5月11日、グーグルから最新スマートフォン「Google Pixel 7a」が発表された。同日に発売を開始した「Googleストア」のほか、au、ソフトバンクに加えて、NTTドコモからも発売される。Googleストアでの販売価格は6万2700円(以降、価格はすべて税込)となっている。
近年グーグルは「Google Pixel」シリーズを、年2回リリースしている。秋にハイエンドモデルが登場し、5月開催の開発者向けのイベント「Google I/O」にあわせて、製品名の最後に「a」が付いた廉価版の「A-Series」が投入されるのが、ここ数年のパターンだ。
Pixel 7aも、2022年秋から発売中の「Pixel 7」「Pixel 7 Pro」の廉価版という位置づけだが、果たしてこれを廉価版と呼んでいいものだろうか。前モデル「Pixel 6a」(5万3900円)に比べて、価格が高くなっていることを言っているのではない。廉価版と呼ぶには、上位モデルにあたるPixel 7(8万2500円~)から見劣りする部分が少ないからだ。
たとえばプロセッサーには、Pixel 7/7 Proと同じ「Tensor G2」が採用されている。RAMは8GBで、6.1インチFHD+(1080×2400)のOLEDディスプレイは、Pixel 7と同じ最大90Hzのリフレッシュレートをサポートしている。背面のメイン広角カメラは64メガピクセルで、超広角カメラとフロントカメラは13メガピクセル。センサーサイズは異なるものの画素数だけでいえば、Pixel 7/7 Proの50メガピクセルのメインカメラ、10.8メガピクセルのフロントカメラを上回っている。
外観も前モデルのPixel 6aに比べると、フレームやカメラ部分に金属パーツが使用されるなど、高級感が感じられるデザインになっている。Google Pixel Phones プロダクトマネジメント シニアディレクターのピーター プルナスキー氏によれば、新たに設計されたミッドフレーム構造のおかげで、これまでのA-Seriesでは最も耐久性が高いとのこと。万が一落としても、ディスプレイにダメージを受けにくいという。なお、カバーガラスはPixel 6aから変わらず、「Corning Gorilla Glass 3」が採用されている。
生体認証は指紋認証に加えて、Pixel 6aにはなかった顔認証にも対応する。画面内指紋センサーの認証スピードは速く、ストレスはないが、顔認証が併用できればより素早くスマホを使い始められる。セキュリティではほかに、「Google One VPN」も利用可能。Pixel 7/7 Proと同様に、サブスクリプション契約がなくても利用できる。
このほか、防水・防塵はIP67に準拠。バッテリーは4385mAhで、急速充電のほかA-Seriesでは初めて、ワイヤレス充電もサポートする。
では、上位モデルとの差異はどこにあるのか。まず、わかりやすい違いは、6.1インチというコンパクトなディスプレイサイズだ。大画面を求める人にはデメリットかもしれないが、コンパクトなスマートフォンを求める人には、むしろメリットと受け止められるだろう。実際に高さ152mm×幅72.9mm×奥行き9mm、重さ193.5gと、Pixel 6aよりもほんの少し幅広になってはいるものの、ぎりぎり片手操作ができるサイズ感で持ちやすい。
背面には、デジタル8倍ズームが可能な64メガピクセル(画角80度、F値1.89)の広角カメラと、13メガピクセル(画角120度、F値2.2)の超広角カメラを搭載。フロントにも13メガピクセル(画角95度、F値2.2)のカメラを搭載する。前述のように画素数は高くなっているが、Pixel 7が1/1.31インチなのに対して、Pixel 7aは1/1.73インチと、センサーサイズが異なる。また上位モデルにあるマクロフォーカスもサポートされていない。
一方で、Tensor G2のポテンシャルを発揮する、AIを用いたカメラ機能は概ね利用できる。夜景モードや前モデルにはなかった長時間露光、ポートレートのほか、動画はいずれのカメラでも4K(30 FPS/60 FPS)撮影が可能。夜景モードの撮影スピードも、前モデルと比べると明らかに速くなっていてサクサク撮れる。
また、画面から不要なものを削除したり、目立たなくしたりできる「消しゴムマジック」や、ピンボケ写真を復活させる「ボケ補正」など、AIを用いた編集機能も上位モデル同様に充実している。
Tensor G2を活用したAI機能は、カメラだけに止まらない。通話中のノイズを低減して音声を聞き取りやすくする機能や、音声認識によるテキスト入力、自動文字起こしや自動翻訳など、Pixelシリーズならではの、便利機能が上位モデルと同様に利用できる。
たとえばLINEやメッセンジャーなどでも利用できる音声入力や自動翻訳機能は、一度使い始めると手放せなくなるくらい、コミュニケーションを簡単かつ円滑にする。
また、自動文字起こしが可能なレコーダーには最近、英語のみのサポートながら、話者を聞き分けられる機能も追加されている。今後日本語でも対応すれば、会議の議事録作成などにより便利に使えるだろう。Google I/Oではほかにも、AIを用いたさまざまな機能が発表されていて、今後のアップデートが楽しみだ。
前モデルのPixel 6aも高コスパモデルとして注目を集めたが、Pixel 7aはさらに上位モデルとの差が縮まっている。価格は前モデルより9000円ほど高い設定だが、コスパの高さは前モデル以上という印象だ。加えて国内では、「Pixel 3a」以来4年ぶりに、ドコモが発売することも大きな話題となりそう。当然ながらドコモの5Gバンド「n79」にも対応している。
カラーは「Charcoal」「Sea」「Snow」「Coral」の4色で、同色の「Pixel Buds A-Series」と色合わせが可能。グーグルは、Pixel 7aのカラーラインアップにあわせて、Pixel Buds A-Seriesにも新色を追加している。
また、Googleストアでは、Coralカラーを「赤のエンタメパック」として、「YouTube Premium が 12カ月分無料」になる数量限定の特典付き販売や、オリジナルケース、Googleストアクレジット特典、対象スマホの下取りをセットにした発売記念パッケージの期間限定(5月22日まで)販売も展開している。高コスパなPixel 7aをさらにお得に買うには、キャリアかGoogleストアか、悩むことになりそうだ。
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