「GO」のMoT、280億円規模のタクシーグリーン化プロジェクト--年3万トンのCO2減へ

 タクシーアプリ「GO」などを提供するMobility Technologies(MoT)は12月12日、同月からグリーントランスフォーメーション(GX)の取り組みとなる「タクシー産業GXプロジェクト(GXプロジェクト)」を開始すると発表した。

(左上段から)Mobility Technologies 次世代事業本部 GX部 部長 佐々木将洋氏、福岡交通 代表取締役社長 野上正嗣氏、あいおいニッセイ同和損害保険 専務執行役員 山口充氏、全国ハイヤー・タクシー連合会 会長 川鍋一郎氏、日本交通横浜 代表取締役 金田隆司氏、(左下段から)荏原交通 代表取締役社長 磯珠代氏、国土交通省 自動車局 局長 堀内丈太郎氏、参議院議員 丸川珠代氏、Mobility Technologies 代表取締役社長 中島宏氏、衆議院議員 小泉進次郎氏、東京電力ホールディングス 常務執行役 長崎桃子氏、文化タクシー 代表取締役 副田小百合氏
(左上段から)Mobility Technologies 次世代事業本部 GX部 部長 佐々木将洋氏、福岡交通 代表取締役社長 野上正嗣氏、あいおいニッセイ同和損害保険 専務執行役員 山口充氏、全国ハイヤー・タクシー連合会 会長 川鍋一郎氏、日本交通横浜 代表取締役 金田隆司氏、(左下段から)荏原交通 代表取締役社長 磯珠代氏、国土交通省 自動車局 局長 堀内丈太郎氏、参議院議員 丸川珠代氏、Mobility Technologies 代表取締役社長 中島宏氏、衆議院議員 小泉進次郎氏、東京電力ホールディングス 常務執行役 長崎桃子氏、文化タクシー 代表取締役 副田小百合氏

 同プロジェクトを通じて日本の運輸領域全体のGXを推進するとともに、街中の風景の一つであるタクシーのEV車両化により、社会全体のカーボンニュートラルへの意識向上を促進するという。

 GXプロジェクトでは、全国約100社のタクシー事業者やパートナー企業が参画し、2027年までに年間CO2排出量3万トンの削減を目指す。国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「グリーンイノベーション基金事業/スマートモビリティー社会の構築(GI基金)」による支援を含み、最大280億円規模の取り組みとなる予定だ。

3つの取り組みで年間CO2排出量3万トンの削減を

 GXプロジェクトの主な取り組み内容は3つ。1つ目はエネルギーマネジメントシステムの構築だ。

 エリア特性に応じた運行距離やタクシーの乗務実務の実態などを考慮した上で、運行効率を損なわない充電計画を生成するAIシステムを開発、検証する。タクシー乗務員の休憩時間が限られていること、電力代が高い時間帯があることなども考慮し、EV運行マネジメントとエネルギーマネジメントに最適なシステムの開発、提供に最長2031年まで取り組むという。

AIを活用して最適な充電システムを提供する
AIを活用して最適な充電システムを提供する

 また、東京電力ホールディングスと協働し、EVタクシーが導入される営業所の脱炭素化などを実施する。加えて、充電器や蓄電器などの設備故障、不具合で運行できなくなるなどのリスクを補償すべく、あいおいニッセイ同和損害保険と企画開発した新保険メニューを用意。MoTが保険の代理店を務めるという。

 取り組みの2つ目として、タクシー事業者へEV車両と充電機器を提供する。12月時点でプロジェクトへ参画表明しているGO加盟事業者に向け、トヨタ自動車「bZ4X」、日産自動車「リーフ」「アリア」などを2031年までに最大2500台リースする。GI基金により1車両あたり最大3分の2の費用を助成する見込みで、車種は拡大する予定だ。

2500台の車両のリース提供などで、CO2を年間3万トン削減する
2500台の車両のリース提供などで、CO2を年間3万トン削減する

 急速充電器400台と普通充電器2500台、計最大2900台も各営業所へ提供、設置する。GI基金などの活用で設置に伴う事業者の実質負担はないが、事業者は充電量に応じたチャージサービス料をMoTに支払う形になるという。

 3つ目として、CO2削減量を見える化する。GOの法人向けサービス「GO BUSINESS」の管理画面で、EVタクシー車両利用による1台あたりのCO2排出量を表示し、CO2削減量を見える化する。将来的にはGOの一般ユーザー向けアプリ画面でも同様に表示する予定だという。

CO2を見える化
CO2を見える化

日本の脱炭素化を先導

 Mobility Technologies 代表取締役社長 中島宏氏は、「日本のタクシー産業における課題は、燃料費が異常に高騰していることと、EV車両の普及率の低さ」と指摘し、今回の取り組みで解決を図る課題を語る。

 また、町中のタクシーをEV化することによる社会的なインパクトも見込むという。「頻繁に目にするものや日常的に使うもの、そういったものが脱酸素化する。それは間違いなく人々の意識を変える。この取り組みは日本の脱炭素化の大きなきっかけに、必ずなる」(中島氏)

Mobility Technologies 代表取締役社長 中島宏氏
Mobility Technologies 代表取締役社長 中島宏氏

 発表会には多くの業界関係者や来賓が詰めかけた。元環境大臣で衆議院議員の小泉進次郎氏は、「仮に自分自身がEVを保有していなくても、タクシーでEVに乗ることで(EVに乗車する)体験が広がる。誰もがEVに乗ったことがあるというそのスタートが結果として、日本の自動車業界の電動化の加速を生み出していく」と期待を寄せた。

衆議院議員 小泉進次郎氏
衆議院議員 小泉進次郎氏

 また、元環境大臣で参議院議員の丸川珠代氏は、「(今回の取り組みで)効率的な運用ができるだけでなく、グリーンなタクシーへの乗車を通じて社会に貢献できる。素晴らしいイノベーションになる」と語った。

参議院議員 丸川珠代氏
参議院議員 丸川珠代氏

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