それだけではなく、Stravaは、他の多くのアプリでも行われているように、集約した形でユーザー情報を第三者に販売することがあるとプライバシーポリシーに明記している。つまり、特定ユーザーのデータが、匿名化のために他のユーザーのデータと結び付けて使われるということだ。Stravaアプリは基本的に無料だが、アスリートに人気がある統計追跡機能の多くは、月額11.99ドル(日本では1090円)または年額79.99ドル(同7800円)の費用がかかる。こうした料金が発生しているうえで、情報が第三者の手に渡っているのである。
同じ声明の中でStravaは、設定の切り替えでデータ共有は無効にできると説明しているが、デフォルトでは共有機能が有効になっている。プライバシーを強化する他の選択肢として、ランニングのスタート地点とゴール地点を非表示にする設定、さらにはマップを完全に隠す設定もある。
Sizemore氏は米空軍を退役した元軍人で、今でもフィットネスには熱心だ。だが、Stravaではなく別のフィットネスアプリを使っており、それにも個人情報を収集、共有する機能はある。大切なのは、こうしたアプリについて、自分のデータが収集、販売されていること、データ侵害を受ければおそらく盗まれることを理解したうえで利用するべきだ、と同氏は話す。
同氏はプライバシーを守るために、実名を使わず、収集されたデータが本人に結び付けられるような個人情報も使っていない。また、SNS機能もできる限り無効にしているという。Appleユーザーなら、「iOS」の機能を使ってメールアドレスを隠すこともできる。
セキュリティ業界のバックグラウンドを持つランナーの中には、もっとオフラインを貫いている人もいる。サイバーセキュリティ企業ThreatXの最高経営責任者(CEO)を務めるGene Fay氏は、59回もマラソンに出場しており、これからも参加を予定しているが、アプリやフィットネスデバイスはほとんど使っていない。
安全上の理由でスマートフォンは常に携行しているが、ランニングではなくゴルフのために使っているGarminのスマートウォッチは、もっぱら時間を見るためにしか使わなくなったという。
経験の長いランナーがよく言うように、Fay氏も「感覚で走る」、つまりその時のランニングに対する自分の身体の信号に耳を傾けるようにしており、近所を走るときでも、試合に出るときでもそれは変わらないという。初心者が無理をしないようにするために、スマートウォッチが役立つこともあるということは、同氏も認めている。
Fay氏は早起きで、目が覚めるときには「頭がざわついている」のだという。ランニングに出ると、1日の計画を立てながら、何をしなければならないか整理できるようになる。音楽もオーディオブックも聞かない。一種の瞑想のようなものだと同氏は語る。
「だから、テクノロジーは使わない。私はエリート主義でも潔癖主義でもない。個人的にランニングの楽しさは、ただ走りに出かけることにこそあると思う」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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