元コンテンツモデレーターの女性が、Google傘下のYouTubeを提訴した。斬首や児童虐待など不快な内容の動画を繰り返し見たことで、うつや心的外傷後ストレス障害(PTSD)に伴う症状を発症したと訴えている。
米国時間9月21日にカリフォルニア州の上位裁判所に提出された訴状には、次のように書かれている。「原告は睡眠障害を抱えており、眠っている時には恐ろしい悪夢を見る。夜に寝ようとしても、以前に見た動画が頭の中で再生され、覚醒したまま横たわっていることが多い」。また、銃の乱射が起こるのではないかと恐れて人混みの中にいられず、パニック発作に襲われることがあり、そうした不安感から友人らを失ったという。さらに、児童のそばにいることが困難になり、今では自身が子を授かることも恐れているとされる。
集団訴訟を提起するこの訴状では、YouTubeがコンテンツモデレーターらに安全な職場を提供せず、精神的健康を守る十分な措置を講じなかったことで、カリフォルニア州の法律に違反したと主張している。訴状によると、YouTubeは「慢性的に人員不足」のため、モデレーターらは1日4時間以上にわたって生々しい動画コンテンツを審査しているという。作業者は「1日に100~300本のコンテンツを、誤検出率2~5%で」審査するよう求められており、そのためにストレスが生じ、モデレーターが仕事から精神的トラウマを抱えるリスクが高まっているとしている。
今回提訴した匿名の元モデレーターは、治療と、被ったトラウマに対する補償のほか、コンテンツモデレーターを検査、診断、治療するためのYouTubeの資金による医療観察プログラムを創設すること求めている。
この元モデレーターは、人材派遣会社Collaberaを通じて2018年1月~2019年8月にテキサス州オースティンにあるYouTubeのオフィスで勤務した。訴状によると、原告はこの仕事から生じた精神的トラウマに苦しみ、自費で治療を受けたという。
米CNETはCollaberaとYouTubeにコメントを求めたが、回答は得られていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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