筆者はゲーム開発者会議Game Developers Conference(GDC)2023で、ゲーミングデバイスメーカーRazerのブース内に設けられたオフィスの席に座り、かつて体験したことのない感覚を味わった。そこでビデオゲームをプレイしたところ、コントローラーとヘッドホンが異なる強さで振動し、しかも自分の好きな強さに調整できたのだ。その後、超大作のスーパーヒーロー映画を鑑賞してみると、ヘッドホンがアクションに合わせて振動した。これらはすべて、同じソフトウェア「Haptic Composer」で制御されていた。
Razerが2022年に買収した技術スタジオGo Touch VR(Interhapticsとしても知られる)の技術に基づくソフトウェア開発キット(SDK)を使うと、企業はゲームや映画などのメディアに振動を簡単に追加できる。Go Touch VRの創設者で、現在はRazerのハプティクス担当アソシエートディレクターを務めるEric Vezzoli氏は、このソフトウェアで何ができるかを教えてくれた。
同氏によると、Haptic Composerはわずか1日でゲームに実装でき、コントローラー、スマートフォン、ヘッドホン、ハプティック(触覚)ベストなど、あらゆるフィードバックデバイスに自動で振動が追加されるという。振動周波数範囲の異なる周辺機器を追加する場合でも、開発者はデバイスごとに適したハプティックフィードバックを追加できる。例えば、振動範囲が大きく異なる「iPhone」と「Android」搭載スマートフォンで、振動レベルがほぼ同じになるように設定する工程を簡略化できる。
「デザイナーの意図をくみ取って、それを機械の能力に変換する」のだと、Vezzoli氏は説明した。
Haptic Composerは、「触覚生成ツール」を意味するその名の通り、ゲーマー自身が振動を制御することもできる。筆者がプレイしたゲームのデモでは、自分のキャラクター、敵、環境のいずれがトリガーになったときに振動させるかどうかを切り替えられただけでなく、振動が強すぎる場合は抑えることもできた。このソフトウェアを使うことで、振動フィードバックを自分で制御できた。
公開されているSDKは、「PlayStation 4」「PlayStation 5」「Meta Quest 2」「XInput」の各コントローラーのほか、「iOS」およびAndroidを搭載するスマートフォンに対応する。開発者は、触覚機能を備えるさまざまな周辺機器にカスタム振動を設定できるため、ゲームや映画のシーンに合わせた感情やアクションを、異なる強さの鼓動や振動で伝えられるようになる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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