宿泊施設向けに公式予約システムなどを提供するtripla(トリプラ)は11月25日、東京証券取引所グロース市場に上場した。宿泊施設向けにクラウド型の公式予約システム「tripla Book」を中心に、売上、利益の改善や顧客満足度向上へと導くDXソリューションを提供していく。
triplaは、2015年にアマゾンジャパンのファッション事業部で事業部長だった高橋和久氏(トリプラ 代表取締役CEO)と開発マネージャーだった鳥生格氏(同代表取締役CTO)が設立。宿泊施設の公式サイトにおける予約システムを中心にさまざまなITサービスを提供しており、現在、tripla Bookのほか、tripla Bot、tripla Connect、tripla Payの4つのサービスを展開する。
「公式サイトを持ち、ブランディングしている旅館やホテルに対し、重点的に展開している。OTA(Online Travel Agent)経由ではお客様の名前や電話番号と言った一般的な情報しか得られないが、公式サイト経由であれば、より広いお客様情報を取得でき、宿泊施設のファンやリピート客の獲得につなげられることがメリット」(高橋氏)と説明する。
現在、AIが自動的にユーザーからの問い合わせに回答するtripla Bot、CRM、マーケティングオートメーションのtripla Connect、QRコードやメールリンクを介した現地決済機能tripla Payといった4つのサービスをリリースしており、「重層化して使ってもらうことによって、別々のサービスを導入する際に必要となる費用が最小限に抑えられる。各サービスをシームレスに連携できるのが私たちの強み」(高橋氏)と位置づける。
「2020年の2月までは契約いただいている宿泊施設での倒産は聞いたことがなかった」(高橋氏)とし、順調に推移してきたtriplaだが、新型コロナ感染拡大を受け状況は一変する。
「2020年の春ごろに始まった緊急事態宣言は、旅行業界に甚大な影響をもたらした。明日どうなるかもわからない不安を抱えながら毎日を過ごした。大変苦しい状況が続いたが、ようやく宿泊客が戻りはじめ、10月からはインバウンドの外国人旅行者が戻ってきた。こうした足もとの状況に加えて、新しいニュースを届けたいとの思いから、このタイミングで上場した」(高橋氏)と思いを明かす。
今後、中長期戦略として狙うのは海外展開だ。すでに支社を持つ台湾を皮切りにAPACへの販路拡大を目指す。「宿泊予約やチャットボットなどの基本機能に根本的違いはない。課題と考えている『決済連携』『現地対応』『多言語対応』『PMS(Property Management System)連携』の連携開発ができれば、海外展開は可能と考えている」(高橋氏)とした。
一方で、宿泊施設自らが運営するノーコード公式サイト「Page」、海外を中心に展開する、空室在庫を一言管理し、ダブルブッキングを防ぐシステム「Channel」、最適料金をレコメンドできるレベニューマネジメントを実現するBIツール「Analytics」といった開発中のサービスも控える。「明確なサービス開始時期は言えないが、今期、来期にかけてサービスを展開していきたい」(鳥生氏)とし、宿泊施設の戦略をテクノロジーパートナーとして完全サポートすることで、クロスセルを実現させる方針だ。
triplaの初値は1620円と公開価格800円の2倍を超えた。これに対し高橋氏は「今後も多くの株主の期待に添えるよう事業を展開していきたい」とコメントした。
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