AI生成コンテンツめぐる法的責任、米最高裁が言及

Stephanie Condon (ZDNET.com) 翻訳校正: 高森郁哉 (ガリレオ)2023年02月22日 12時08分

 米連邦最高裁判所では現在、テクノロジー業界が係争の中心的存在となっており、判事らはインターネットの仕組みを大きく変え得る訴訟を審理している。この訴訟には、責任の問題が関係している。テクノロジープラットフォームは、自らホストし、アルゴリズムによって表示を増やす可能性もある有害なコンテンツに対し、責任を負うべきかどうかという問題だ。

米連邦最高裁判所
提供:Getty Images

 最高裁のNeil Gorsuch判事は米国時間2月21日の口頭弁論で、テクノロジーの世界を席巻する最新のアルゴリズムのイノベーション、つまりユーザーにレコメンデーションを提供できる生成人工知能(AI)が意味するものについて検討した。この生成AIには、「ChatGPT」やMicrosoftの新しい「Bing」のチャットボットのような会話型チャットボットも含まれる。

 この問題は、Gonzalez対Google裁判の口頭弁論で提起された。裁判では特に、「YouTube」などのプラットフォームが、アルゴリズムを通じて提示するターゲティングされたレコメンデーションに対して、責任を負えるかどうかが問われている。この訴訟は、23歳で亡くなった米国人女性Nohemi Gonzalezさんの親族によって提起された。Gonzalezさんは2015年、パリでイスラム過激派組織ISISのテロリスト3人が群衆に発砲した際に殺害された。

 Gonzalezさんの親族は、YouTubeを所有するGoogleが、ISISがYouTubeに過激な動画を投稿し、暴力を煽り、将来の支持者を募集することについて、認識した上で許可したと主張した。訴状ではさらに、動画の公開を許可しただけでなく、Googleがレコメンデーションアルゴリズムを通じて、「ISISの動画をユーザーに積極的に推薦した」と主張している。

 この訴訟は、YouTubeが次に視聴する動画を提案したり、ChatGPTが休暇に行く場所を教えたりするような、アルゴリズムによるレコメンデーションが、1996年電気通信法の一部である通信品位法230条で保護されるかどうかに帰結する。通信品位法230条は、第三者によって投稿されたコンテンツに対するオンラインプラットフォームの責任を免除するものだ。

 Gonzalez対Google裁判はソーシャルメディアのレコメンデーションに関するものだが、The Washington Post(WP)の記事が指摘するように、Gorsuch判事はこの議論を生成AIに結びつけた。同判事は、生成AIは230条の保護の対象にならないだろうと示唆したと、WPのWill Oremus記者は報じた。

 Gorsuch判事による示唆は、GoogleやMicrosoftといった企業に大きな影響を与える可能性がある。これらの企業は、会話型チャットボットのレコメンデーションを検索エンジンのプラットフォームに統合しようとしているからだ。

 もちろん、230条が成立した1996年以降、インターネットは劇的に変化している。米国議会の議員らは過去数年間、この法律をどのように修正するかという問題に苦戦してきた。これまでは、ソーシャルメディアサイトが法律の限界を試しているとして非難を浴びることが多かった。チャットボットのレコメンデーションを検索エンジンに統合する動きが、より多くの責任問題を提起するのは間違いないだろう。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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