TikTokで@looklikeyouliftという名前で活動しているBraydon Barrett氏には、29万人以上のフォロワーがいる。スポーツ選手のトレーニングをサポートするストレングスコーチとして10年以上の経験を持つ同氏は、フィットネスのあらゆる「秘訣」を学んだという。有害なトレーニング方法を販売するインフルエンサーに嫌悪感を抱いていたことから、同氏はソーシャルメディアや「Discord」を通して、それらの秘訣を無料で提供するようになった。
Barrett氏は、サプリメント会社から広告契約の依頼を受けた後、虚偽の主張をしているインフルエンサーに遭遇したことがきっかけとなって、TikTokでフィットネス関連の誤った情報に反論するようになった。同氏は専門的な経験と生化学のバックグラウンド、さまざまな研究結果を駆使して、そのインフルエンサーの主張が誤りであることを立証した。
「TikTokにはフィットネス関連のでたらめな情報があふれているが、率直に言って、私はそのほとんどについてあまり気にしていない。私が反応して、動画を作成するのは、実践したら間違いなく危険な目に遭うであろう情報を見つけたときだ」(同氏)
これまでも、フィットネス業界には誤った情報がずっと流布していた。変化したのは、社会が健康をより重視するようになったことと、ソーシャルメディアが拡大したことだ。健康を改善する方法を探す人が増えるにつれて、フィットネス情報の量も爆発的に増加してきた。カリフォルニア州立大学フラトン校の運動学教授であり、同大学の研究施設The Center for Sport Performanceでディレクターも務めるAndy Galpin氏によると、フィットネス情報の増加に伴い、誤った情報もより多くまん延するようになっているという。
健康に関する話は、人々の関心を引く。意図的に大胆な内容の話をする場合は特にそうだ、と同氏は言う。
Galpin氏によると、健康情報に関して言えば、方法論はたくさんあるが、概念を伝えるものはほとんどないという。
「あなたにとって最適な戦略は1つではない。同じくらい効果的な戦略がおそらく何千種類もあるはずだ。したがって、魔法のように完ぺきな戦略を1つ見つける必要はない。大多数の人にとって、それは全く不要なものだ」(同氏)
TikTokは、同プラットフォーム上で誤ったフィットネス情報がまん延していることについて、コメントしなかった。同社は以前、TikTokのコミュニティーガイドラインは、「有害な誤情報を許容しないことと、こうした情報を削除することを、明確に定めている」と述べている。
ソーシャルメディアには、フィットネスに関する誤った情報があふれているが、科学的な裏付けのある良質なデータを見つけて、成果を上げることは可能なのだろうか。専門家によると、何に注意すべきかを知ってさえいれば、それは可能だという。
ラトガーズ大学で刑事司法を学んでいる22歳のRedain Caije氏は、ボディービルについてもっと詳しく学びたいと思っていたが、ソーシャルメディアで良質な情報を見つけるのに苦労した。2020年に新型コロナウイルス感染症の世界的流行が発生したころから、同氏はTikTokを閲覧するようになり、同プラットフォーム上ででたらめな情報が大量に拡散されていることに気づいた。そこで、同氏は筋肉トレーニングの背後にある科学について、独学で調べるようになった。
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