グーグルのスマートフォン「Pixel」シリーズの最新モデル「Google Pixel 7/7 Pro」が発売された。Googleストアの価格(税込)はPixel 7が8万2500円~、Pixel 7 Proが12万4300円~。メモリーは12GBで、ストレージは128GB、256GB、512GBから選択可能。前モデルから引き続きKDDI(au)とソフトバンクが取り扱っている。
Google Pixelは、最新のAndroid OSをいち早く使えるリードモデルであるだけでなく、AIを用いたさまざまな機能でも注目を集めてきた。前モデルの「Pixel 6/6 Pro」では、AIの処理をクラウドではなくオンデバイスで実現するために、独自開発したチップセット「Google Tenser」を初めて採用。Pixel 7/7 Proには、その第2世代となる「Google Tenser G2」が搭載されている。
前モデルで話題を集めたGoogleアシスタントのリアルタイム通訳や、日本語の自動文字起こしができるレコーダー、写真から不要なものを一瞬で削除できる「消しゴムマジック」などは、オンデバイスAI処理が実現するもの。こうしたPixelならではの機能はそのままに、新しいチップセットでは処理能力をさらに高めつつ、省電力性能もアップされている。AIを用いた新機能を中心にその実力をチェックした。
Pixelシリーズは前モデルで大幅にデザインが刷新されたが、Pixel 7 Proでも引き続きそのデザインが踏襲されている。ポケットなどからスムーズに出し入れできるように、全体に角を落とした滑らかな形状とし、周囲にはポリッシュ仕上げのアルミニウム製フレームを使用。背面には左右に横たわる印象的な「カメラバー」が配置されている。
Pixel 7 Proではカメラバーも周囲のフレームにあわせたメタル仕上げで、カメラを配置した部分が丸く抜かれている。形状はほぼ同じながら、背面の印象は前モデルとは少し異なっている。一方で高さ162.6mm×幅76.6mm×奥行き8.9mm、重さ212gというサイズは大きく変わらず。ずっと手にしていると持ち重みがしてくる、片手操作はちょっと厳しいサイズ感と言える。
前面のガラスの端がアール状になっていて角がない。OSは「Android 13」で、壁紙やアイコン、文字などユーザーの好みに合わせたデザインで統一できる「Material You」が利用できる
カメラバーがメタル調になり、カメラの位置がわかりやすくなった。シックなカラーとの組み合わせでエレガントな雰囲気に。カラーは写真のHezelのほか、白×シルバーのSnow、黒×ガンメタルのObsidianの3色
真横からみると「カメラバー」が大きく出っ張っていることがわかる。おかげで下にして置いたときに端末に傾斜ができて、手に取りやすい
純正のカバーを装着すると、カメラバーの出っ張りがいい感じで収まる。カラーにあわせたケースが選択でき、ケースのロゴもメタル調になっている
6.7インチQHD+の有機ELディスプレイは、最大120Hzのリフレッシュレートをサポート。また最大輝度は1000ニト(ピーク輝度1500ニト)とかなり明るい。先日、晴天の日に頻繁に地図を参照する機会があったのだが、太陽光の下でも細かい文字をしっかり読むことができた。
一般にリフレッシュレートや輝度が高ければ、その分だけバッテリーも消費しやすくなるが、Pixel 7 Proは不要時にリフレッシュレートを下げてバッテリー消費が抑えられる。スペックでは「スーパー バッテリー セーバー」有効時、前モデルの最大48時間に対して最大72時間の使用が可能となっている。実際の使用感としても、前モデルに比べてバッテリー持ちが良くなった印象。カメラを酷使した際も、2日間は使用することができた。
生体認証は画面下の指紋認証に加えて、新たに顔認証にも対応している。AIを用いてカメラで捉えた特徴を照合するもので、登録が簡単かつ認証スピードも速い。顔認証していることがわかるようにフロントカメラ周囲がマークされ、失敗すると画面内に指紋認証のマークが表示される。指紋認証も前モデルではエラーになることがあったが、精度が上がったように思う。マスクなどで顔認証がダメなら指紋認証と、生体認証がWになったことで安心感が増すと同時に、素早くロック解除ができる。
Google Tenser G2で強化されたAI処理が最もその真価を発揮するのは、やはりカメラだ。前モデルでも高い評価を得ていたカメラだが、Pixel 7 Proでは、ワイド、ズーム、マクロの3つが揃って、よりオールマイティに写真が楽しめるようになった。
センサーサイズ1/1.31インチで明るく撮れるメインカメラ、画角125.8度でオートフォーカス対応の超広角カメラもすごいが、これらのカメラを組み合わせることで、デジタルズームとは思えないほどクリアに撮れる望遠カメラの映像は圧巻。また「消しゴムマジック」と同様に、撮影後にピンボケや手ブレ写真を補正できる新機能も追加されている。
以下はいずれも、実際にPixel 7 Proで撮影したスナップ写真だ。
光学5倍に加えてデジタル30倍のズーム撮影が可能。ズームアップした映像を、より高精細なメインカメラの映像で補うことで、30倍まで寄っても驚くほどクリアな写真が撮れる。1倍、5倍、30倍の作例をいくつか並べて見ると、そのクリアさが実感できるはずだ。
夜景モードでは低照度のシチュエーションでも、白飛びや黒つぶれのない鮮やかな写真が撮れる。AIの処理能力がアップしたため露出時間が短くなっていて、さくさく撮影できるのが楽しい
Googleフォトに「ボケ補正」という新しい機能も追加された。ピントの甘い写真や多少手ブレしてしまった写真を、AIによる補正でクリアな写真にする。ボケが大きいものや別のところにピントがあってしまったものなどはうまくいかないこともあるが、失敗写真が甦るすごい機能だ。
やや日が落ちてきたところでポートレートモードで撮影したところ、目元がややブレてぼんやりとした写真に。ワンタップで修正され、クリアな写真になった。
ワイド、ズーム、マクロのいずれでも、コンピューテーショナルフォトグラフィを極めたPixel 7 Proのカメラの満足度は非常に高い。さらにオンデバイスでの処理能力がアップしたAIは、カメラだけでなく音声文字起こしやリアルタイム翻訳においても、高い満足感を与えてくれる。目に見えるような劇的な進化があるわけではないが、たとえばリアルタイム文字起こし&翻訳機能をひとつとっても、文字起こしの速度と翻訳の精度がとも高くなっているように感じる。またレコーダーは日本語と英語のほかドイツ、フランス、スペイン、イタリア語にも対応。近く、話者を認識した文字起こしも可能になるという。
最近は海外で行われるビジネスイベントが、オンラインでリアルタイムに見られるのも当り前になってきたが、そうした際に自動文字起こし&翻訳機能が使えたり、録音した音声を再生しなくても文字で内容を確認できたりするのは、仕事の効率アップにつながる。Google Tenserを搭載するPixelシリーズは、筆者にとってもはやなくてはならない仕事道具だが、Pixel 7 Proはさらに手放せない存在になりそうだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?