筆者はかれこれ10年にわたり、テクノロジー製品のテストとレビューに携わっている。もはや新型のスマートフォンを目にしても、興奮を覚えることはめったにない。ディスプレイを折り曲げられるスマートフォンでさえ、登場から約4年がたち、目新しさを失った。
しかし、サムスンの「Galaxy Z Fold4」を使っていくうちに、折りたたみスマホの可能性と現在の妥協点について多くのことが分かってきた。Z Fold4は発売時に少し使っただけだったが、3週間ほど前からメインで使うスマートフォンのひとつとして、毎日のように使っている。
発売からすでに7カ月が過ぎているが、意外な発見もあった。その中には、折りたたみスマートフォンの未来を予見させる、うれしい発見もあったが、今後に不安を覚えるような、残念な発見もあった。
言うまでもなく、Galaxy Z Fold4の最大の魅力はタブレット並みのメインディスプレイにある。先日飛行機に乗った時は、「iPad」を家に残し、Z Fold4が誇る7.6インチの大画面で「Netflix」を楽しんだ。Z Fold4の大きな画面は、レストランでオンラインメニューを眺めたり、ビデオチャットをしたり、ニュースサイトの記事を読んだりする時も役に立つ。
「タブレットにもなるスマートフォン」は、アーリーアダプターやテクノロジー製品に詳しい人にとっては、目新しいアイデアではない。しかし、その他大勢の人にとっては今も斬新なコンセプトだ。iPadを愛用する母にGalaxy Z Fold4を見せた時は興味津々だった。この10年間に筆者がレビュー用に持ち帰ったガジェットの中で、これほど母を興奮させたものはない。
友人たちも同様だ。誰もが好奇心、興奮、懐疑心を隠しきれない様子だった。友人とレストランに出かけ、メニューを大きな画面で見ようとGalaxy Z Fold4を開くと、友人は声を上げて驚き、Kindleで本を読みながら食事をする気か思ったと言った。
これはZ Fold4を数週間使ってみて、私自身が感じたことでもある。現在のところ、Z Fold4の最大の利点は、タブレット並みの大画面でアプリを見られることだ。筆者は、ディスプレイを分割して複数のアプリを動かすことに興味はない。むしろ、何かをするなら画面全体を使いたい。Z Fold4は、ディスプレイを半分に折り曲げた時にソフトウェアを画面の上部と下部に分割して表示する「フレックスモード」に対応している。この機能は確認のために試したことはあるが、個人的に使いたいと思ったことはない。
大画面が素晴らしいのはもちろんだが、スピーカーの出来にも感心させられた。筆者はスマートフォンで音楽をかけながら部屋を掃除したり、身支度を整えたりすることが多い。Galaxy Z Fold4は筆者が普段使っている、もっと小さいスマートフォンよりもずっと簡単に寝室全体に音を響かせることができた。これはZ Fold4がエンターテインメント用端末としても理想的であることを示している。
バッテリー駆動時間はそこそこ長い。特筆すべきほどではないが、通常の使用であれば、1回の充電で1日は余裕で過ごせる。しかし旅行に持っていった時は、不慣れな道を案内してもらったり、飛行機の中でNetflixを観たり、「Uber」や「Lyft」といった配車サービスを頻繁に使ったりしているうちに、早々に充電器の世話になることになった。
Galaxy Z Fold4には、「Galaxy S23」と同じく5000万画素のメインカメラ、1200万画素の超広角カメラ、1000万画素の望遠カメラが搭載されている。また、どちらの機種も光学3倍ズームとデジタル30倍ズームに対応している。厳密な比較はしていないが、Galaxy S23の写真は暗い部分のコントラストが高く、全体にZ Fold4の写真よりも画質がやや勝っている印象を受ける。
考えられる理由は、Galaxy S23に搭載されているQualcommの新プロセッサー「Snapdragon 8 Gen 2」だ。このプロセッサーはサムスンのGalaxyデバイス用に最適化されているため、バックエンドの処理が改善されている可能性がある。それに比べると、Galaxy Z Fold4に搭載されているのはQualcommの前世代のプロセッサー「Snapdragon 8+ Gen 1」だ。しかし、下の猫の写真を見ると分かるとおり、どちらの機種も低照度下での撮影性能は高い。
Galaxy Z Fold4のような機種に興味を持つ人はディスプレイを重視しているため、カメラにはそこまでこだわらないかもしれない。しかし、高額なモデルを買うならカメラも一級品であってほしいものだ。Z Fold4はこの条件を満たしてはいるが、サムスンは通常、最高性能のカメラを「Galaxy S」シリーズに搭載していることは心に留めておきたい。
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