つまらない。5月にスコットランドでいち早く一般運用が開始された自律走行バスサービスを利用した感想を聞かれたら、筆者はそう答えるだろう。そして、つまらない、普段と何も変わらないと感じることこそが、最も重要なポイントだ。人間ではなくコンピューターによって運転されるこのバスは、普段仕事や買い物に行くために利用するバスと同じである。だが、多数のセンサーとコンピューターが搭載されているという点で、この一見つまらない移動は、実際には公共交通機関にとって極めて大きな技術的マイルストーンとなっている。
筆者はメディア向けテストの日にこのバスに乗ったが、現地時間5月15日から、時刻表に沿った一般向けの完全運用が開始され、これと同じ5台の自律走行バスがスコットランドの首都エディンバラの郊外にある象徴的なフォースロード橋を渡る14マイル(約22.5km)の路線を走行している。これは公道での自律走行バスサービスの先駆けとなる。このバスは、他の乗り物や信号機、自転車、歩行者など、さまざまな危険が存在する公道をうまく走行しなければならない。
この「CAVForth」(CAVは「コネクテッド自律走行車」を表す)というプロジェクトを主導しているのは、英Fusion Processingだ。同社によると、それらの自律走行車の最大の利点は安全性だという。世界中のほとんどの交通事故は人為的ミスによって引き起こされているため、自律走行車の登場によって、道路の安全性が高まることが期待されている。自律走行車に搭載されたコンピューターは、疲れることも、飲酒運転をすることもなければ、道路脇の広告や後部座席にいる子どもたちの叫び声、電話の呼び出し音に気を取られたり、大きなサンドイッチを食べようとして、注意がおろそかになったりすることもない。
さらに、CAVForthでは、コンピューターシステムが実現する運転効率の向上により、燃料消費量も20%減少することが見込まれる。バスが信号機と通信して、赤信号に近づくとアラートを受信し、走行速度を調整して、より効率的に走行を続けることができるという点も、その効率化に寄与する。現在運行している5台のバスは、既存のディーゼル駆動車両をベースとしているが、排出ガスをさらに削減するために電気駆動モデルを導入する計画もある。
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