「iPhone 14」とほぼ同じパフォーマンスを、そのほぼ半分の価格で提供する「iPhone」。そう聞くと、素晴らしいアイデアだと思うだろう。だが、それは実現しなさそうだ。アナリストのMing-Chi Kuo氏の発言を信じるなら、Appleは財布に優しい「iPhone SE」の次期モデルの開発を中止する可能性がある。このモデルは、2024年に登場すると予想されていた。
Kuo氏は現地時間2023年1月6日のMediumの記事で、「サプライチェーンは、2024年の『iPhone SE 4』の生産および出荷計画が延期ではなく中止されたことをAppleから知らされた」と記している。
Kuo氏の予想が正しいとしても、中止の理由を知っているのはAppleだけだ。しかし、調査結果やメディアの報道を見ると、非常に単純な答えがある可能性が示唆されている。つまり、高価なiPhoneモデルの方が高い人気を博する傾向があるため、Appleには、iPhone SEのような低価格スマートフォンの開発を継続する動機がほとんどないのかもしれない、ということだ。
米CNETはAppleにコメントを求めたが、すぐに回答を得ることはできなかった。
2022年3月に発売された第3世代iPhone SEは、429ドル(日本では6万2800円)からとなっており、基本的には「iPhone 8」の筐体に「iPhone 13」の内部ハードウェアを詰め込んだ製品だ。米CNETのPatrick Holland記者はレビュー記事で、iPhone SE(2022年)を「驚異的な価値がある」と評したが、その一方で、端末の前面がほぼディスプレイとなっているデザインやカメラの「ナイトモード」など、いくつかの要素が欠落しているせいで、時代遅れな感じがすることも強調した。
前の世代のiPhone SEも同様のアプローチを採用していた。2020年版も基本的に同じデザインだったが、「iPhone 11」のチップが搭載されていた。2016年版では、「iPhone 5s」の筐体に「iPhone 6s」のプロセッサーが内蔵されていた。YouTubeのパーソナリティーでガジェット情報のリーカーであるJon Prosser氏によると、うわさの第4世代iPhone SEは「iPhone XR」に似た新しいデザインを採用すると予想されていたという。
Appleが次期iPhone SEの開発を中止したかもしれない理由を理解するために、同社が先頃、「iPhone 14」シリーズで実施した変更について考えてみよう。それまでの2年と違って、Appleは2022年、新しいフラッグシップiPhoneの低価格版である「mini」モデルを発売しなかった。その代わりに、通常のiPhone 14の大型版である「iPhone 14 Plus」が発売された。iPhone 14 Plusは、799ドル(11万9800円)の通常のiPhone 14よりも100ドル高価で、購入障壁が高くなった。
この変更が発表される前に、NIKKEI AsiaやKuo氏(MacRumorsでの発言)は、Appleが2022年に「iPhone mini」の開発を中止することに言及していた。また、NIKKEI Asiaは、miniモデルは消費者の共感を得られなかったとしている。miniの廃止、そして、うわさの2024年版iPhone SEは開発が中止された可能性があるとの報道を合わせて考えると、Appleは小型で低価格のiPhoneの発売をやめようとしているのかもしれない。
しかし、テクノロジー投資会社Loupのマネージングパートナーで、Appleに関する分析に長年携わってきたGene Munster氏は、そのように考えていない。iPhone SEは、その価格の低さゆえに、Appleのラインアップにおいて依然として重要な役割を果たしている、というのがMunster氏の見解だ。
「iPhoneに関して言えば、SEは今でも最もコストパフォーマンスに優れたモデルだと私は思う」(同氏)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」