中学2年生のときの理科の授業を思い出してほしい。どのようなテクノロジーが使われていただろうか。おそらく、多くの人の教室での体験は、コンピューターが普及する前のことだったはずだ。オーバーヘッドプロジェクターやビデオデッキが、授業で使われる最もハイテクな機器だったのではないだろうか。
小学校にコンピューターがある光景は、2000年以前に子供時代を過ごした多くの人にとって目新しいものだった。当時でも、コンピューターは通常、タイピングや「Microsoft Excel」のスプレッドシートへの数字の入力など、特定のスキルを習得するためだけに使用されていた。現在の状況は、当時と比較すると大幅に進歩しており、教室の内外で、ノートPCや「iPad」、その他のテクノロジー機器が多くの子供たちに与えられている。
しかし、子供に新しいテクノロジーを与えるだけで、新しいことを教えるという目的を達成できるとは限らない。米国の50%以上の子供が11歳の誕生日までにスマートフォンを与えられていることを考えると、なおさらだ。
教室にあるテクノロジーは、生徒への教育を担うものではなく、単純に学習を補強するものであるべきだ、とクリストファーコロンブス高校のテクノロジーおよびイノベーション担当シニアディレクターで、同校の卒業生でもあるAlex Seage氏は考えている。
同高校の卒業生として、クルーズ業界とその周辺で長年働いてきたSeage氏は、その経験を教室での教育に応用する方法について、独自の視点を提供している。Seage氏によると、学校とクルーズ船の間に違いはほとんどないという。
「驚く人もいると思うが、大きな違いはない。生徒の体験を第一に考えるように努めている。それが学習という旅の目的だからだ」。米ZDNETに対し、同氏はそう語った。
「船旅会社は乗客の体験を第一に考えている。クルーズターミナルに足を踏み入れ、スーツケースを預けた瞬間から、体験が始まる。違いは、使うのがスマートフォンか、それともインタラクティブな固定画面か、ということだ。そして、そのインタラクティブな固定画面を、私が教育分野に持ち込んだ」
Seage氏は2021年6月、クリストファーコロンブス高校のデジタルサイネージプロジェクトを主導し、同校に135台のインタラクティブホワイトボードを設置した。現在では、フロリダ州マイアミにある同校のすべての教室(バスケットボールコートも含む)に、サムスンのデジタルホワイトボード「Flip 3」が設置されている。
コロナ禍によって、生徒が自宅学習とデジタル学習への適応を余儀なくされたとき、教育者は生徒の関心をつなぎ止めておくことができなくなり、学習に悪影響が及んだ。しかし、学校が再開した後も、デジタル学習が姿を消すことはなく、多くの人にとって、当たり前のことになった。
テクノロジーが教育のけん引力になってはいけない、とSeage氏は話す。「テクノロジーは、何かなすことを補完するものでなければならない。テクノロジーはあらゆる教育スタイルを補完する」(同氏)
同校の卒業生であるSeage氏は、教師が生徒の関心を引きつける斬新な方法を見つけるのに苦労していたことを思い出し、解決策を提供したいと考えた。インタラクティブホワイトボードは、教師と生徒にとって、使い方を覚えるのが簡単であるだけでなく、対話と共同作業も促進する、と同氏は言う。
例えば、同校の体育館では、そのボードが強力なコーチングツールの役割を果たしており、コーチや選手は練習中に試合の映像を見返したり、今後の試合に向けて戦略を練ったりすることができる。
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