アマゾンは価格をつり上げているのか?--米規制当局が注ぐ厳しい視線 - (page 2)

Laura Hautala (CNET News) 翻訳校正: 矢倉美登里 高橋朋子 佐藤卓 吉武稔夫 (ガリレオ)2022年11月29日 11時37分

 価格に関するAmazonへの批判は、略奪的な低価格設定によって、小規模な競合他社を排除しているとするものが多い。しかし、今回の3件の訴訟は別の側面に焦点を当てていると、企業の独占に批判的なシンクタンクOpen Markets Instituteのエグゼクティブディレクター、Barry Lynn氏は指摘する。

 「これらの訴訟は、Amazonがごく日常的に、消費者に必要以上のお金を支払わせていることを示そうとしている」と、同氏は語った。

サードパーティーの販売業者が支払う高い費用

 独占禁止政策の支持派は、サードパーティーの販売業者がマーケットプレイス参入にあたって支払わなければならない費用によって、Amazonは商品の価格を吊り上げていると主張している。購入した品物がすぐに届くことを期待するオンライン買い物客に応えるため、多くの販売業者は、Amazonの巨大な物流ネットワークを通じた商品の保管および出荷についても、同社に料金を支払う。これらの費用に加えて、顧客が商品を購入した際に売り上げの一部をAmazonに払わなければならない。検索結果で自社商品を上位に表示する広告(たびたび目にする「スポンサー」付きリスト)に対して、Amazonに料金を支払うケースも増えている。

 こうしたもろもろの費用を考えると、販売業者は、競合プラットフォームや自社サイトよりAmazonでの売値を高くする十分な理由があるはずだと、独占禁止政策の支持派は主張する。それでも、販売業者はAmazonにペナルティーを課されるリスクを冒さないだろう。

 Amazonは2019年、他のプラットフォームでAmazonより安い価格をつけることを禁じる明確なポリシーを廃止したが、販売業者によると、自社商品が「ショッピングカートボックス」を獲得できなくなるという。ショッピングカートボックスは、出品者のうちの1社について、価格を表示して「今すぐ買う」よう買い物客に促す仕組みだ。他の販売業者が販売している同じ商品を見るために買い物客が出品者リストをクリックすることはほぼないため、ほとんどの出品者にとってはカートボックスが獲得できなくなったらお終いだ。

Amazonは一部のサードパーティー販売業者を締め出している?

 AmazonとAppleを相手取った最新の訴訟は、法律事務所のHagens Bermanが消費者の代理人として起こしたものだ。その訴えによれば、両社はサードパーティー販売業者を締め出すために違法な取り決めを結んでいるという。この取り決めによって、Appleは自社製品をAmazonのプラットフォームで安く販売するサードパーティー販売業者を減らすことに成功し、Amazonは消費者に直接販売するApple製品について卸売価格の割引を保証されたと、原告は主張している。

 AmazonでApple製デバイスを販売するサードパーティー販売業者の数は、2019年より前には600社を超えていたが、両社が取り決めを結んだ結果、今では7社しか残っていないと、訴状には書かれている。また、Appleは同社製品の認定販売業者を厳しく選別しているが、それ以外のサードパーティー販売業者も卸売業者からApple製品を入手しており、それらの製品をオンラインで販売することを法律的に禁じられているわけではないと、原告は主張している。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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