Googleは米国時間5月11日、「Google Workspace」の新機能「Duet AI for Google Workspace」を発表した。同社の最も幅広く利用されているツール群に新たな人工知能(AI)技術を搭載することになる。
Googleは開発者向け年次カンファレンス「Google I/O」で、Duet AIを「Gmail」や「Googleドキュメント」に搭載することで、短いテキストプロンプトから電子メールや文書の下書きを作成できるようになると説明した。最高経営責任者(CEO)のSundar Pichai氏は、Gmailの「Help me write」機能のデモを同カンファレンスで見せた。このデモは、予約していた航空便の欠航に伴うバウチャーの発行通知が航空会社から送られてきたものの、全額の返金を求めるための電子メールを作成するというものだった。同氏はまずプロンプトによって短い返答を生成してから、より厳格な文体の詳細なメッセージを作成してみせた。
Pichai氏は、「全額返金を求める電子メール内でプロンプトを入力し、『Create』(作成)ボタンを押すだけで、草稿が表示される。また、過去の電子メールからフライトの詳細な情報も自動的に引用される。この草稿は送信するべき内容に極めて近いものだろうが、さらに詳細を書き加えたい場合もあるかもしれない。その場合、より多くの情報を電子メールに盛り込むことで、返金の可能性を上げられるかもしれない」と続けた。
また他の例として、ペットのサービス業者が顧客とその飼い犬の情報を管理したい場合、テキストプロンプトから「Googleスプレッドシート」のシート内に表を作成できるようになる。「Googleスライド」では、テキストプロンプトに基づいた画像を生成し、プレゼンテーションの説得力を高めることができる。
こうした用途は、この10年間において大きく進歩してきている機械学習(ML)技術に新たな創造的要素をもたらす今日の「生成型AI」ができることを例示するものだ。OpenAIの「ChatGPT」に代表される生成型AI技術は、例えば詩の制作やプログラミングの実行といった、創造的な、あるいは生産的な作業で同技術を使用しようとする人々のイマジネーションをかき立ててきている。その一方で生成型AIは、学生による不正が新たな段階に入ると危惧する教育関係者に悪い意味での衝撃を与えるとともに、税務コンサルタントや法律家補助員といったホワイトカラーの職を奪うという不安の声も引き起こしている。
Googleの新たなツールはまだ利用可能になっていないが、同社はWorkspace Labsのウェイティングリストを用意して、サインアップできるようにしている。同社はこれら機能に向けたビジョンを3月に発表して以来、製品を試用する「信頼できるテスター」の数を増やしてきている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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