KDDIは10月19日、Space Exploration Technologies Corp(SpaceX)の衛星通信「Starlink」とスマートフォンの直接通信を検討すると明らかにした。なお、実現には技術面と制度面での課題があるとしている。
SpaceXは8月に、Starlink衛星とスマートフォンの直接通信を目指す「Coverage Above & Beyond」の構想を発表しており、KDDIの検討もこの取り組みに沿ったものになると思われる。Starlinkの現行サービスでは、ユーザーが地上に専用アンテナを設置する必要がある。
なお、KDDIで経営戦略本部長 兼 事業創造本部長を務める松田浩路氏によると、Starlink衛星とスマートフォンの直接通信には制度面および技術的な課題があるといい、KDDIはこれらの解決に取り組むという。
制度面の課題について松田氏は「iPhone 14の衛星通信は、衛星通信で使っていい周波数をスマートフォンに搭載している。しかし、Starlinkが8月に発表したスマートフォンとの直接通信の構想は、陸上で使っている周波数をそのまま衛星で使おうという取り組みだ。陸上で使って良い周波数と衛星で使って良い周波数は国際的にもしっかり区別されている」と述べた。
また、技術面の課題については「通信速度がどの程度出るかは、衛星側のアンテナの大きさや利得の大きさに左右される」と説明した。
KDDIは日本唯一の「Starlink認定インテグレーター」としてSpaceXから認定されており、2022年度内に法人向け衛星通信サービス「Starlink Business」の販売を開始する予定。また、山間部など光ファイバーの敷設な困難な地域において、au基地局のバックホール回線としてStarlinkを採用することも発表している。
なお、楽天モバイルを展開する楽天グループは、米国のAST SpaceMobileに出資し、共同で「スペースモバイル計画」を推進している。同計画では、地球低軌道にテニスコート大の超大型アンテナを周回させ、宇宙から既存のスマートフォンに直接4Gや5Gの電波を届けようとしている。実現すれば、山間部や洋上を含めた日本全土でセルラー通信を利用できるようになる。
(この記事はUchuBizからの転載です)
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