高価なiPhoneの方がトップセラーになる可能性が高いことは、すでに証明されている。Appleが方針転換しようとしているのは、そのことが理由かもしれない。Counterpoint Technology Market Researchによると、2022年第3四半期、iPhoneの平均販売価格は前年同期比で7%上昇したという。また、2022年第1四半期に、Appleはプレミアムスマートフォンの世界市場で62%のシェアを獲得したという。注意しておきたいのが、Counterpoint Technology Market Researchは、プレミアムスマートフォンを400ドル以上のデバイスと定義していることだ。つまり、第3世代iPhone SEは429ドルからなので、プレミアムスマートフォンに分類される。ただし、プレミアムのカテゴリーでAppleの成長に最も貢献したのは「iPhone 13」シリーズである、とそのレポートに記されている。
より高価な「iPhone 14 Pro」と「iPhone 14 Pro Max」も、これまでのところ、Appleの新しいスマートフォンラインアップの主役になっているようだ。The Informationは、Appleが発売から2週間以内に「iPhone 14 Plus」の生産を縮小したことを報じたが、その一方で、調査会社のTrendForceは、AppleがiPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxの生産を拡大したと報じている。Kuo氏は9月のツイートで、iPhone 14 Pro MaxがAppleの「Pro」シリーズの注文数増加の約60%を占めていると述べ、最も高価な新型iPhoneが最も人気の高いモデルでもあることを示唆した。Wave7 Researchの2022年11月のレポートによると、調査に回答した39人のキャリアサービス関係者のうち38人は、iPhone 14 ProおよびiPhone 14 Pro Maxの店頭在庫がないと述べたという。
一方この2年間、米国のiPhoneの四半期販売台数でiPhone SEが占める割合は約5~8%にすぎない、とConsumer Intelligence Research PartnersのJosh Lowitz氏は話す。Munster氏によると、任意の年における最新iPhoneモデルの総販売台数を見ると、通常、Proモデルが35~40%を占めるのに対し、iPhone SEは20%程度だという。
筆者の同僚のEli Blumenthal記者がiPhone 13の発売後に指摘したように、キャリアの割引によって、特に古いデバイスを下取りに出す場合に、ハイエンドのスマートフォンをより低価格で手に入れることも容易になった。また、米国の消費者の多くは、通信事業者の月額分割払いプランを利用してスマートフォンの機種代を払っているので、高い価格設定を受け入れやすくなっている。この両方の要因により、機能がより少ない低価格のiPhoneを購入してもらうことが難しくなっている可能性もある。
「非常に長期間の分割払いなので、100ドル、あるいは200ドルの差があっても、月々の支払額はそれほど変わらない」(Lowitz氏)
その一方で、サムスンは低価格スマートフォンの市場で成功を収めている。以前に米CNETに提供されたCounterpoint Technology Market Researchのデータによると、「Galaxy A」シリーズのスマートフォン(通常、同社のフラッグシップである「Galaxy S」シリーズよりも数百ドル安い)は2021年のサムスンのスマートフォン販売台数の58%を占めたという。サムスンのGalaxy Aシリーズは、複数のレンズを備えたカメラやより大きな画面など、iPhone SEにはない最新の機能を備えているが、プロセッサーの性能は同社のハイエンドのスマートフォンに劣ることが多い。
Appleが2024年版iPhone SEの開発を中止したのではないかという推測は、SEシリーズ全体の今後に疑問を投げかけるものだ。Appleは2020年、SEブランドを初めて「Apple Watch」でも採用し、2022年9月には第2世代の「Apple Watch SE」を発売した。
AppleがSEシリーズを別の製品にも拡大したことで、SEは、Appleのラインアップの中でより恒久的な存在になるように思われた。しかし、Kuo氏の情報が正しかった場合、iPhone SEの時代は終焉を迎えるかもしれない。Appleのスマートフォンラインアップの変遷、そして、スマートフォンの出荷台数に関するデータを注意深く見れば、その理由は簡単に理解できる。
だが、Munster氏は、SEのような低価格のiPhoneが永遠になくなるとは考えていない。より手頃な選択肢を用意しておくことで、Appleはより多くの顧客を自社の製品とサービスのエコシステムに引き込むという、大きな目標を達成しやすくなる。
「iPhone SEは重要な役割を果たしていると思う」と同氏。「Appleがその価格帯を手放すとは思えない」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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