人工知能(AI)は、スマートフォンの使い方という点でより大きな役割を担いつつある。Googleは米国時間5月10日、AIを用いてテキストメッセージの文体を変えたり、「Android」機器向けの壁紙を新たに生成したりする新機能を発表し、生成型AI、つまりテキストプロンプトに基づくコンテンツ生成が可能なAIという分野で主導的地位を確立しようと野心をあらわにしている。
この発表は、同社の年次カンファレンス「Google I/O」で行われた。Google I/Oでは新たな製品や開発者向けツール、実験的なテクノロジーの披露が通例となっている。なお生成型AIは、OpenAIの「ChatGPT」が2022年11月に公開され、大きな成功を収めて以来、2023年のテクノロジー業界におけるバズワードとなっている。
Googleは今回、このテクノロジーがどのようにAndroidとそのアプリに搭載されるのかを垣間見せてくれている。それによるとGoogleのアプローチは今のところ、生成型AIを用いてモバイル機器にさらなるカスタマイズ能力とパーソナライズ能力をもたらすという点に尽きるようだ。
Androidのエンジニアリング担当バイスプレジデントを務めるDave Burke氏は「これまでの取り組みでわれわれが得た教訓の1つに、システムのカスタマイズ能力を高めていくと、あらゆる設定項目を用意しなければならなくなり、極度に複雑化していくというものがある」と述べ、「そんな中、このようなことをスマートに実行する方法が実際に存在しているという点に気付いた」と続けた。
その一例が「Magic Compose」だ。これは同社の「メッセージ」アプリに追加される機能で、今夏にベータ版として公開される予定となっている。この機能では、メッセージの文脈に応じた返信を提案するほか、書き終えたメッセージをよりリラックスした語り口にしたり、エキサイティングなものにしたり、さらにはシェークスピア作品のような格調高い文体に変更できる。Google I/Oの開催直前に9to5Googleがリークした内容とよく似ている。文体の変更は、アプリ内にある魔法の杖のようなアイコンをタップすることで利用できる。
Burke氏によると、Magic Composeでカスタマイズされたメッセージに、その旨の注釈が付くことはない。これは、一連のループに人間が介在しているためだという。つまりこの機能は、ゼロからメッセージを書き起こすのではなく、ユーザーのテキストを修正するものであり、送信前に編集できるようになっている。
同氏は「われわれは提案をするだけであり、皆さんはそれを修正できる」と述べた。
Googleは、生成AIを使ってAndroidの新たな壁紙をオンデマンドで作れる機能も発表した。カテゴリーやプロンプトの選択肢から好みのものを選んでいくと壁紙ができあがる。例えば、「city by the bay in a Post-Impressionist style」(ポスト印象派風の港湾都市)などのプロンプトを選ぶと、その説明に合った新しい壁紙が生成される。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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