自律移動ロボットの開発に取り組むPreferred Robotics(プリファードロボティクス、PFRobotics)は2月1日、人の指示で家具の“自動運転”を行う家庭用自律移動型ロボット「カチャカ」と、専用家具「カチャカファニチャー」の第一弾商品となる「カチャカシェルフ」を開発したと発表した。
同日から公式オンラインストアや、「b8ta Tokyo」各店舗、「蔦屋家電+」で、特典付き先行予約の受け付けを開始する。特典は制作背景や開発の様子をまとめたデジタルブランドブックのほか、カチャカのプロダクトデザインについて語るクリエイティブセミナー、技術的な側面から語るテクノロジーセミナー、マーケティングの検討過程を語るマーケティングセミナーの3種類のセミナーいずれかへの参加権という4つから選択可能だ。
カチャカの一般発売は5月になる予定。利用に必要となるクラウドサービス「カチャカサブスクリプション」と合わせて展開し、“スマートファニチャープラットフォーム”の構築を目指す。
カチャカは、人の声や専用アプリの指示でスムーズに室内を移動し、ドッキングした家具を指定された場所まで運べる。
外形寸法は高さ124mm×幅240mm×奥行き387mmで、重さは10kg。RGBカメラ2台のほか、レーザーセンサー、3Dセンサー、段差センサー、家具認識センサーなどを搭載する。また高さ96mm×幅215mm×奥行き105mmの充電ドックのほか、ACアダプター、電源コードが付属する。
プロダクトデザイナーの鈴木元氏、デザインイノベーションファームTakramとコラボレーションし、住空間に自然と馴染む洗練されたデザインを採用。自己位置推定とマッピング(SLAM)、ナビゲーション、画像認識、音声認識、ハードウェア設計を高度に融合し、これまで難しいとされてきた、環境変化の激しい居住空間での柔軟な自律移動を実現できるという。
1秒ごとに最速400mm移動可能で、深層学習で障害物などを回避しながら、専用家具を含み20kgまで運べる。毎日同じ時間に本や薬を運ぶといったタイマー機能による「習慣化」のサポートや、在宅時間の増加で顕在化した「名もなき家事」の解消、子どもが楽しんで片付けを覚える手伝いなど、それぞれのライフスタイルに寄り添い、さまざまな用途で活躍するとしている。
専用家具の第一弾となるカチャカシェルフは、暮らしをサポートする“動く家具”として機能性を持たせるモジュール式で、用途に応じたパーツの付け外しが可能だ。高さ717mm×幅488mm×奥行き328mm、重さ8.8kgの3段と2段を用意する。カラーはライドグレーとダークグレーの2色展開。
価格(税込)は、カチャカ本体が22万8000円、カチャカシェルフ3段が2万9800円、カチャカシェルフ2段が2万3800円。それぞれ48回の分割払いも用意する。
カチャカの利用に必要となるカチャカサブスクリプションは、月額利用料980円で提供する。家具の移動や片付け指示、スケジュール設定ができる専用アプリを5月に配信予定だ。
カチャカ本体、カチャカシェルフ、カチャカサブスクリプションをセットにしたスターターセットも用意する。カチャカシェルフ3段をセットにした「スターターセットA」は25万7800円とサブスクリプションの月額利用料980円、カチャカシェルフ2段をセットにした「スターターセットB」は25万1800円とサブスクリプションの月額利用料980円で展開する。
「配膳して」「片付けて」などの指示で指定された位置に運ぶ様子
PFRoboticsと親会社のPreferred Networks(プリファードネットワークス、PFN)は、多様化する人々の生活をより便利にすべく、人の指示通りに自動で動く家具「スマートファニチャー」の実現を目指して開発に取り組んできた。
カチャカは、これまでの業務用ロボット領域で培った技術を駆使したPFRobotics初の家庭用自律移動ロボットで、PFNグループとしても初の家庭用ハードウェアになるという。
発売に先立ち、PFRoboticsは旭化成ホームズと協業し、非対面、不在時でも宅配物の受け取り、発送ができるシステムの実証実験を実施している。今後もさまざまなシーンで実用化に向けた開発を続けるほか、多様な企業と連携してカチャカ専用家具のバリエーション拡大などを検討していくという。
Preferred Robotics 代表取締役 CEO 礒部達氏は、「人間は固定された家具に合わせて動き回る必要があったが、もし動いたらこれらの常識は過去のものとなる。私たちの住環境は今よりもはるかに自由で直感的なものとなる」と、カチャカへの期待を語る。また、5月の一般発売に向けて本体補償サービスなども検討していると明かした。
デザイナーとして製品開発に携わったプロダクトデザイナーの鈴木氏も、「家具が動くということは革新的なことで、インテリアデザインや建築の考え方をドラスティカルに変える可能性がある。小さな一歩かもかもしれないが多くの方に使っていただき、新しい未来を作っていきたい」と期待した。
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