テクノロジーを教育現場に--デジタルホワイトボードを導入した米高校の事例 - (page 2)

Jada Jones (ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル2022年11月14日 07時30分

 サムスンの教育テクノロジーコンサルティングおよびソリューションズ担当ディレクターのMicah Shippee氏は、元教育者で、現在はサムスンのテクノロジーの導入に関して、さまざまな学校を支援している。

 Shippee氏は、中学校のバスケットボールコーチとして過ごした日々を振り返り、旧式のホワイトボードとマーカーペンを使って選手たちを指導しなければならないことに、どれほどうんざりしていたかを米ZDNETに語ってくれた。「私は中学校で12年間バスケットボールのコーチをしたが、EXPOのマーカーペンとボードは大きさや利便性が十分ではなく、本当にイライラさせられた」

 「ただのEXPOのマーカーペンとボードではなく、コンピューティングデバイスを使って、ますますデジタル化されつつある統計データを表示することには、大きな価値があると思う」

 生徒の注意を引きつけ、つなぎとめておくことは、教育者にとって永遠の課題だ。スマートフォンやソーシャルメディア、そして、オンラインの情報にほぼ瞬時にアクセスできるようになったことが原因で、子供の集中力の持続時間が短くなった、と多くの教師が感じている。

 デジタルホワイトボードによって、必ずしも子供たちに実用的なテクノロジースキルを教えられるわけではないが、テクノロジーを、コンテンツ制作や共同作業のための資産としてどのように使用するのかを生徒たちが理解するのに役立っている、とShippee氏は論じている。「(生徒たちは)ほぼどんなことについても、YouTubeやTikTokで動画を見つけて、知識を先取りすることができる。われわれが取り組まなければならないのは、創作と共同作業(の要素)であり、生徒たちがより深く理解できるように支援する必要がある。それらは、高校を卒業した後も必要なスキルだからだ」(同氏)

 リモートワークとハイブリッドワークがこの2年間で一気に普及した。オフィス勤務再開の方針が発表されても、多くの従業者は依然としてリモートワークテクノロジーやデジタルコラボレーションツールに大きく依存している。

 今日の学生たちは、就職する前にこの種のテクノロジーに慣れておく必要がある、とサムスンのエンタープライズディスプレイ部門のシニアバイスプレジデントであるHarry Patz氏は考えている。Patz氏は米ZDNETに対し、「実社会では、バーチャル会議を通して、4~5カ所に分散した人々が一緒に仕事をしている。われわれは、生徒たちがそういう世界に順応できるように備えさせている」と語った。

 卒業後も役に立つ貴重なスキルを子供たちに教える新しい方法を見つけることも非常に大切だが、在学中の子供たちを教育する新しいインタラクティブな方法を見つけることはもっと重要だ。仕事で成功を収めるために、生徒たちはまず基本的な読解力、数学、科学、芸術のスキルをバランスよく身につける必要がある。

 全米学力調査(NAEP)によると、パンデミックの発生以来、すべての州で4年生と8年生の読解力と数学の点数が低下しているという。

 同調査では、全国的に点数が下がっているにもかかわらず、クリストファーコロンブス高校のようなカトリックの私立学校がすべてのベンチマークで公立学校を上回ったことも明らかになった。

 サムスンのホワイトボードであるFlip 3は、1台当たり2500ドルで販売されている。つまり、クリストファーコロンブス高校は135台を設置したので、35万ドル近いコストがかかっている。ほとんどの公立学校では、これほど大規模なテクノロジー投資の予算を確保するのは不可能だ。予算が7~8年間更新されない学校では、通常、信頼性と長持ちすることが決め手になる。

 究極的には、教室で創造性と革新性が育まれるかどうかは、リーダーが新しいアプローチを試すことに前向きかどうかにかかっている、とShippee氏は主張する。新しいテクノロジーは高価かもしれないし、幼稚園から高校まで、学校の資金がひどく不足しているのも事実だ。しかし、教育を改善し、デジタル化が進む職場に必要な実用的なスキルを子供たちに身につけさせるための投資は、成果を上げる可能性がある。

 「子供は子供であり、教師は教師だ。重要なのは、リーダーシップを発揮することと、コミュニティー内で新しいことに挑戦する許可を与えることだ」(Shippee氏)

 「教育者が教室で革新性を発揮できるよう支援するために、革新的な考え方を持つ人々が必要だ」

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]