英国のテクノロジ−製品ブランド、Nothingから第2世代のイヤホン「Ear (2)」が登場した。実際に使ってみたが、音質もよく、アクティブノイズキャンセリング(ANC)もしっかり効いている。Ear (2)は2021年8月に発売された第1世代「Ear (1)」の後継に当たり、3月30日に149ドル(日本では2万2800円)で発売される。
Nothingはまだ若い企業だ。創業者のCarl Pei氏は、スマートフォンメーカーOnePlusの共同設立者として知られる。筆者は、OnePlus製品には初日から感動させられることが多かったので、Pei氏が同社を去った後に何を作るのか楽しみにしていた。Nothingから最初に出たEar (1)や「Phone (1)」といった製品は、「性能、品質、価格のどれも妥協しない」というOnePlusの哲学を感じさせる出来映えだった。
特にEar (1)の際立ったデザイン、良好な音質、適正な価格にはうならされた。正直なところ、今回出たEar (2)は前モデルと大きく変わったところはない。まず、物理的な違いはほとんどない。付属する充電ケースは旧モデルとほぼ同じ(若干小さい)透明な高品質ポリカーボネート製で、イヤホン自体も旧モデルとほとんど見分けがつかない。
Carl Pei氏のデザインチームが、毎回斬新なデザインの新製品を出してくれると期待していた人はがっかりしたかもしれない。しかし前モデルのデザインを踏襲しているとは言え、個人的にはEar (2)の外観は気に入っている。小型かつ軽量なので、長時間装着していても快適だ。着けたまま寝てしまった時も違和感はなかった。
新モデルではタッチ操作に調整が入り、タップではなく、ステム部分をつまんで操作するようになった。この変更により、間違って曲を変えてしまうことが減った。小さなアップデートだが、実用上のメリットは大きい。また、IP55レベルの防水・防塵性能を備えているので、雨の日や汗を大量にかくエクササイズの最中も安心して着けることができる。
充電ケースを併用すれば、フル充電で最大36時間(ノイズキャンセリング機能OFF時)のバッテリー駆動が可能だ。旧モデルは34時間だったので、わずかだが改善されている。急速充電にも対応しており、たった10分の充電で8時間使用できる。
では、肝心の音質はどうか。Nothingによれば、オーディオエンジニアの努力により、性能は向上しているという。変化は確かに体感できた。例えば、Don Brocoの「Pretty」という曲は、うまく表現されていると感じた。冒頭部分でスネアが澄んだ音でビートを刻み、やがてシンバルが明るく鳴り、重低音が響き出す。
Ear (2)は、オールラウンドに使える優秀なイヤホンなので、幅広いジャンルの曲を聞く人ならきっと重宝するだろう。あえて言うなら、ロックやインディーロックのジャンルが得意なようだ。例えばAtreyuのアルバム「Baptize」ではパンチのある濃密な音を聞かせてくれたし、Cage The Elephantの「In One Ear」では、ベースの暖かさとギターのクランチのバランスがうまくとれていたと思う。
ソフトウェア面では、「Nothing X」アプリ(「Android」と「iOS」の両方で利用可能)に重要なアップデートが入った。イヤーチップのサイズが合っているかを確認できる「イヤーチップ装着テスト」に加えて、個人の好みに応じて音を自動調整してくれる「パーソナルサウンドプロファイル」も登場した。実際に試してみたが、ほとんどの場合はアプリのイコライザー設定を「バランス」モードにするだけで事足りる気がした。
このアプリを使うと、周囲のノイズに合わせてANC機能を自動調整することもできる。ノイズのキャンセル効果は非常に高いと感じた。PCやファンが立てる音、窓の外の道路から聞こえてくる騒音を簡単に除去できた。
すでに初代モデルを持っているなら、Ear (2)にアップグレードする必要はあまりない。性能に際立った差はなく、見た目もほとんど変わらないからだ。しかし、もしANC機能を備えたイヤホンを新調したいと考えており、かつNothingというブランドが気になっているなら、Ear (2)は有力な選択肢になるはずだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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