ソフトバンクグループは5月11日、2023年3月期決算説明会を開催した。代表取締役会長兼社長の孫正義氏は登壇しなかったが、取締役 専務執行役員 CFO 兼 CISOの後藤芳光氏は「(孫正義氏は生成系AIの進化について)『俺の時代が来た』という感じで高揚している」と明かした。
同社の2023年3月期の連結決算は、純損益が9701億円の赤字となり、前期の1兆7080億円に続く2期連続の最終赤字となった。なかでも、ビジョンファンド(SVF)事業の投資損失は8351億円(前期は3兆4347億円)だった。ソフトバンクグループ本体ではアリババ関連取引で4.6億円の利益が生じたが、損失をカバーできなかった。
後藤氏は2022年度を振り返り「金利上昇や地政学リスク、厳しい市場環境のなかで守りの1年だった」とコメントした。
また、Armの上場準備は順調とする一方、米国証券取引委員会(SEC)に上場計画を提出中であることから「詳細はコメントできない」(後藤氏)とした。
後藤氏は2023年度の投資戦略について「2023年度も地政学リスクなどからボラティリティーの高い市場環境が続く」とし、守りの姿勢を継続するという。一方で、生成系AIの登場を踏まえ、リスクを抑えつつ一定の投資を実施するという。
中でも、ChatGPTを始めとする生成系AIのインパクトについて後藤氏は「AIが今ある全産業を再定義するというのが我々の戦略。その観点で、生成系AIの登場であらゆる分野がかなりのスピードで進化し始めている。皆さんも変化が手に取るようにわかる数カ月だったのではないか」と述べた。
なお、AI革命を掲げて投資を実行してきた同社だが、「生成系AIの波に乗れていないのでは?」との声もある。これに対して後藤氏は「ArmのチップはAIにとって不可欠であり、Armに取り組むこと自体が、AIをリードすることに繋がる。孫さんは今忙しくArmのビジネスモデルの追求に取り組んでいる」と述べた。
また「OpenAIに投資できなかったのはなぜか」との記者の問いには「(OpenAIについては)もちろん存じ上げていた。ただ、現実的には投資していなかった。これはなぜかというのは、我々の中でもいろいろな考えがあるが、コメントを差し控える」と述べるに留めた。
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