米国各地の規制当局は、Amazonが市場支配力を使って、オンラインでの商品価格を本来より高くしていることを証明しようとしている。
Amazonはこれまで3件の訴訟で、そのポリシーと慣行により、同社プラットフォームの内外で価格競争を制限していると指摘されている。主張の中心にあるのは、オンラインショッピングにおける同社の支配的な立場だ。独占禁止当局は、それによってAmazonが、反トラスト法に違反する独自の価格設定ルールを敷く権限を得ていると訴えている。
カリフォルニア州の司法長官とワシントンDCの司法長官が提出した2件の訴状では、Amazonの市場支配力が、外部サイトでの販売価格をより安くしたサードパーティーの販売業者にペナルティーを課し、価格を高く維持するのに役立っていると主張している。販売業者がAmazonより安い価格で売ることを阻げる同社の慣行がなければ、セール品目当ての買い物客は、ブランドのウェブサイトや競合するマーケットプレイスでさらに安く買える可能性があるという。
カリフォルニア州のRob Bonta司法長官は、Amazonが「消費者が実際に最安値で買えるかどうかは関係ない。消費者がAmazon以外でより安い価格を目にしないほうが、Amazonの『顧客体験』にとっては都合がいい」と考えているようだと述べた。
11月に起こされた3件目の訴訟は、AmazonとAppleが「iPhone」などのApple製デバイスの価格を高止まりさせていると主張するものだ。訴状によると、両社は違法な取り決めによって、Apple製品をAmazonに出品できるサードパーティー販売業者の数を制限し、価格競争を阻害しているという。
また、Amazonはこの取り決めを通じて、「Amazonマーケットプレイスにおける自社の地位を、AppleのiPhoneや『iPad』を扱う末端の販売業者から、同プラットフォームにおける支配的な販売業者へと変え、そのうえで消費者に以前よりも高い価格を支払わせるようになった」と、訴状では主張している。
Amazonは、Apple製品関連の訴訟についてはコメントを拒否したが、カリフォルニア州とワシントンDCの司法長官による訴訟については、同社の価格設定に対する影響力について「全く逆の理解をしている」と反論している。
「Amazonは幅広い品ぞろえを低価格で提供していることに誇りを持っており、他のストアと同様、競争力ある価格が付けられていない商品を目立たせない権利がある」と、同社の広報担当であるCurtis Eichelbergerは述べた。「司法長官が求める解決策は、より高い価格を消費者に対して目立たせるようAmazonに強要し、反トラスト法の主目的とは逆の結果になる」(同氏)
Amazonは、米国で他を圧倒する大規模なEコマースプラットフォームであり、数百万のサードパーティー販売業者が、商品を販売するためにAmazonを利用している。ワシントンDCの司法長官によると、Amazonが米国のEコマースに占めるシェアは50~70%と推定されるという。
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