中国の深センを拠点とするネットワーク機器メーカーTP-Linkは現地時間11月14日、2023年に発売する新製品群を発表した。メッシュルーター「Deco BE95」「BE85」、ルーター「Archer BE900」、ゲーミングルーター「Archer GE800」などだ。
そのすべてが、次世代Wi-Fi規格の「Wi-Fi 7」に対応するという。世界で初めて一般向けに販売されるWi-Fi 7ルーターとなる見込みだ。とはいえ、このデビューは早すぎると言ってもいい。なぜなら、Wi-Fi 7の仕様が確定するのは早くて2024年と予想されているからだ。
「IEEE 802.11be」とも呼ばれるWi-Fi 7は、「4096-QAM」などの新機能や320MHzチャンネル帯域対応により、混雑した環境でも最高速度とパフォーマンスが大幅にアップする可能性を秘めている。そのため、ワイヤレスネットワークにとって次の大きな一歩となるはずだ。Wi-Fi 7は設計上、超広帯域の6GHz帯をホームネットワークで利用できるようにした「Wi-Fi 6E」をベースとしており、引き続きこの帯域を利用することになるが、デバイスが同時に複数の帯域でデータを送信できるようになる。
しかし、繰り返しになるが、Wi-Fi 7はまだ登場していない。Wi-Fi 7の初期草案に基づいてすでにハードウェアを市場に投入し始めているメーカーもあるが、Wi-Fi 7の最終的な仕様が確定するのは、少なくともまだ数カ月先の話だ。Wi-Fi規格の新しい仕様の策定を担っている米電気電子学会(IEEE)は、何年も前からWi-Fi 7に取り組んでいるが、正式な仕様の発表は2024年に計画されている。Wi-Fi 6など前世代の場合と同じく、ネットワーク業界団体のWi-Fi Allianceが新しいWi-Fiデバイスの認定プログラムを開始するのは、それ以降のことだ。
したがって、2023年前半に出荷が始まるTP-Linkの新しいルーターは、業界の認定を得ないまま売り出されることになる。しかも、Wi-Fi 7対応のスマートフォンやノートPCなど、まだ仕様が確定していない新規格の能力を最大限に活用できるクライアントデバイスは、登場するとしてもごくわずかだろう。そうしたデバイスが市場に出回り始めるのは、2025年以降になると思われる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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