多くの人と同じく、筆者もかれこれ10年以上、動画配信サービス「Netflix」を使っている。この間、Netflixはさまざまな機能を追加し、新たなポップカルチャーを生み出しながら、広告を表示しないという方針を貫いてきた。このスタイルはストリーミングサービスを開始した2007年から続いているが、5月に大きな変化が起きた。広告付きの安価なプランの導入が発表されたのだ。広告付きプランは、すでにほとんどの競合サービスが提供しているものの、この発表には多くの人がショックを受けた。
新しい「広告付きベーシック」プランは11月3日から提供が開始された。動画配信サービスの「Disney+」は、米国時間12月8日から米国で現行の広告なしプランの価格を月額7.99ドル(約1080円)から10.99ドル(約1480円)に値上げし、月額7.99ドルの広告付きプランを導入する。筆者は、Netflixが広告をどのように扱うのか、興味をそそられた。Netflixの契約者の多くは広告が表示されないことに慣れ、それを当たり前のことだとさえ思っている。広告付きプランは「Hulu」と似たような体験になるのだろうか。すべてのコンテンツに広告が表示されるのだろうか。
実際に新プランを試してみた結論は、「それほど悪くない」だ。
最初に言っておきたいのは、Netflixの広告はケーブルテレビのCMのように、番組や映画にシームレスに埋め込まれているということだ。しかし、3ドル(日本では200円)高い「広告なしベーシック」プランの価値がなくなったとも言いきれない。
広告付きプランを実際に使ってみて、分かったことを紹介しよう。
月額6.99ドル(同790円)の「広告付きベーシック」は、同時に1台のデバイスでHD画質(最大720p)のコンテンツを広告付きで楽しめるプランだ。利用できるサービスは広告が表示されない月額9.99ドル(同990円)の「ベーシック」プランとほとんど変わらないが、コンテンツをダウンロードしてオフラインで再生することはできず、一部のコンテンツは再生できない。ここがポイントだ。
視聴できない作品にはロックのアイコンが表示され、「広告付きベーシックプランではライセンスの関係で視聴できない」旨の注意書きが添えられる。Netflixは新プランを発表した10月の時点で、視聴できないコンテンツについては対応を進めていると説明していたので、現在視聴できない作品が今後、視聴できるようになる可能性はある。ロックアイコンのついている番組や映画をクリックすると、広告なしプランへのアップグレードを促す文言が表示される。いわゆる「ペイウォール(課金の壁)」だ。上位のプランを契約させようという戦略ではあるが、そのコンテンツがどうしてもすぐに見たい時は便利だ。
筆者の場合、Netflixにアカウントを作成した際にキッズプロフィールも自動的に作成された。新アカウントのメインプロフィールを設定した時に、いくつかアニメ番組をクリックしたせいかもしれない。キッズプロフィールのコンテンツには広告が入らないので、これは必ずしも悪いことではない。
キッズプロフィールでは広告は表示されないが、通常のプロフィールでもコンテンツによっては広告が表示されない。アニメや映画は広告が表示されないことが多く、ファミリー向け作品の一部もCMなしで視聴できる。
例えば「アバター 伝説の少年アン」、「コミ・カレ!!」、「ジェイコブと海の怪物」、「クリスマス・クロニクル」、「グッド・ウィッチ」などだ。「ボディガード」は本編の前に広告が表示されたが、本編の開始後は表示されなかった。広告を避けるには、キッズプロフィールでコンテンツを再生した方がいいのだろうかと思うかもしれないが、必ずしもそうとは限らない。今のところ、アニメ作品で広告が表示されたことはない。「ビクトリアス」や「iCarly」などのNickelodeon(ニコロデオン:米国のケーブルテレビチャンネル)の番組でも同様だ。
広告が表示されない番組や映画を見分ける方法はないが、コンテンツの再生が始まったら進捗バーに表示される黄色い点に注目しよう。点がある場所が広告の表示される場所だ。「YouTube」と同様に、黄色い点が散らばっているか、まったくないかのいずれかとなる。
Netflixのオリジナル作品には広告が付かないか、付いたとしても少ないのではないかと期待している人もいるかもしれないが、はっきり言おう。広告は付く。Netflixが自社のコンテンツを特別扱いすることはない。「ストレンジャー・シングス」、「ウィッチャー」、「コブラ会」といった人気作品にはすべてCMが入るが、長さと頻度はさまざまだ。
11月4日公開の「エノーラ・ホームズの事件簿2」を観た時は、本編の前に30秒のCMが流れたが、本編中に広告は表示されなかった。Netflixは新作には広告を表示しないと発表していたので、意外ではない。しかし、「ザ・クラウン」のシーズン5では本編前を含めて広告は5回表示された。
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