回して品質管理や業績管理を行うスーパーバイザーなどの業務の効率化に役立つほか、近年増加している無人スポーツジムといった無人店舗などの活用を想定しているという。
セコムはセキュリティシステムを外部ネットワークと連携させるゲートウェイクラウドの開発と顧客への販売や契約を担当、DeNAはアプリケーション開発・運用を担当する。dot-iの初期費用は無料で、利用料金は1施設につき月額1万1000円(税込)。なお、オンラインセキュリティシステムであるAZシリーズの契約が別途必要となっている。
サービスの発表会で説明を行ったセコム 常務執行役員 企画開発担当の上田理氏は、サービス開発の背景として、昨今の人手不足や事業者に求められる業務効率化、セコムとして長年展開している企業向けセキュリティシステムの普及、クラウドやUI、UXなどテクノロジーの進化により、新たな顧客体験を提供できることを挙げる。また、AZをオープンなクラウドサービスと連携し、顧客の事業運営を支えるアプリケーション開発にも取り組んでいくことを表明しており、これらのクラウドサービスの商品ラインを「SECOM Business SaaS」(セコムビジネスサース)と定め、dot-iはその商品ラインの第1弾という。
DeNAとの協業については、警戒監視や受付などを、ディスプレ一上に3Dモデルとして表示したバーチャル警備員が担う「バーチャル警備システム」、ロボットを使ったシニア向けのコミュニケーションサービス「あのね」と展開してきたが、上田氏によれば、dot-iの構想や検討は2つよりも前から進めていたものと明かし「われわれとしては真打ちのサービス。これぞDeNAとやりたかったこと」と意気込みを示す。
こと防犯カメラについては、設置して24時間365日撮影し続けているなかでも、犯罪や事件、事故などで映像が活用されることはまれであり、防犯カメラ設置による抑止効果もあるがゆえ、映像は活用されないことのほうが多いという。上田氏は「店舗や通りなど、撮影し続けている映像の価値を無駄にしているのではないか。新たな技術やネットワークを活用して、埋もれている価値を生み出していく」と語った。
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