KDDI総合研究所(KDDI総研)と国立極地研究所(極地研)は12月15日、南極圏として世界初となる8K(7680×4320ピクセル)映像のリアルタイム伝送の実証実験に成功したと発表した。
11月11日、昭和基地と極地研立川キャンパスを結ぶ最大7Mbpsの衛星通信回線を活用して実施。高精細映像のリアルタイム伝送で、隊員の健康状態や生活の様子、昭和基地の自然、環境を日本や海外に高い臨場感で伝えるための技術を実証したという。
従来、昭和基地との通信は、基地内のインテルサット衛星通信設備を利用。映像伝送の品質はHDTV(1920×1080ピクセル、2K)が上限となっていたという。昭和基地と国内の病院を衛星回線でつないで行う遠隔医療支援、離れて暮らす家族との顔が見えるコミュニケーションなど高精細な映像伝送が求められており、今回の実証実施につながったとしている。
実証実験のシステムは、昭和基地内のネットワーク環境、衛生通信設備のほか、KDDI総研が開発した遠隔作業支援システム「VistaFinder Mx」を活用。狭帯域なネットワーク環境や運搬、設置スペースの制約がある場合でも、スマートフォンのみで手軽かつ安定的に8K映像が伝送できるという。
極地研では今後、東京都立川市の展示施設「国立極地研究所 南極・北極科学館」でVistaFinder Mxを公開するとともに、引き続き実証実験を行なう。映像運用システムの運用レベルの向上を図りながら、国内インターネットが利用可能な環境における活用を検討し、2023年度の実用化を目指すとしている。
KDDI総研は、実証を通じ、極地研による地球環境に関わる研究や教育の高度化を支援する。また、スマートフォンを活用した狭帯域ネットワークにおける8K映像のリアルタイム伝送の有用性の検証や、課題の抽出、改善を実施する。世界中どこからでも利用可能とし、現場作業のDX化の加速や高度化など、社会インフラの保全と強靭性確保に貢献するという。
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