政府の新方針「アプリストア開放義務化」--iPhoneを危険に晒すだけで利点ゼロの可能性

 政府のデジタル市場競争本部は6月16日、「モバイル・エコシステムに関する競争報告書(案)」を公表した。

 iPhoneでのApp Store以外のアプリストアからの配信を可能とすることを迫った「国民のスマホを危険にさらす内容」となっている。

App Store
App Store

 政府のデジタル市場競争本部は今回の報告書において、iPhoneなどを販売するアップルに対し、App Store以外からアプリを配信できるように要求している。


 なお、海外でも欧州を中心に「App Storeの決済手数料が高すぎる。ここに競争を持ち込むことで決済手数料を引き下げたい」という声が出ている。実際、欧州ではルール化に向けて動き出しているが、実際に適用されるのは2024年3月とされており、導入によってどんな影響が出るか見えていない。

 米国でも一時期、同様の声が上がったようだが、すでに「過去の話」として風化している。なぜか、世界で日本だけが我先にと導入を急いでいるのだ。

App Store以外でアプリを配信するとなぜ危険なのか

 アップルが提供するアプリ配信ストア「App Store」以外でアプリが配信できるようになると、なぜ危険なのか。アップルではアプリを配信する際、審査を行っている。アプリがユーザーの個人情報を抜き出したりしないかなどプライバシーを徹底的に守ろうとしているのだ。

 そうしたアップルからの主張に対し、デジタル市場競争本部では「第3者が作るアプリ配信ストア自体をアップルが審査すれば良いのではないか」という案を盛り込んでいる。

 しかし、第3者がアップルにアプリ配信ストアの審査をお願いするとなれば、それだけ「審査料」が発生するの間違いない。つまり、ここでコストが発生すれば、第3者が参入したとしても決済手数料に審査料が上乗せされるため、トータルの決済手数料は安くならないオチが見えている。

 デジタル市場競争本部が狙う「第3者のアプリ配信ストアが参入することで期待される決済手数料の引き下げ」は画に描いた餅にしかならないのだ。

 デジタル市場競争本部ではアプリの安全性を高めるため、アプリ開発者に対してアプリの脆弱性検証を行うべきとしている。しかし、アプリ開発者が外部にアプリの脆弱性検証を依頼すれば、それだけで数十万から百万単位のコストが発生する。

 第3者のアプリ配信ストアの決済手数料が安くても、アプリを配信する脆弱性検証のためにコストがかかるようでは、結果的にアプリ開発者は第3者のアプリ配信ストアへのアプリ提出を敬遠するのではないか。 

 そもそも、アップルのApp Storeではこうしたコストは一切不要で、世界中に配信できるからこそ、アプリ開発者に支持されているのだ。

 デジタル市場競争本部ではアップルが提供する課金システム以外の課金方法を導入すべきとしている。また、アプリ開発者がアップル以外の課金システムを導入した際、アップルは手数料を取るべきではないともしている。


 しかし、アップルは「アプリのダウンロードと決済システムがきっちりと連携しているからこそ、返金対応などもユーザーにストレスを与えることなく、しっかりと行える。課金システムが別だとここまで連携した動きは難しい」と主張する。

 アップル以外の課金システムでは「アプリをダウンロードできなかったのに課金だけされてしまった」というトラブルが発生する可能性があるため、アップル以外の課金システムの併用は望ましくないというわけだ。

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