セコムとディー・エヌ・エー(DeNA)は3月23日、ロボットを使ったシニア向けのコミュニケーションサービス「あのね」を共同で開発。4月3日に発売すると発表した。初期費用は5万2800円(税込)、利用料金は月額4950円(税込)。
これは、セコムとDeNAが開発したシステム上で、ユカイ工学のコミュニケーションロボット「BOCCO emo」を活用し、シニアのQOL(Quality of life=生活の質)向上を目指すコミュニケーションサービス。利用者の生活リズムに合わせた声がけを行うほか、利用者からの話しかけに対して、コミュニケーターが内容に応じた返信を行うことで、自然な雑談を楽しむことができるという。
定期メッセージの配信については、事前ヒアリングをもとにスケジュール登録を行い、利用者の生活パターンに合わせた最適なタイミングで、1日約10回の定期的な声かけをする。メッセージは主に朝・昼・夜など生活リズムに合わせた声かけや、服薬の時間のお知らせといった注意喚起、雑学情報などを日替わりで配信を行う。
雑談などの利用者からの話かけに対しては、発話音声データをテキスト変換し、管理サーバーを通じて、コミュニケーターが音声データとテキストデータで発話内容を確認。返事を手入力して送信し、そのお返事となるテキストデータを、BOCCO emoが音声に変換して発話する仕組み。これによって自然なおしゃべりが可能としている。ただし、返事には一定の時間がかかる。なおコミュニケーターは、24時間365日体制で対応するという。
なお利用者との会話内容は、家族がスマートフォンで音声やテキストで確認することが可能。家族から利用者に向けてメッセージを配信することもできるようになっている。
利用者がすぐに使えるよう、BOCCO emoについては、あのね仕様にカスタマイズされており、あらかじめSIMも搭載。初期設定は不要で、電源を入れるだけで使用できるほか、人を検知したタイミングだけで発話する、音声コマンドの無効化(周辺の音を拾った意図しない動作を防止)が可能。操作案内用のシールも同梱している。なお、日常会話のサービスを提供するという位置づけとなっており、緊急通報用ではなく、セコムのセキュリティサービス(駆けつけ)には対応しない形となっている。
サービスの背景には高齢化の進展にともない、一人暮らしの高齢者の数が年々増え続けていることがある。そして独居高齢者の約半数は2、3日に1回以下しか会話をしていないというデータもあり、両社は、孤立が続くと認知機能や身体機能の低下をはじめとしたリスクにつながる恐れがあることを指摘。いつも誰かとつながっている安心感によって孤独の解消を図り、リスクの低減を目指す。
セコムでは、多様な見守りのニーズに応えるご高齢者向けのサービスを提供。2015年に開設した「セコム暮らしのパートナー久我山」では、企業や自治体と連携して高齢者との接点を構築し、超高齢社会の課題・ニーズの把握と新サービスの創造に取り組んでいるという。これまでに1万件以上の困りごとに対応してきたという活動のなかで、特殊詐欺が発生していることを背景に、高齢者に対して積極的に声かけや電話をしていたところ、何気ない声がけが喜ばれることが多く、コミュニケーションを主体にしたサービスの提供を考えたという。
実証実験は2018年から4年以上にわたり、約400名を対象に実施。そこで有料でも利用したいという声を多く受けたことから、サービスの有用性を確認。料金についてもヒアリングに基づいた価格設定をおこなったという。想定している利用者は、前述のように一人暮らしの高齢者で、販売目標は3年後に2万台としている。
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