「ウマ娘」キタサンブラック好きな記者が見た初のドームライブ「4thイベントEX公演」 - (page 3)

　過去最大規模のライブで、そこに詰めかけたトレーナーとウマブレードで一面に光る光景を見ていて、これまでも感じていた今の「ウマ娘」の勢いというものを、改めて実感できるものとなっていた。昨今、アニメやゲームをテーマにしたドームライブの開催は珍しくない状況ではあるものの、実現には決して低くないハードルがあるのも事実。それを考えれば、勢いだけではなく、これまでの積み重ねが大きく花開いたと思えるものとなっていた。規模が大きいだけではなく、細かいところでもこだわった演出、大舞台だからこそのキャスト陣の躍動もあって、満足度の高いステージにもなっていた。今後に向けたコンテンツの展開も多数の告知が行われ、ライブとしても5thイベントが予告されたことを考えれば、まだまだここは通過点とも思えた次第だ。

　また、筆者お気に入りのウマ娘がキタサンブラックということを踏まえて触れておきたいところがいろいろとある。キタサンブラックは、お祭りが大好きな元気で明るい人情派ウマ娘。ゲーム中の育成モードでキタサンブラックと友情トレーニングが発生したときのセリフであり、サークルのスタンプにも描かれている「張り切っていこう！」を交えた挨拶を矢野さんがしていたことをはじめ、DAY1では誰よりも足を高く上げていると感じられるほど、キタサンブラックがイメージできるような元気いっぱいで躍動感のあるダンスとステップでパフォーマンスをしていたこととか、1曲目の「うまぴょい伝説」の間奏中、ライブというお祭りが大好きなキタサンブラックを表現するかのように、曲にのせて足を前に出すステップをずっと続けていたこととか、MCパートに登場した際、出走表をイメージした紹介ではキタサンブラックが1枠1番だったこととか、トレセン体操での“高速うまぴょい”に頑張って挑んで疲れた表情をしているところが目を引いたとか、キタサンブラックとサトノダイヤモンドは幼いころからの親友で仲がいいということを踏まえると、「Special Record!」で矢野さんと立花さんが一緒に登場して歌うこともさることながら、よく見ると小指に指輪らしきものを付けているように見えて、本当だったらかなりエモいと思いつつ確証が持てなかったが、詳細は後述するがDAY2のトークでDAY1の途中から付けていたことを明かしていたので、やはりエモいと思いつつもDAY2はそれ以上のシチュエーションが用意されていたというのがまずある。

DAY1のMCパート

「Special Record!」（DAY1）

　DAY2は冒頭の挨拶で、矢野さんが足を怪我していることに触れていたところもあるが、ダンスやステップこそ控えめだったものの、その分と思えるぐらいに振りや歌声は大きく感じられ“できること”を最大限していることが伝わってきたほか、ラストの「うまぴょい伝説」では、矢野さんと立花さんが手をつないでトラックを歩きながら歌っているところは微笑ましくもあり不思議とジーンとくる感覚があったこととか、矢野さんのことではないが、この日の立花さんは自身の挨拶で「張り切っていこう！」と声を上げていたこととか、「NEXT FRONTIER」における間奏でステージ上段から階段を降りる際、徳井さんが矢野さんに近づいてエスコートするように寄り添って一緒に降りるシーンがあり、その光景と徳井さんの姿は最高にテイエムオペラオーだったこととかもある。

「NEXT FRONTIER」（DAY2）

　楽曲のステージでは、DAY1でも「ユメゾラ」で歌詞にあわせて表情を変えつつも楽しそうに歌っている姿が印象的だったとか、両日ともに披露した「NEXT FRONTIER」で凛々しい表情とカッコいい姿を見せていたとかもあるのだが、見せ場となったのはDAY2のほうだったように思う。

　まず触れておきたいのは「逃げ切りっ！Fallin' Love」。もともとは「うまよん」におけるウマドルユニット「逃げ切りシスターズ」が歌う楽曲で、王道のアイドルソングならぬウマドルソングとなっている。それだけに“指ハート”でハートを描くのをはじめとして、キュートな振り付けも多数盛り込まれている。とりわけ矢野さんがソロパートで見せた、頬に指を当ててウインクを決めるところはインパクトも大きく、明るく元気なだけではない“かわいいウマドルなキタサンブラック”を表現して歌っている姿に引き付けるものがあった。

　ちなみに、ゲームにおけるキタサンブラックの育成イベント「かわいいの才能!?」には、ウマドルなキタサンブラックの姿がある。詳細はイベントを参照してほしいが、スマートファルコンからウマドルとしての特訓を受ける姿や、ウマドルファンたちから歓声を受けたり、“激推し”するサトノダイヤモンドの姿も描かれている。ウマドルとして挨拶するシーンもあり、いつか「あなたのハートに打ち上げ花火っ！」と挨拶しながらウマドルソングを歌う機会があったら……という願望も沸くようなステージでもあった。

「逃げ切りっ！Fallin' Love」（DAY2）

　「winning the soul」も見どころであり、聴きどころでもあった。この曲はクラシック三冠に勝利した者だけが許されるという背景があり、またシンボリルドルフに憧れるトウカイテイオー、トウカイテイオーに憧れるキタサンブラックという背景もある。そして4thイベントの東京公演では田所さんとMachicoさんが歌い、横浜公演ではMachicoさんと矢野さんが歌っている。こうして紡がれてきたなかで3人が揃ってステージに立つというだけでも熱い。ここに加わった“三冠ウマ娘を目指す”ツルマルツヨシ役の青山さんも、初出走ながらライブ経験が豊富と感じさせる高いパフォーマンス力を見せていた。

　こうした4人による「winning the soul」は、重ねてにはなるが“熱い”の一言。キャストとして見ても歌に関しては実力派が揃っているなかで、矢野さんが横浜公演以上に一歩も引かないという表情と、引けを取らないと思えるような歌声を響かせている姿に目と耳が離せないと思えるほど。「winning the soul」で足の不調、というと、TVアニメ第2期1話のラストシーンが頭にちらつくところもあったが、現地ではそれが吹き飛ぶぐらいの、これまでにないぐらいの“声の圧”みたいなものも感じ、この4人だからこそできる歌を通して魂のぶつかり合うという光景をただただ見ていた、というのが正直なところ。それだけ圧巻のステージとなっていた。

「winning the soul」（DAY2）

　何よりエモーショナルな気持ちになったのは、「Ambitious World」。キタサンブラックとサトノダイヤモンドを中心に描かれた、ゲーム1周年記念アニメで流れる楽曲。すでに東京公演と横浜公演でも歌われてきたが、前述のように今回はTVアニメ第2期で描かれた幼少期の衣装を着ての披露となった。

　筆者がキタサンブラックをお気に入りとしているのは、TVアニメ第2期においてトウカイテイオーを応援するキタサンブラックの姿にひかれたからであり、それを踏まえれば、この衣装で登場した時点で涙腺を刺激しまくりである。さらにエモーショナルな気持ちを増幅させたのは、2人が付けていたおそろいピンキーリング（小指に着ける指輪）だ。後のトークで、DAY1の途中から付けていたことを明かしている。

　ゲームでも10月に行われた「ウマさんぽキャンペーン」において、キタサンブラックとサトノダイヤモンドがおそろいのピンキーリングを付けていた。その時点ですでにグッとくるところはあったが、リアルに付けているというだけでなく、「Ambitious World」の曲中では、お互いが小指を立てて腕を伸ばし、約束を交わすシーンがある。もう“尊い”以外の言葉はないだろう。それだけ心に残るシーンと思えた次第だ。

「Ambitious World」（DAY2）

　なお本公演は、「ABEMA PPV ONLINE LIVE」ならびに「イープラス Streaming+」にて見逃し（アーカイブ）配信を期間限定で実施。配信期間は、DAY1が11月12日23時59分まで（イベント配信チケットの販売は同日20時まで）で、DAY2は11月13日23時59分まで（同じくイベント配信チケットの販売は同日20時まで）。料金などの詳細は、4thイベントEX公演の特設サイト内配信情報に記載されている。