――人材育成の取り組みとなる「Sapporo Game Camp 2022」について、感触や手ごたえを教えてください。
瀬川氏: Sapporo Game Camp 2022のなかのひとつに、プロのゲームクリエーターも混じって2日間にわたってゲームの開発を行う「GameJam」があったのですけど、募集人員が42名となっていたところ、4倍近い人数の応募がありました。ほかにも「ぷよぷよ」を活用したプログラミング講座とeスポーツ体験会も行いましたけど、定員をオーバーするような状態でした。札幌在住の方々はゲーム作りに興味を持たれていたり、プログラミングやIT関係に興味を持たれている土地柄であるという実感が持てるほど、前向きな方々が多かったです。
そもそも、ゲームクリエーターになるにはどんなことを学んだらいいか、わかりにくいところがあると感じていました。また、早い段階からプログラミングやゲームの作り方を学ぶことは、様々なものがデジタル化したり、デジタルのエンタメが発展していくなかで、とてもいい機会だと考えています。
――イベントで印象的な出来事はありますか。
瀬川氏: 札幌市産業振興センターで開催したのですが、GameJamは1階で、「ぷよぷよ」のプログラミング講座を2階で実施したのです。で、GameJamのゲーム制作発表会のときに、プログラミング講座を終えた方が見学したいとか、GameJamの募集には落選だったけど発表会だけでも見たいと言ってくださる方もいて、多くの方が発表会に集まってくださったときに、グッときたし達成感はすごくありました。
なかには、将来なにがあってもゲームクリエーターになりたいと言ってくれる方がいたり、いい学びだったとの声もいただいて。本当に開催して良かったと思っています。
高柳氏: 説明する側として会場にいましたけど、目をキラキラさせながら聞いてくれたのが印象的で。こういう学生たちが札幌にいるけど、教わったり体験の機会があまりなかったのかな、とも感じました。土壌はあるけど、うまく育っていくための畑ができていないというイメージでしょうか。その手助けができたことや、明るい将来が見えてきていることが感じられましたし、参加された方々も手ごたえを感じているようでした。
――Sapporo Game Campについては、今後も続けられますか。
瀬川氏: やはり続けていくことが大事ですし、1回だけでは人材育成の効果につながらないと思います。札幌のITリテラシーの高さ、エンタメ興味の高さを実感したイベントになりました。具体的なことはこれからですが、できれば継続したいですし、次回もう少し大きな規模で実施できるようにしたいとも思います。
高柳氏: このような取り組みは、セガの本社ではなかなか難しく、グループとはいえ別の会社だからやりやすくなったところはあります。セガとしてもノリノリに動いてくれましたし、札幌市としても協力的でした。札幌の会社さんも警戒されている感はありましたが、今はそんなことがなくなって、みんなで一緒に札幌を盛り上げていきましょうとなっていますので。この先を見据えて続けていけたらと考えています。
――札幌の方と接するなかで、感じるところはありますか。
瀬川氏: 全体的に穏やかな方が多そうに見えるなかで、何かにチャレンジしたいというフロンティアスピリッツを感じるような方が多い、というのが個人的な感覚ですね。親切かつ丁寧で、コミュニケーション能力が高いと感じるなかで、内に秘めたものを持っている感じがします。
高柳氏: Sapporo Game Campでは、これまで都心で技術講演会やGameJamのようなイベントに参加された方も運営に加わっていたのですが、その方々が言うには、結構ドタキャン率が高いようなのです。でも札幌ではほぼいないようで、急遽来られなくなった方でもちゃんと連絡を入れてくれると。実際、運営としてはやりやすいという感覚はありました。真面目でコミュニケーションがしっかりしていると感じますね。
――お二人が感じる札幌の魅力はありますか。
瀬川氏: 私は今のところ、札幌に月に数回訪れるような状態で、札幌スタジオができてからはゆっくりと札幌を過ごす機会は少ないのですが、純粋に札幌を訪れるのが楽しいと感じる魅力があります。やはり食べ物は美味しいですよね。ジンギスカンや海鮮のイメージもありますが、一番いいのが野菜ですね。これだけクオリティの高い野菜が、この値段で買って食べることができるのは、北海道だからなのかなと思うところがあります。家族から、お土産の要望に野菜と言われるぐらいですから。結構買って帰ります。
高柳氏: 私自身は札幌出身でも、在住経験もありませんし、直近では海外の開発スタジオにいたぐらいで。札幌スタジオの立ち上げにあわせて札幌に来ましたが、魅力については、挙げたらキリがないぐらいですね。
北海道大学の並木道を見に行ったのですが、すごく綺麗だったんですね。あとは山も紅葉が綺麗ですし、そういう光景が見られるのはこちらにいるからで、自然はすごく身近に感じます。趣味で自転車に乗っているので、週末は郊外に出ることが多くて。自転車を車に載せて、富良野とかを走ったりもしました。
食べ物についても、一般的に知られている評判通りのおいしさがあることを踏まえつつ、地元の方が教えてくれたなかでは、当別(北海道石狩郡当別町)にある生そうめんが良かったですね。乾燥させたものではない、生のそうめんは見たことがなくて、実際に美味しかったですし。ほかにも「落葉きのこ」も美味しかったですし、かぼちゃのグラタンもそうですね。北海道で作られるクラフトビールや地酒も年々増えているようで。食べ物で楽しめるものの幅も増えているように感じています。
――食べ物については、個人的にホッケが全然違うと感じています。
瀬川氏: 本当にそうですよね。ホッケをつまみにサッポロクラシックを飲みたいですね……。普段ビールはあまり飲まないのですが、これだけは別で。食べたくて仕方がなくなってきましたし、早く飲みに行きたいです(笑)。
高柳氏: これまでも札幌スタジオに関するインタビューはいくつか受けましたけど、こんなに食べ物の話しをしたのは、初めてですね(笑)。それだけ食べ物ひとつとっても魅力的ですし、まだ隠された美味しい食べ物があると思っています。
――今後の展望や目標などがありましたら、お話ください。
瀬川氏: セガとしては、グローバルに向けたゲーム開発を進めています。日本市場ももちろん大切ですが、限りがあるという実情も正直言ってあります。そして、世界の市場が拡大しているなかで、今までやっていなかったような地域でもプレイされている状況があります。ゲーム制作においても、日本向けやグローバル向けとして進めるなかでは、カルチャーの違いなどもあって、考え方を変える必要があります。グローバルに視点を置いたクリエーターや開発に携わる人材に来ていただきたいと思いますし、日本から、そして札幌から世界に発信できるゲームを作っていきたいと思います。品質管理の部門においても、グローバル向けタイトルの管理も手掛けているので、よりグローバルに向けた組織にしていきたいと思います。
高柳氏: 私の仕事の多くが採用というところもあるのですが、将来的には札幌スタジオ発のオリジナルタイトル制作を目標としておりますので、それを目指すことができる強力なスキルを持つ中途採用の方もそうですし、将来的に活躍してくれるようなポテンシャルのある新卒の方にも来ていただきたいですね。それが札幌スタジオとしての根幹になっていくところでもありますので。
あと、5年後10年後を見据えて業界で活躍してくれるであろう人たちに向けた、Sapporo Game Campのようなイベントはやっていきたいです。参加した方々が、札幌スタジオに就職してくれるようなことがあれば、それに勝る喜びはないという本音もありますけど、それに限らずとも、ゲーム業界に行きたいと思うようになる方を増やしたいです。
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