味の素、フィンランドのフードテック企業Solar Foodsと戦略的提携で合意

　味の素は5月30日、フィンランドのフードテック企業Solar Foodsと戦略的提携に関する基本合意書を締結したと発表した。二酸化炭素を栄養源として生成される微生物たんぱく質「Solein」を使用した商品開発および、シンガポールでの市場性検証を2024年度より開始するという。

　味の素グループは、「フード＆ウェルネス」「ヘルスケア」「ICT」「グリーン」を成長領域として、リソースを集中させている。

「Solein」

　特に、グリーンフード事業では、発酵技術やセルバイオ技術、おいしさ設計技術、現地適合したマーケティング力などの強みを生かし、サステナブルかつ、おいしくてヘルシーな新食材の開発および、フードシステムの共創を進めている。

　加えて、食材自体のおいしさ・栄養・食感などをデザインする技術を強化し、多様化する生活者のライフスタイル・嗜好や価値観の変化に対応しながら、新たな食の可能性を広げているという。

　今回協業するSolar Foodsは、フィンランドで2017年12月に設立。二酸化炭素（CO2）、水素、酸素、少量の栄養素を微生物に供給する独自のバイオプロセスによって、Soleinを開発した。

　通常、微生物がたんぱく質を生成するために発酵する際の栄養源としては、糖類などが使われる。しかし、Solein生成にあたっては、CO2を使用するという。

　天候や土地の有無に左右されず、天然資源にも依存せず、再生可能エネルギーを使用して製造するため、持続可能で環境負荷の低い食材であると評価されている。

　また、Soleinの成分は65〜70％がたんぱく質、10〜15％が食物繊維、5〜8％が脂質、3〜5％がミネラルで、必須アミノ酸を全て含む栄養価の高さが特徴。

　2022年10月には、シンガポールでノベルフード（これまで人間が食用として摂取してこなかった新しい食品や食品原料という概念）として、食品としての販売許可を取得している。

　なお、Solar Foodsは、Soleinの生産工場をフィンランドに建設中であり、2024年の完工以降商業生産を開始する予定。

　同社は、両社の目指すビジョンは一致しており、双方の強みを生かして協力し合うことによりSoleinを使用した商品展開が加速できると判断したという。Soleinの商業生産を開始する2024年の工場完工以降、販売許可を取得しているシンガポールでの商品開発および、市場性検証を実施するという。

　今後、シンガポール以外の国・地域での販売許可取得に向けて協力し合い、人と地球が共に繁栄する“with Earth”社会の実現に向けた持続的なフードシステムの構築を図っていくとしている。