OpenAIが2022年11月に「ChatGPT」を公開すると、この人工知能(AI)チャットボットはすぐに爆発的な人気を博し、世界中でAIの連鎖的な革新を引き起こした。ユーザーベースの増加は史上最速を記録し、公開からわずか2カ月後の1月にはアクティブユーザー数が1億人に達した。
その後もユーザー数は着実に増加し、2023年5月には月間訪問者数が2億人近くにまで達した。ところが、人気のChatGPTも6月には月間トラフィックとユニークビジター数が初めて減少に転じたと、分析会社Similarwebが報告している。
同社のレポートによると、デスクトップとモバイルでのChatGPTのウェブサイト(chat.openai.com)へのトラフィックは、全世界で5月から6月にかけて9.7%減少し、米国に限ると10.3%減少した。ユーザーのサイト滞在時間も全体的に短くなっており、訪問者が同サイトにとどまった時間は8.5%減少したという。
SimilarwebのシニアインサイトマネージャーDavid F. Carr氏によると、この減少はChatGPTへの関心の低下と、AIチャットの目新しさが薄れたことを示しているという。「チャットボットは今後、その価値を当然のものとするのではなく、自らの価値を証明しなければならなくなるだろう」と同氏はレポートで指摘している。
ChatGPTの人気爆発に伴い、そうしたAIチャットボットや生成AIツールが検索エンジンに取って代わる日が来るかもしれないとの臆測も広がった。しかし、Googleの6月の訪問者数が約840億人であるのに対し、ChatGPTの訪問者数は5月時点で約18億人だ。参考までに、「Microsoft Bing」の月間訪問者数は14億人を超えたが、検索エンジンの市場シェアで見ると、Googleが93%なのに対し、Bingはわずか3%弱にとどまっている。
OpenAIは2月、サブスクリプション制の「ChatGPT Plus」の提供を開始した。これに先立ち、同社の最高経営責任者(CEO)Sam Altman氏は、無料のChatGPTプラットフォームに「涙が出るほど高い」計算コストがかかっているとし、他の企業らは同社の技術を自社に有利なように利用していると述べていた。
MicrosoftはOpenAIと提携して「Bing」のチャットに「GPT-4」を組み込み、チャットボット形式でよりスマートなAI搭載検索エンジンの開発に利用している。Similarwebのレポートによると、OpenAIの開発者向けサイト(platform.openai.com)へのトラフィックは5月から6月にかけて3.1%増加したという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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