ただし、消費者にとって使いやすいデバイスを実現するためには、もっとずっと基本的なエンジニアリングの進歩が必要である、とJohnson氏は言う。
「必要なのは、超軽量デバイスだと思う。見た目もメガネのようなものにしなければならないだろう」(同氏)
Magic Leap 2の利点は、プロセッサーユニットが腰に装着する付属デバイスとして提供されていることだが、消費者には歓迎されないだろう、とJohnson氏は指摘した。
Magic Leap 2.0は大幅に軽量化された。約20%軽くなり、サイズも約半分になったので、小型軽量化が一気に進んだ。このことは、仕事で一日中作業する人や、長時間の手術を担当する医師にも恩恵をもたらしている。しかし、装着して歩き回ることを考えれば、依然として丸1日快適に使用できるものではないはずだ。メガネとそっくりなデバイスにする必要があるだろう。
そのようなコンパクトなデバイスを開発するには、現在の電子機器、特にバッテリーの限界が問題になる。
メガネと同じサイズまで小型化するのは難しい。バッテリーが妨げになるからだ。プロセッサーに関しては、現在ヘッドセットには搭載されていない。これにより、Magic Leap 2は大幅に軽量化した。プロセッサーは、ユーザーのウエストバンドやポケットからぶら下げる格好になる。少し重いし、プロセッサーだから暖かくなることもある。当社としては、現時点では、プロセッサーをヘッドセットに内蔵するのは賢明ではないと考えている。快適に使用できなくなるからだ。実際にプロセッサーを内蔵したヘッドセットも他社から出ているが、そのことが最大の不満点となっている。つまり、ヘッドセットが不格好で熱く、重たいという不満だ。したがって、メガネのようなヘッドセットを提供するためには、そうした問題をすべて解決する必要がある。
熟練のエンジニアであるJohnson氏は、現在実現を目指して進められている、チップ製造におけるシリコン統合が実現すれば、問題の解決に寄与すると語った。
これから起きるもう1つの重要なことは、スマートフォンで起きるのと同じこと、つまり、シリコン統合だ。私たちのスマートフォンを動かすCPUは、以前は多くのコンポーネントで構成されていた。私がかつて勤めていたQualcommは、そのチップにますます多くの機能を搭載している。これにより、非常に小型で軽量なデバイスや電力効率に優れたデバイスの構築が可能になった。そうした流れは今も続いている。
Johnson氏によると、「どちらかといえばヘッドアップディスプレイに近い」デバイスならすでにいくつか販売されているという。
そうしたデバイスは、Magic Leapのような没入型ではないものの、「麻酔科医の問題を解決してくれるかもしれない。例えば、バイタルデータを目の前に表示させたい人もいるだろう」と同氏は言う。
「そのような技術自体は実に簡単だ。視野の前に小さなディスプレイを置いて、ほかのものを遮らなければいいだけで、今でも実現可能だ」
Johnson氏は、「しかし、完全没入型のAR体験が実際に消費者向けのツールになるのは、数年、おそらく5年ほど先のことだと思う」と改めて述べた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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