三菱UFJ信託ら7社、合弁会社を検討--デジタルアセット市場のナショナルインフラ構築へ

 三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、三井住友フィナンシャルグループ、SBI PTSホールディングス、JPX総研、NTTデータの7社は12月21日、「合弁会社Progmat(予定)」の設立に向けた共同検討を開始すると発表した。

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 設立する合弁会社は、デジタルアセット全般の発行、管理基盤である「Progmat(プログマ)」の開発、提供と、会員企業数163社の「デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)」の運営を担う。

 7社は、共同検討を経たうえでの合弁会社の設立を通じて、業界を挙げて「共創領域」を「標準規格」で円滑に実装し、市場参加者の圧倒的な利便性向上を実現する。日本のデジタルアセット市場の発展と競争力を高めることを目指し、2023年9月以降の合弁会社設立に向けて協議を進めていくとしている。

金融機関とソフトウェア企業が手を携える「共同事業体」へ

 日本国内では、2020年施行の改正金融商品取引法による「セキュリティトークン(ST)」規制、2022年施行予定の改正資金決済法による「ステーブルコイン(SC)」規制と、デジタルアセット市場の基礎が整備され、既に400億円に迫る規模のST関連案件が組成されている。

 こうした動きに呼応し、三菱UFJ信託銀行では、STを取り扱う「Progmat ST」基盤、「ユーティリティトークン(UT)」を取り扱う「Progmat UT」基盤、SCを取り扱う「Progmat Coin」基盤および、各種デジタルアセットを対象としたウォレットサービスである「Token Manager」「Token Wallet」の開発を進めてきた。

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 デジタルアセット市場がより本格的に拡大するうえでは、既存の伝統的な証券市場や決済市場などと比較して、圧倒的な利便性の向上が不可欠だという。また、圧倒的な利便性の実現には、ネットワーク参加者同士の「共創」が鍵となる。グループを超えて手を携えるため、個社に頼るのでは無く、より中立性の高い「共同事業体」を中核に据える必要があるという。

 また、デジタルアセット市場の共通インフラを構築するためには、金融市場に関する深いドメイン知識に加えて圧倒的なインフラ構築力を「1つの組織」で兼ね備えていることが理想的になるという。従来の、金融機関が発注者となりソフトウェア企業が受託開発を行う姿ではなく、両者が手を携えて「共同事業体」を創ることで、より早く、より広く、インパクトを出せる開発集団を目指すとしている。

 設立する合弁会社は、三菱UFJ信託銀行からProgmat ST、Progmat UT、Progmat Coin、Token Manager、Token Walletに関するプログラムや知的財産権などを移管する予定。共通、中核機能開発を主体的に行う「Core Developer」としての役割を担い、機能に係るプログラム開発者としての役割に徹するという。

 なお、各デジタルアセットや顧客に関するデータは、Progmatのネットワークに参加し各自のNodeを運用する「Service Developer」企業群が分散的に管理するため、Core Developerは保有しないとしている。

 加えて、三菱UFJ信託銀行が「Service Developer」の一角として取り組んできた原簿管理業務やカストディ業務は、合弁会社に移管しない。ほかの金融機関と同様に、三菱UFJ信託銀行として継続するという。

 中立性が必要な「デジタルアセット共創コンソーシアム」に関する契約などは三菱UFJ信託銀行から移管する。「DCC事務局」として業界横断的な取り纏めを行う役割を担うという。現在進めている「資金決済ワーキング・グループ」などの業界横断的な議論や、合意形成が必要なテーマを対象に、共同検討の企画や取り纏めを行い、必要な情報発信や提言などを継続するとしている。

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デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)のイメージ
デジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)のイメージ

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